タイ人が51%、外国人が49%を持つ会社が、ただちに「名義貸し」になるわけではありません。タイ人株主が自分の資金で実際に出資し、株主として議決権を行使し、利益と損失を負担している共同事業であれば、持株比率だけを理由に違法とはいえません。
一方、外国人がタイ人の出資分まで用意し、タイ人は名前だけを貸し、外国人が本来許可を要する事業を実質的に行うための構造であれば、タイ外国人事業法(Foreign Business Act、以下FBA)第36条の対象になり得ます。タイ人側だけでなく、その行為をさせた外国人側も、3年以下の拘禁刑、10万~100万バーツの罰金、またはその両方の対象です。
2026年8月1日施行の命令2/2569により、外国人の出資比率や署名権が一定条件に当てはまる会社・パートナーシップの新規設立と特定の変更登記では、出資経路の確認が一本化されます。本記事では2026年7月31日時点のFBA原文、タイ商務省・事業開発局(DBD)、土地局、BOIの公式資料を基に、タイの名義貸し規制、罰則、51%出資の判断、合法的な事業ルートを整理します。
タイの名義貸し規制を先に確認
- 51%対49%という持株比率だけでは、合法・違法は決まらない。
- 株式会社の「外国人」該当性は、FBA第4条では原則として資本・株式の50%以上が基準。一般的な「実質支配」だけで自動的に外国法人扱いになるという条文ではない。
- ただし、規制事業を外国人に行わせるための名目的なタイ人株主は、FBA第36条で別に禁止される。
- 第36条の法定刑は、タイ人名義人と外国人側の双方について3年以下、10万~100万バーツ。裁判所命令に従わない場合は日額1万~5万バーツ。
- 2026年8月1日施行の登記命令2/2569では、対象となる新規設立・変更登記で、実際の出資と入金経路を示す資料・確認書が重視される。
- 事業の名義貸しはFBA、土地を外国人のために保有する名義貸しは土地法典が中心で、同じ「ノミニー」でも確認する法律が異なる。
更新日: 2026年7月31日。本記事は制度の一般的な説明であり、個別案件への法律意見ではありません。既存の株主構成や契約を変更する前に、資料を保全したうえでタイ法弁護士へ確認してください。
タイの名義貸しとは:51%対49%だけで決まらない

FBA第36条が問題にするのは、タイ人またはFBA上の外国人に当たらない法人が、許可を得ていない外国人による規制事業を助けること、自身の事業に見せかけて共同運営すること、または外国人が規制を回避するために株式を名義保有することです。外国人がその行為をタイ人側などにさせる場合も同条の対象です。
そのため、登記簿にタイ人の名前があるかではなく、次の事実が一致しているかを確認します。
| 確認点 | 実体のある共同事業 | 名義貸しを疑われる状態 |
|---|---|---|
| 出資資金 | タイ人株主が自分の資金を拠出し、入金経路を説明できる | 外国人がタイ人分を直接・間接に用意し、返済実態もない |
| 株主としての権利 | 議決権、配当、情報取得、株式処分の権利を実際に持つ | 白紙委任、強制譲渡、固定報酬などで株主権が空洞化している |
| 利益と損失 | 出資比率と契約に応じて事業の利益・損失を負担する | タイ人は名義料だけを受け取り、事業結果と無関係 |
| 意思決定 | 株主総会や重要判断に参加し、議事録と実態が一致する | 会議に参加せず、外国人だけが全決定を行う |
| 事業目的 | 双方が実際に共同事業を行う | 外国人が許可なく規制事業を行うためだけに比率を整える |
どれか一項目だけで自動的に違法と確定するわけではありません。反対に、契約書の文言だけを整えても、銀行取引、会議、配当、業務権限の実態が一致しなければ説明できません。
タイ人51%なら安全、外国人取締役なら違法という理解はどちらも誤り
「タイ人51%だから必ず合法」ではありません。名目上の51%でFBAを回避する構造は第36条で問題になります。一方、「外国人が取締役または署名権者だから必ず名義貸し」という理解も正確ではありません。事業内容、許可の要否、株主の実出資、定款・契約、実際の権限を合わせて判断します。
タイ人株主への貸付は、それだけで名義貸しになるのか
外国人からタイ人株主への貸付が存在するだけで、すべて名義貸しになると断定することもできません。ただし、その貸付が実際には返済を予定せず、担保・利息・期限・返済履歴もなく、タイ人を51%株主として表示するためだけの資金であれば、第36条の目的と実態に近づきます。
