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中東情勢緊迫化、石油大手は新規油田探査を世界で加速

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イランによる中東でのエネルギーインフラ攻撃とホルムズ海峡の混乱を受け、エクソンやシェブロンなどの大手石油会社がアフリカや南米など世界各地で新たな油田探査に乗り出しています。この動きは、地政学的リスクの高まりと原油価格の高騰が背景にあり、VnExpressの報道によると、各社はリスク分散と長期的な利益確保を目指しています。

中東情勢が世界の石油探査を加速

イランによる中東地域でのエネルギーインフラ攻撃と、世界的な原油輸送の要衝であるペルシャ湾、特にホルムズ海峡での航行妨害の動きが、世界的な石油探査の波を加速させています。この紛争により、一部の西側石油会社は数十億ドル規模の収益を損失する事態に直面しましたが、一方で原油価格が急騰し、新たな投資機会を創出している側面もあります。米国産WTI原油は現在1バレル90ドル前後で推移しており、紛争前と比較して大幅に高い水準にあります。一時、ホルムズ海峡の再開により価格は下落しましたが、その後の閉鎖で再び高騰するなど、地政学的リスクが価格に直接影響を与えています。経済産業省の資料によると、日本のエネルギー資源はほとんどを海外からの輸入に依存しており、中東情勢の悪化はエネルギー安全保障に直結し、日本経済にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

大手石油会社が新天地を求めて動く

こうした状況の中、大手石油会社は積極的な投資戦略を展開しています。エクソンはナイジェリアの深海油田に最大240億ドルを投資する計画を打ち出し、シェブロンはベネズエラでの存在感を拡大。BPはナミビア沖の油田権益を取得し、トタルエナジーズはトルコと探査契約を締結しました。エネルギー調査・コンサルティング会社のウッド・マッケンジーは、これら大手石油グループが今後の探査活動から総額1200億ドルの経済価値を生み出す可能性があると試算しています。米国エネルギー長官のクリス・ライト氏らは、世界的な供給不足のリスクを抑えるため、企業に対し生産量をさらに増やすよう要請。各社は高価格を最大限に活用しつつも、大規模な新規投資によるコスト増を避けるため、予算内で生産を最大化する戦略を取っています。ウッド・マッケンジーによると、大手各社は2021年から2025年にかけ、年間平均190億ドルを探査活動に費やしています。

供給リスクと中東からのシフト

ホルムズ海峡が閉鎖された場合、世界の石油および液化天然ガス供給の約20%が失われるとされています。実際に中東で活動する一部の西側企業はすでに大きな損害を受けており、エクソンは第1四半期に生産量が6%減少したと発表。カタールでのガス施設が損傷したため、年間約50億ドルの収益を失うリスクに直面しており、パートナーのカタールエナジーは修復に最大5年かかる可能性があると見積もっています。アナリストは、中東での紛争が完全に解決されるまでは、西側企業がこの地域で大規模な契約を結ぶことは難しいと見ています。この経済的影響を受け、企業はグローバルなポートフォリオを多様化し、リスクを分散させる必要に迫られています。ウッド・マッケンジーは、2050年までの需要を満たすためには、新たに3000億バレル相当の石油資源を見つける必要があると指摘しています。

アフリカ、南米、東地中海に集中する新規探査

エクソン、シェブロン、シェル、BP、トタルエナジーズといった主要企業は、今後10年間の埋蔵量を補充するため、アフリカ、南米、そして東地中海での新たな掘削機会に照準を合わせています。エクソンは先週、ギリシャ沖での掘削計画をさらに進め、ここ数カ月でイラク、トルコ、ガボンと予備探査契約を締結。トリニダード・トバゴの深海域でも石油・ガス探査を進めており、昨年の国際事業費用は約90億ドルに上りました。シェブロンも探査部門を強化し、昨年は石油・ガス探査会社のヘスを530億ドルで買収。トタルエナジーズの元幹部であるケビン・マクラクラン氏を副社長に任命し、今年は世界中のオフショアプロジェクトに70億ドルを投じる予定です。

ベネズエラ:米国の新たな戦略的拠点か

ホワイトハウスは米国の石油会社に対し、ベネズエラの石油産業への投資を増やすよう働きかけています。しかし、長年にわたる劣悪な管理体制により産業が荒廃したため、ほとんどの企業は依然として慎重な姿勢を崩していません。シェブロンは現在、ベネズエラ最大の外国投資家であり、ロイターによると先週、同国での事業拡大に向けた資産交換合意を締結しました。ベネズエラは米国製油所で需要の高い重質油を豊富に埋蔵しています。ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)は、シェブロンとの合弁事業でさらに13%の株式を売却し、シェブロンが30%の株式を保有する別のプロジェクトも採掘権を付与されました。シェブロンは今年、エジプトでの探査を予定しており、以前にはギリシャ沖で4つの採掘許可とリビアで1つの油田区画を取得しています。

中長期的な原油価格高騰の見通しと今後の動向

ホルムズ海峡の混乱が解決されたとしても、今後数ヶ月間は原油価格が高水準を維持すると予測されています。リスタッド・エナジーの専門家、シュライナー・パーカー氏は、「長期的な高価格は探査活動にとって最も有利な要因です。中長期的に見れば、ペルシャ湾からの原油1バレルにはリスクプレミアムが上乗せされることになり、これが企業を新たな探査地域へとさらに駆り立てるでしょう」と結論付けています。タイの中央銀行総裁も、原油輸入の約6割を中東に依存し、その大半がホルムズ海峡を通るため、ホルムズ海峡封鎖はアジアのエネルギー危機に直結すると認めており、日本の資源輸入状況と同様に、アジア各国も地政学リスクの影響を強く受けることになります。

今回のニュースは、中東の地政学的リスクが世界のエネルギー供給網に与える構造的な影響を明確に示しています。イランによるインフラ攻撃やホルムズ海峡の航行妨害は、単なる一時的な混乱に留まらず、大手石油会社がリスク分散と供給源の多様化を加速させる長期的なトレンドを生み出しています。日本のエネルギー安全保障は中東からの輸入に大きく依存しているため、主要産油国以外の地域での探査活動の活発化は、国際的な供給構造の安定化に寄与する可能性があり、注目に値します。

このグローバルなエネルギー供給網の変化は、日本の在住者や日系企業にとっても間接的な影響を及ぼすでしょう。原油価格の高止まりは、物流コストや製造コストの上昇を通じて、ベトナム経済を含むアジア各国の物価に影響を与える可能性があります。また、日本企業が事業を展開する上では、エネルギー調達戦略の見直しや、再生可能エネルギーへの投資加速といった中長期的な視点での対応が求められるかもしれません。シェールオイル開発・増産による米国の原油輸入量減少が過去に世界のエネルギー市場に与えた影響を鑑みると、今回の新規探査地域の拡大も、新たな市場構造の形成につながる可能性を秘めています。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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