ホーチミン証券取引所の代表指数VN-Indexが、6営業日連続で下落し、1ヶ月半ぶりの安値を記録しました。朝方には一時回復の兆しを見せたものの、不動産や銀行など主要銘柄の売り圧力が広がり、市場全体が大幅な下落に転じました。VnExpressの報道によると、この連続下落で指数は合計60ポイントを失っています。
ホーチミン市場、6営業日連続下落の背景
ベトナム経済の中心地であるホーチミン市を代表するVN-Indexは、今朝方には一時12ポイント以上上昇し、1,860ポイント近くまで回復する兆しを見せました。しかし、この好調は長く続かず、主要銘柄からの売り圧力が広範に及び、指数は昼休み前に赤字に転じました。その後も下落幅を広げ、一時は30ポイント近く値を下げる場面もありました。
最終的にVN-Indexは1,826ポイントで取引を終え、これは1ヶ月半ぶりの安値水準です。ユアンタ・ベトナム証券(Yuanta Vietnam Securities)の分析チームは、指数が200日移動平均線(MA200)を下回っていることから、短期的には調整局面が続く可能性が高いと予測しています。
不動産・銀行セクターに広がる売り圧力
ホーチミン市場では、220以上の銘柄が終値で値を下げ、上昇銘柄の約3倍に達しました。特に大型株のポートフォリオでは、26銘柄が下落し、上昇したのはわずか3銘柄にとどまり、市場の深刻な売り圧力が浮き彫りになりました。
中でも不動産セクターは最も強い売り圧力を受けました。ノバランド(Novaland)のNVLはストップ安の14,200ドン(約85円)をつけ、買い手がつかない状況で、売り残が2,400万株以上も残りました。CII、PDR、SCR、DXGなどの中小型不動産銘柄も2.5%以上値を下げました。一方、ビングループ(Vingroup)関連の主要銘柄であるVIC、VHM、VRE、VPLは、ほぼ横ばいか1%近い下落にとどまりました。
その中で、HQCは珍しく市場に逆行し、2営業日連続でストップ高を記録し、1,000万株以上の買い注文が残るなど、注目すべき動きを見せました。
銀行セクターでは、HDBが3.3%下落し、25,000ドン(約150円)の節目を割り込み、下落率を主導しました。CTG、VPB、LPB、TCB、SHBなどの主要銀行株も1%以上値を下げました。対照的に、セアバンク(SeABank)のSSBは1.4%上昇し、14,400ドン(約86円)となり、VN-Indexに最もポジティブな影響を与えた銘柄の一つとなりました。
証券セクターも全体的に赤字に包まれ、TCX、VIX、VND、VDSなどが軒並み値を下げ、2%以上の下落が一般的でした。
FPTが市場を支え、流動性は改善
市場の逆風の中、情報通信大手FPTは、2.6%上昇して75,000ドン(約450円)近くまで値を上げ、VN-Indexに1ポイント近く貢献する重要な支えとなりました。FPTは、取引額が1兆ドン(約60億円)を超える唯一の銘柄でもありました。
今回の取引で唯一の明るい兆候は、市場の流動性が週初めから4兆ドン(約240億円)増加し、合計19兆ドン(約1,140億円)に達したことです。資金は主にVN30グループに集中し、約12兆ドン(約720億円)が取引されました。
外国人投資家の売り越しと今後の見通し
外国人投資家は、売り越しを継続し、5,400億ドン(約32.4億円)の純売却を記録し、13営業日連続の売り越しとなりました。特にACB、HPG、HDBへの資金引き揚げ圧力が集中しました。
ベトコムバンク証券(Vietcombank Securities)の分析チームは、VN-Indexが下降トレンドを抜け出せていない状況において、投資家は新規買いに対してより慎重になるべきだと提言しています。現在の推奨戦略は、市場の変動を利用して、保有銘柄の短期的な売買を行うことです。
ベトナム経済における株価変動の構造的背景
ベトナム社会主義共和国では、1986年のドイモイ(刷新)政策導入以降、市場経済化を進め、輸出と外国投資を原動力に高い経済成長を達成してきました。特にホーチミン市はベトナム経済の中心地であり、その株式市場の動向は経済全体の健全性を示す重要な指標とされています。今回のVN-Indexの連続下落は、単なる市場の調整だけでなく、輸出依存度が高いベトナム経済が抱える構造的な課題や、外国投資の動向が市場に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにしています。
今回のホーチミン市場の連続下落は、ベトナム経済が直面する構造的な課題、特に不動産市場の動向と金融市場の連動性の高さを示唆しています。ベトナムでは住宅市場や住宅金融に関する制度改革が進められてきましたが、依然として不動産セクターへの依存度が高く、これが金融市場全体の不安定要因となる可能性があります。経済の高成長を支えてきた市場経済化のプロセスにおいて、機能的で持続可能な金融市場の構築が引き続き重要な課題となっています。
ベトナムに在住する日本人やベトナム市場に進出する日系企業にとって、今回の株価下落は、今後の投資戦略や事業計画を再考するきっかけとなるでしょう。特に、輸出や外国投資に大きく依存するベトナム経済においては、グローバル経済の変動や国内の金融政策が企業活動に直接的な影響を及ぼします。市場の不安定化は短期的な機会創出にも繋がる一方で、流動性リスクやセクターごとの健全性をより慎重に見極める必要があり、情報収集とリスク管理の徹底が求められます。