確認するのは、貸主と借主の関係、貸付の経済合理性、返済能力、利息、担保、返済実績、株主が負う損失、配当と売却益、議決権の実態です。「貸付契約書が一枚あるから自己資金」とも、「外国人から借りたから即違法」とも決めず、取引全体を確認します。
会社設立前の外資規制判定は、タイの外国人事業規制とFBL・FBC・BOIで事業リストから確認できます。
外国人事業法の「外国人」定義と名義貸し禁止は別問題

FBA公式英訳の第4条では、主に次の者を「外国人」と定義しています。
| 区分 | FBA第4条の基準 | 実務上の確認 |
|---|---|---|
| 自然人 | タイ国籍を持たない者 | 国籍 |
| 海外法人 | タイ国外で登録された法人 | 設立国・法人登録 |
| タイで登録した株式会社など | 外国人等が資本・株式の50%以上を保有、または総資本の50%以上を投資 | 直接保有と一定の間接保有 |
| リミテッド・パートナーシップ等 | 外国人がマネージングパートナーまたはマネージャーとなる場合を含む | 組織形態と管理者 |
株式会社について、FBA第4条の文言は資本・株式を中心とした定義です。「外国人が実務を主導している」という一事だけで、その会社が同条上ただちに外国人へ変わるという一般的な支配基準ではありません。ただし、これを「49%以下なら何をしてもよい」と読むこともできません。名目的なタイ人株主を使ってFBAの規制事業を行えば、第36条が独立して適用され得るからです。
最初に事業そのものが規制対象かを確認する
FBA第8条は、外国人が行えないList 1、政府承認が必要なList 2、DBDの許可が必要なList 3を定めています。名義貸しリスクを調べる順番は、次のとおりです。
- 契約書の目的ではなく、実際に誰へ何を販売・提供しているかを特定する。
- FBAのList 1~3と、業種別の特別法に該当するかを確認する。
- 会社がFBA第4条の外国人に当たるかを確認する。
- FBL、BOI後のFBC、条約、業種別許可など、合法的な根拠があるかを確認する。
- タイ人株主の出資と権利が実体を伴っているかを確認する。
事業内容を特定しないまま「タイ人を51%入れればよい」と設計することが、最も大きな誤りです。
2026年8月1日施行の登記命令2/2569:出資の流れを確認

DBDは2026年に登記段階の名義貸し対策を段階的に強化しました。4月1日に施行された中央パートナー・会社登記所命令1/2569は、2026年8月1日施行の命令2/2569に統合されます。新命令は旧命令2/2568と1/2569を廃止し、外国人の出資比率や署名権が命令所定の条件に当てはまる会社・パートナーシップの新規設立と特定の変更登記に関する確認を一本化します。
命令2/2569の対象を「すべての既存会社」と広げない
命令本文は、外国人が関係するあらゆる既存会社へ一律に過去の確認書を提出させる制度ではありません。主な対象場面は次のとおりです。
| 登記場面 | 命令2/2569で確認される代表例 | 追加資料 |
|---|---|---|
| 新規設立 | 外国人の出資合計が、株式会社は登録資本の50%未満、パートナーシップは出資総額の50%未満となる場合 | タイ人出資者と受取側の銀行明細、投資説明書 |
| 新規設立 | 外国人株主はいないが、外国人が会社の署名権者または共同署名権者となる会社 | 同上 |
| パートナー変更 | 全員タイ人、または外国人出資50%以上だった構成から、外国人50%未満・外国人マネージングパートナーなしへ変わる特定の変更 | 投資確認書 |
| 取締役変更 | 従来は署名権者が全員タイ人だった会社で、変更後に外国人が署名権者または共同署名権者となる場合 | 投資確認書 |
| 設立後1年以内の上記変更 | 命令施行後に設立し、対象変更を1年以内に申請する場合 | 確認書に加え、設立時の株金受領を示す投資説明書・銀行明細 |
自社の申請が対象かは、設立日、変更前後の外国人比率、マネージングパートナー、取締役と署名条件で変わります。提出前に最新版の命令とDBDの登録担当窓口で確認してください。
登記時に説明する中心は「誰が払い、会社がどう受け取ったか」
命令2/2569の添付様式では、タイ人株主・パートナーごとの出資額、送金日、銀行・支店、送金元口座と、マネージングパートナーまたは取締役側の受取口座・入金日を記載します。あわせて、全員が実際に投資・払込みを行い、タイ人が外国人の名義人として支援していないことを確認する書面が用意されています。
