ベトナムの大手家電量販店ディエン・マイ・サイン(Dien May Xanh)が、2024年第1四半期に純利益が前年同期比で約1.5倍となる2兆2060億ドン(約132億3600万円)を達成し、驚異的な成長を遂げました。これは1時間あたり10億ドン以上(約600万円)の利益に相当し、同社は今年の新規株式公開(IPO)も計画しています。VnExpressが報じたところによると、同社の急成長はベトナム国内の旺盛な消費需要と海外市場での成功に支えられています。
驚異的な利益成長とベトナム経済
ベトナムの大手家電量販店ディエン・マイ・サインを傘下に持つ投資会社は、2024年第1四半期に売上高32兆6100億ドン(約1956億6000万円)を記録し、前年同期比で約30%の大幅増となりました。特に注目すべきは、純利益が2兆2060億ドン(約132億3600万円)と、前年同期比で約1.5倍に急増した点です。これは平均して1日あたり245億ドン(約1億4700万円)、1時間あたり10億ドン以上(約600万円)という驚異的な利益を上げている計算になります。純利益率は6.8%に改善し、ベトナム経済が力強く成長する中で、消費者の購買力向上と中間層の拡大が同社の業績を大きく後押ししていることが伺えます。アジアの経済成長を牽引するベトナムでは、金融市場の成長とともに消費市場も拡大しており、ディエン・マイ・サインはその恩恵を最大限に享受しています。
成長を牽引する主要ブランドと商品カテゴリ
ディエン・マイ・サインの成長は、複数の事業部門によって支えられています。特に、Apple製品を専門とする「Topzone(トップゾーン)」は前年比42%増と最も速い成長率を記録しました。次いで携帯電話販売の「テ・ゾイ・ジ・ドン(The Gioi Di Dong)」が34%増、主力の「ディエン・マイ・サイン」も30%以上の伸びを見せています。商品カテゴリ別では、携帯電話が65%増と驚異的な伸びを示し、家電製品と冷蔵庫のグループも共に45%増と好調です。これらの数字は、ベトナムの消費者がスマートフォンや最新家電に対する高い需要を持っていることを明確に示しており、ASEAN諸国全体で消費者の要求水準が高まっている傾向と一致しています。第1四半期末時点の店舗数は、ディエン・マイ・サインが2,006店舗、テ・ゾイ・ジ・ドンが929店舗、Topzoneが85店舗と、年初から変更はありません。
革新的なサービスとデジタル戦略の推進
同社は小売販売だけでなく、サービス部門でも大きな成果を上げています。「トー・ディエン・マイ・サイン(Tho Dien May Xanh)」と名付けられた技術サービス部門は、売上高7,000億ドン(約42億円)を達成し、前年比45%増となりました。8,000人以上のスタッフを抱え、外部顧客からの収益が18%を占めています。また、デジタルチャネルでは、統合型スーパーアプリが2兆ドン(約120億円)の売上を記録し、4,400万回ものアクセスを集めました。平均注文額も28%増加しており、小売、サービス、金融を統合した「オンライン大手スーパー」モデルを目指しています。これは、ベトナムにおけるデジタル経済の成長と、消費者のオンラインショッピングへの移行が加速していることを示しており、同社の革新的な取り組みが市場の需要と合致していると言えるでしょう。
インドネシア市場での躍進と今後のIPO計画
ディエン・マイ・サインは国内市場だけでなく、海外市場でも成功を収めています。インドネシアでの合弁事業「EraBlue(エラブルー)」は、9,060億ルピア(約1,400億ドン、約8億4000万円)の売上を達成しました。インドネシアの各店舗における平均売上高は、ベトナム国内の同等モデルと比較して1.5倍から2.6倍も高く、現地の消費市場の潜在力の大きさを浮き彫りにしています。現在212店舗を展開しており、2027年までに約2倍、2030年までに4倍の1,000店舗体制を目指すという積極的な拡大戦略を描いています。インドネシアの経済成長とインフラ整備の進展が、この海外事業の成功を後押ししています。
同社は今年、規制当局の承認を得た後、新規株式公開(IPO)を実施する計画です。最大1億7,950万株(資本の16.3%に相当)を公開し、1株あたり16,163ドン(約97円)を下回らない価格で売り出す予定です。IPOで得られた資金は、主に短期債務の返済に充当される見込みです。2025年の目標としては、売上高122兆5,000億ドン(約7,350億円)、純利益7兆3,500億ドン(約441億円)を設定しており、それぞれ2025年比で約12%増、27%増を目指しています。このIPOは、ベトナムの金融市場のさらなる活性化にも寄与すると期待されています。
今回のディエン・マイ・サインの目覚ましい業績は、ベトナム経済が輸出主導型から国内消費主導型へと構造的にシフトしている現状を色濃く反映しています。中間層の急速な台頭と都市化の進展が、家電やデジタル製品への需要を押し上げ、同社のような小売企業に巨大な成長機会をもたらしていると言えるでしょう。これは、ASEAN地域全体で見られる消費市場の拡大と高い要求水準を持つ消費者の増加というトレンドとも完全に一致しています。
在ベトナムの日本人や日系企業にとって、このニュースはベトナム市場の活況と消費者の購買力向上が続いていることを示唆しています。ディエン・マイ・サインの成功は、単に小売業の好調だけでなく、デジタルサービスや海外展開といった多角的な戦略が成功の鍵を握ることを教えてくれます。今後、ベトナム市場でビジネスを展開する上では、オンラインとオフラインを融合した顧客体験の提供や、現地の消費トレンドへのきめ細やかな対応がますます重要となるでしょう。


