タイ南部のスラートターニー県警察は、新分析ツール「SPNI-X」を導入し、サムイ島、パンガン島、タオ島における外国人による違法な名義借り(ノミニー)事業の摘発を強化しています。このツールは、麻薬密売やマネーロンダリングを含む広範な犯罪ネットワークの解明に活用されており、バンコク・ポストが報じました。
「SPNI-X」で違法ノミニー企業を摘発、30件を捜査中
スラートターニー県警察は、ノミニー企業に対する捜査を加速するため、革新的な分析ツール「SPNI-X」の運用を開始しました。このシステムは、特に観光客に人気の高いサムイ島、パンガン島、タオ島といった島嶼部での違法な事業活動を標的としています。
現在、ノミニー事業に関連する30件のケースが審査されており、捜査は麻薬密売やマネーロンダリングといったより広範な犯罪ネットワークにも拡大されています。現時点までに、61人の容疑者が関与していることが明らかになっています。スラートターニー県警察のソンバット・チャムセーン副司令官は、外国人による違法な事業運営や土地所有に対処する県令に基づき、この作戦が進められていると説明しました。
違法事業への対策強化と専門チームの設立
ノミニー事業の取り締まりを強化するため、スラートターニー県警は3つの島それぞれに専門チームを設置し、これらの複雑な事件の処理に当たっています。これまでのところ、レストラン、レンタカー会社、ビザサービスに関連する4件の事件で裁判所が判決を下しており、その合計損害額は約1,000万バーツ(約5,000万円)に上ります。
さらに、2件のケースが現在も裁判所で審理中であり、10件は捜査が完了し検察への提出を待っています。残りの14件は引き続き捜査中であり、中には最大10億バーツ(約50億円)の損害が推定される極めて複雑な大規模事件も含まれています。これらの違法行為は、タイの経済活動と治安に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
犯罪ネットワークを可視化する「SPNI-X」の威力
この作戦の中心となっている「SPNI-X」は、「Systematic Police Network Investigator (Next-Gen Edition)」の略称であり、スラートターニー県麻薬・マネーロンダリング対策ユニットによって独自に開発されました。この先進的なプログラムは、電話記録、銀行口座情報、各種文書などの膨大なデータを統合し、犯罪ネットワークの全体像をマッピングし、詳細な時系列を構築することができます。
このデジタルツールは、現代の複雑な犯罪捜査において、従来の捜査手法では困難だった隠れたつながりやパターンを可視化することで、捜査の効率性と精度を飛躍的に向上させています。金融機関によるモバイルバンキングやフィンテックの普及が進む中、このようなデジタル金融サービスのデータ活用は、犯罪摘発の鍵となっています。
麻薬密売・マネーロンダリング捜査での実績
ソンバット副司令官は、「SPNI-X」システムが既に大規模な薬物事件においてその有効性を証明したと述べました。この事件では、メタンフェタミン34万錠と結晶メタンフェタミン950グラムが押収され、犯罪組織の壊滅に貢献しました。
捜査の結果、53件の逮捕状が発行され、麻薬ネットワークに関連する15人とマネーロンダリングの容疑で46人の、合計61人の容疑者が逮捕されました。また、約1億バーツ(約5億円)に相当する60の銀行口座の資産が凍結され、18区画の土地が押収されました。この大規模な捜査はわずか1ヶ月で完了し、SPNI-Xの迅速かつ効果的な捜査能力が浮き彫りになりました。