| 確認資料 | 確認される内容 | 準備時の注意 |
|---|---|---|
| タイ人株主の口座資料 | 出資に必要な資金を実際に保有・送金したか | 一時的な見せ金ではなく、資金源まで説明できるようにする |
| 会社側の受取口座 | 株金が会社へ実際に入ったか | 出資者、金額、日付を株主名簿・会計と一致させる |
| 投資説明書 | 各出資者の払込みと受領の経路 | 設立と変更で対象様式を確認する |
| 投資確認書 | 実出資であり、名義貸しでないこと | 事実と異なる確認を安易に署名しない |
虚偽の申告は、名義貸しの有無とは別に刑法第137条・第267条の問題になり得ます。命令2/2569の確認書は、刑法第137条について6カ月以下または1万バーツ以下、同第267条について3年以下または6万バーツ以下の罰則を明記しています。
11万件超は「違法会社の数」ではない
DBDの2026年2月発表では、外国人出資が0.01~49.99%の稼働会社11万7,496社を検査母集団として示し、そのうち土地・不動産を保有する2万1,459社を初期重点対象としました。これは名義貸しと確定した件数ではありません。実体のある日泰合弁も含むため、「外国人が49%入っている会社はすべて疑われている」と読むのは誤りです。
同年3月の商務省発表では、1月からの財務証拠確認後、名義貸しの疑いがある登記申請が65%減ったと説明されています。AsiaPicksでも、DBDの財務証拠確認と高リスク登記の減少を報じています。さらに政府は、2026年8月1日から会社登記、株主構成、財務諸表、会計担当者などを組み合わせたリスク分類を強化する方針です。
名義貸しの罰則:タイ人名義人も外国人側も対象

従来の記事では「第36条・第37条が名義貸し禁止」と一括りにされることがありますが、条文の役割は異なります。名義貸しを直接規定するのは第36条です。第37条は、第6条、第7条または第8条に違反して外国人が事業を行った場合の罰則です。
| 条文 | 対象 | 主な法定刑・命令 |
|---|---|---|
| FBA第36条 | 外国人の規制事業を助ける、自己の事業に見せる、株式名義人となるタイ人・FBA上の外国人に当たらない法人、およびその行為をさせる外国人 | 3年以下の拘禁刑、10万~100万バーツの罰金、またはその両方。支援・共同事業・株式保有等の停止命令 |
| FBA第37条 | 第6条・第7条・第8条に反して事業を行う外国人 | 3年以下の拘禁刑、10万~100万バーツの罰金、またはその両方。営業・事業・株式保有等の停止命令 |
| FBA第41条 | 法人の違反を黙認、または合理的な防止措置を取らなかった取締役・パートナー・代表権者 | 3年以下の拘禁刑、10万~100万バーツの罰金、またはその両方 |
| 裁判所命令への違反 | 停止命令後も行為を継続する者 | 違反期間について日額1万~5万バーツ |
FBAだけを見て「罰金を払えば営業を続けられる」と考えることはできません。条文は、刑罰に加えて事業、支援、共同運営、株式保有などを止める裁判所命令を予定しています。会社の取引、従業員、許認可、税務、在留・就労への影響は個別事案と別法令によって変わるため、根拠なく「必ずビザ取消」「必ず会社解散」と断定するのも不正確です。
名義貸しを疑われる証拠:一つの形式より資料の整合性

FBA第30条により、登記官・担当官は事実説明や必要書類を求め、一定の手続きの下で事業所へ入り、事実・書類を確認できます。次は違反を自動判定する一覧ではなく、説明資料を早めに確認すべき兆候です。
実際の調査では、株主名簿だけでなく、同一住所、共通する株主・取締役・会計担当者、複数社をまたぐ資金移動も手掛かりになります。フワイクワンのノミニー企業53社調査や、会社・土地・金融情報を結ぶSPNI-X捜査は、複数資料を横断する具体例です。
| 兆候 | 確認する資料 | 説明できない場合の問題 |
|---|---|---|
| タイ人株主の収入・資産に比べ出資額が大きい | 銀行明細、所得資料、資産売却、正規の借入契約 | 外国人が名義人の資金を用意した疑い |
| 外国人から入金後、同額がすぐ株金へ回る | 送金元、契約目的、返済履歴、会計仕訳 | 実質的な出資者が外国人である疑い |
