ホーチミンで金価格が急騰し、投資家の注目を集めています。この急激な価格上昇は、国際的な金相場の上昇と地政学的緊張の緩和期待が背景にあると、ベトナムの主要経済メディアVnExpressが報じました。
この記事の要約
- ホーチミンでは4月14日午前、サイゴン宝石会社(SJC)が金価格を2度にわたり引き上げました。
- 国際的な金価格は、米イラン間の紛争解決への期待から上昇し、国内価格もこれに追随する形となりました。
- 国内金価格と国際価格との乖離は縮小傾向にあるものの、投資家は金利動向や地政学リスクへの金の役割を注視しています。
ホーチミン金価格が急騰、国際情勢が影響
4月14日午前、ホーチミンのサイゴン宝石会社(SJC)は、取引開始からわずか30分の間に金価格を2度にわたり引き上げました。午前9時には、金塊価格は1タエルあたり1億7,050万ドンから1億7,300万ドン(約102.3万円〜103.8万円)で取引され、他の大手ブランドも同様の価格を提示しました。また、SJCのプレーンな金リングも売買価格で150万ドン(約9,000円)の急上昇を見せ、1タエルあたり1億7,020万ドンから1億7,270万ドン(約102.1万円〜103.6万円)となりました。
この国内金価格の上昇は、国際的な金相場の高騰に連動しています。同日午前、世界の金スポット価格は1オンスあたり29ドル近く上昇し、4,768ドルに達しました。この貴金属価格の反発は、米国とイラン間の紛争終結に向けた合意への期待感が背景にあるとされています。米国がホルムズ海峡を封鎖しているにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領は、イラン当局が「合意を交渉したい」と彼の政権に接触してきたと述べています。
金市場の新たな動向:金利と地政学リスクの狭間
Global X ETFs Australiaのストラテジストであるジャスティン・リン氏は、現在の金価格は地政学的リスクに対する安全資産としての役割よりも、金利期待に反応して変動していると分析しています。同氏は、短期的にはインフレが貴金属に圧力をかける可能性がある一方で、それがマクロ経済成長を鈍化させる要因となり、結果として金には「利益をもたらす」可能性があると評価しています。
ベトナム国内の金価格は、ベトコムバンクの為替レートで換算すると、国際金価格に比べて1タエルあたり約2,100万ドン(約12.6万円)高い水準にあります。これは3月末に記録した過去最高の3,000万ドン(約18万円)の乖離から縮小しており、市場の安定化を示唆しています。
銀価格も上昇、市場全体の動向
金だけでなく、銀塊や銀地金も2.9%の上昇を見せています。フー・クイは銀を1タエルあたり297万ドンから296万ドン(約1.78万円〜1.77万円)、1kgあたり7,660万ドンから7,900万ドン(約45.96万円〜47.4万円)で提示しています。アンカラットは286万ドンから295万ドン、サコムバンクSBJは286万ドンから294万ドンで取引されており、貴金属市場全体で価格が上昇傾向にあることがうかがえます。
AsiaPicks View
ベトナムでは、過去の経済危機やドン安基調の際に、株式や不動産といったリスク資産から安全資産である金や米ドルに資金が退避する傾向が見られます。地政学的緊張が高まると、国際的な金価格が上昇し、それに伴い国内の金価格も急騰しやすい構造があります。これは、投資家がインフレや為替レートの変動リスクに対するヘッジとして金を重視していることの表れと言えるでしょう。
在住日本人の生活において、金価格の変動が直接的な物価上昇に直結することは少ないですが、ベトナム経済全体のインフレ懸念やドン安につながる可能性はあります。特に、現地で資産運用を検討している方は、金を長期的なヘッジ資産と捉えるか、短期的な投機手段と捉えるかによって戦略が異なります。現在の高騰局面では、利益確定売りや市場の急変による短期的な投機リスクも高まるため、慎重な情報収集と判断が求められます。