| タイ人株主が会議・配当・情報取得に関与しない | 議事録、招集通知、投票記録、配当支払 | 株主権が名目的である疑い |
| 白紙の株式譲渡書、辞任届、委任状を預けている | 原本、締結経緯、対価、行使条件 | タイ人の権利が最初から空洞化している疑い |
| 事業損益と無関係な定額の「名義料」を受け取る | 報酬契約、配当、税務申告、会計処理 | 共同投資ではなく名前だけを提供した疑い |
| 登記、契約、銀行権限、実際の運営が食い違う | 定款、株主間契約、署名権、銀行権限、業務承認 | 形式と実態が一致しない |
「何を隠せば調査を避けられるか」ではなく、合法的な事業構造を資料で説明できるかが基準です。記録の作り直し、日付の遡及、名義人への説明の口裏合わせは、元の問題に虚偽申告や証拠の問題を加えるおそれがあります。
重点業種だから違法ではないが、説明資料は先に揃える
DBDの重点確認では、観光・関連サービス、土地取引・不動産、電子商取引・物流・倉庫、ホテル・リゾート、農産物集荷、一般建設などが対象になっています。これらの業種で外国人とタイ人が共同出資すること自体は違法ではありません。外国人需要が強く、外資・土地・許認可・就労の複数規制が重なるため、リスクベースで確認されやすいという意味です。
観光地のホテル、ヴィラ、飲食店では、会社の株主構成が適法でも、土地、建築、ホテル・店舗営業、税務、外国人の就労許可を別々に満たす必要があります。どれか一つの許可が、他の規制を自動的に解決するわけではありません。
事業の名義貸しと土地の名義貸しは法律が異なる

事業の名義貸しは主にFBA第36条の問題です。外国人のためにタイ人やタイ法人が土地を保有する場合は、土地法典が中心になります。会社を使って土地と事業の両方を持つ構造では、FBAと土地法典が同時に問題になり得ます。
| 対象 | 中心となる規制 | 主な結果 |
|---|---|---|
| 規制事業を行うための株式名義貸し | FBA第36条・第37条 | 刑事罰、支援・営業・株式保有等の停止命令 |
| 外国人のためにタイ人が土地を取得 | 土地法典第96条・第113条 | 土地処分と、2年以下または2万バーツ以下、または両方 |
| 外国人が違法に土地を取得 | 土地法典第86条・第94条・第111条 | 土地処分と、2年以下または2万バーツ以下、または両方 |
| 土地登記で虚偽の説明 | 刑法等 | 虚偽申告の内容に応じた別の責任 |
タイ土地局の外国人名義土地の防止措置と土地法典では、外国人側の第111条と、タイ人名義人側の第113条について、2年以下の拘禁刑または2万バーツ以下の罰金、または両方が定められています。土地局長は事案に応じて第94条または第96条に基づき、対象土地を処分させる権限を持ちます。
観光地では会社、土地、代行者まで同時に調べられる事例があります。パンガン島の名義貸し摘発と土地調査、スラートターニーの土地名義貸し警告も、個別事件として確認できます。
外国人が合法的に不動産を持つ代表例
- コンドミニアム法の外国人枠内で住戸を本人名義で取得する。
- 土地法典第96条の2に基づき、4,000万バーツ以上の対象投資、居住用1ライ以内、内務大臣の許可などの条件を満たす。
- 適法な賃貸借や建物権利など、目的に合う契約を個別に設計する。
- BOI促進事業など、別法令で認められる土地保有要件を満たす。
外国人枠、海外送金証憑、権利調査、土地局での移転手続きは、外国人がタイでコンドミニアムを買う方法で確認してください。
名義貸しを使わずタイで事業を行う合法ルート

BOIの2026年会社設立ガイドは、外国人が49%を超えて保有する代表的な経路として、FBL、BOI認定後のFBC、米国投資家向けの友好経済関係条約を挙げています。日本企業・日本人には米国条約ルートは通常使えないため、事業内容に応じて次を検討します。
| ルート | 向いているケース | 確認事項 |
|---|---|---|
| 実体のある日泰合弁 | タイ人・タイ企業が実際に投資し、共同経営する | 出資資金、株主権、役割、損益、デッドロック、出口 |
| 外国人事業ライセンス(FBL) | List 2・List 3の規制事業を外国人として行う | 対象事業、審査権者、最低資本、許可条件 |
| BOI促進+外国人事業証明(FBC) | 投資促進対象事業に該当する | 促進対象、投資条件、実施期限、FBC取得 |
| 規制対象外・業種別制度 | FBAリスト外、または別法令が優先する事業 | 実際の売上活動と許認可を個別確認 |
BOIは、対象事業に投資促進上の恩典と条件を与える制度です。BOIの認定を得ただけで、会社が行うすべての活動や将来追加する事業がFBAから自動的に外れるわけではありません。促進対象、承認された活動、FBC、実際の売上を一致させます。制度全体は、BOIを含むタイの投資規制と投資家保護も参照してください。
会社設立の順番
- 商品・サービス、顧客、契約、収益の流れを一文で定義する。
- FBAリストと業種別法令を確認する。
- 外国人所有比率と必要なFBL・FBC・許可を決める。
- 株主が実際に出資し、権利とリスクを負う資本構成を作る。
- 会社登記、税務、社会保険、ビザ・就労許可を順に整える。
登記、資本金、VAT、社会保険までの実務順は、タイで会社を設立する手順で確認できます。飲食店を開く場合は、会社構成とは別にタイの飲食店営業許可が必要です。
外国人が会社で実際に働く場合は、株主・取締役であることと就労許可を分けます。Non-Bビザ、雇用主、職種、就労場所、e-WorkPermitの確認は、タイの就労許可とNon-Bビザで整理しています。
すでに名義貸しの疑いがある場合の対応

既存構造に不安がある場合、最初に株主を入れ替えたり、過去の契約・議事録を作り直したりするのは危険です。変更自体が新しい登記・税務・契約上の問題を生み、元の資金経路を説明しにくくする可能性があります。
- 記録を保全する:株主名簿、出資時の銀行明細、契約、議事録、配当、会計、税務、署名権、許認可を原本のまま保存する。
- 事実を時系列化する:誰が、いつ、いくらを払い、誰がどの判断をし、利益と損失を誰が負担したかを整理する。
- 事業規制を判定する:現在の実際の活動がFBAのどのリスト、またはどの業種法に当たるかを確認する。
- 独立した専門家へ確認する:当初の設立業者だけでなく、タイ法弁護士へ資料一式を示して意見を得る。刑事リスクがある場合は守秘と利益相反も確認する。
- 合法ルートと実行順を決める:FBL、BOI・FBC、実体ある増資・合弁、事業内容の変更、撤退などを比較し、登記・税務・契約を整合させて実行する。
してはいけない対応
- 過去の日付へ遡った議事録、貸付契約、株式譲渡書を作る。
- 調査前に送金履歴、メール、会計資料を削除する。
- タイ人株主へ虚偽の説明を合わせるよう依頼する。
- 許可を得る前に、別会社や別名義へ同じ規制事業を移す。
タイの名義貸し規制に関するよくある質問
タイ人51%・外国人49%なら合法ですか?
比率だけでは判断できません。タイ人が自分の資金で実際に出資し、株主権と事業リスクを持つ共同事業であれば、51%というだけで違法ではありません。外国人がタイ人分を負担し、規制事業を行うために名前だけを借りる場合は、第36条の対象になり得ます。
外国人が取締役や署名権者になると名義貸しですか?
それだけで名義貸しとは決まりません。ただし、2026年8月1日施行の命令2/2569では、外国人が署名権を持つ会社の新規設立や、変更前は署名権者が全員タイ人だった会社で外国人を署名権者・共同署名権者にする変更など、命令所定の登記が確認対象に含まれます。事業の許可、出資、定款、署名権、実際の運営を合わせて確認します。
外国人100%の会社はタイで作れますか?
作れる場合があります。FBAの規制対象外の事業、FBLを取得した事業、BOI促進を受けFBCを取得した事業、条約や業種別法令で認められる事業などです。「タイでは外国人が必ず49%まで」という説明は広すぎます。
名義貸しの疑いがある会社は、株主を替えれば解決しますか?
単純な入替えで解決するとは限りません。過去の無許可営業や資金経路が消えるわけではなく、変更登記で新たな説明資料も必要になります。資料を保全し、先に事業規制と過去の事実を専門家へ確認してください。
タイ人配偶者の名義で土地を買えば問題ありませんか?
配偶者名義というだけで外国人所有にはなりませんが、実際には外国人のために土地を保有する構造であれば、土地法典上の名義取得が問題になります。婚姻財産の申告、資金源、権利関係を土地局とタイ法弁護士へ確認してください。
当局の調査対象になったら何を出しますか?
案件により異なりますが、株主名簿、出資時の銀行明細、会社口座、契約、議事録、配当、財務諸表、税務、署名権、許認可、実際の業務分担が中心になります。説明を作る前に、原資料を欠落なく保全してください。


