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ベトナム建設省、交通インフラ10年保証提案を却下

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ベトナム建設省は、交通インフラの保証期間を10年に延長するというソン・ハイ・グループの提案を却下しました。この提案は、年間約750億円のメンテナンス費用削減が見込まれていましたが、建設省は保証とメンテナンスの根本的な違いや、建設コスト増大のリスクを指摘。VnExpressが報じたところによると、請負業者名の公開掲示や保証金留保の廃止提案も同様に退けられました。

ベトナム建設省、交通インフラの10年保証提案を却下 – 経済に影響

ベトナム建設省は、国内の交通インフラ建設大手であるソン・ハイ・グループ(Son Hai Group)が提出した、交通インフラの保証期間を現在の2年から10年に延長するという提案を正式に却下しました。この決定は、ベトナムのインフラ整備政策における重要な局面を示しており、建設業界や在住日本人、日系企業にも影響を与える可能性があります。

保証期間延長の背景とソン・ハイ・グループの主張

ソン・ハイ・グループは、2024年4月に交通インフラの保証期間延長を提唱しました。同社は、既存の保証期間がインフラの寿命に比べて短すぎると主張。仮に保証期間を1年延長するだけで、ベトナム道路局が年間12兆5000億ドン(約750億円)以上のメンテナンス費用を節約できると試算しました。さらに8年延長すれば、その節約額は100兆ドン(約6000億円)を超えると見込んでいました。これは、インフラ維持管理における大きな財政的メリットとして注目されていました。

建設省の反論:保証とメンテナンスの違いを強調

しかし、建設省はこの計算が保証とメンテナンスの本質を正しく反映していないと反論しました。建設省は、保証とは請負業者の施工不良によって生じる欠陥に適用されるものであり、メンテナンスはインフラの寿命を通じて継続的に行われる活動であると強調。ベトナム道路局が2025年に予定している約750億円の予算は、定期的な維持管理、運用中の損傷修理、自然災害からの復旧、国道の維持管理などに主に充てられるものであり、請負業者の過失による修理費用だけではないと指摘しました。

コスト増大と修理サイクルへの影響

ベトナム道路交通インフラ投資家協会も、すべての交通プロジェクトに10年間の保証期間を義務付けると、保証金、保険費用、リスク引当金、さらには入札価格が大幅に上昇すると懸念を示しました。現在の建設業界は、資材価格、燃料費、借入金利、輸送費の高騰という大きな圧力に直面しており、このような規制はプロジェクトの総投資額をさらに押し上げ、インフラ整備のコストを増加させる可能性があります。

また、建設省は10年という保証期間が、現在の交通インフラの修理サイクルにも適合しないとしました。アスファルト舗装は通常、供用開始から約5年後に修理が必要となり、2回の中規模修理後に大規模な改修が行われるのが一般的です。このようなサイクルを考慮すると、10年間の保証期間は「保証業務の本質と一致しない」と建設省は述べています。

請負業者名の公開掲示と保証金制度の維持

ソン・ハイ・グループは、品質管理を強化するために、請負業者名を公に掲示することも提案しましたが、これも却下されました。建設省は、既存の法律により、建設中に投資家、請負業者、設計・監督部門の名前を含む情報看板の設置が義務付けられているものの、完成後の看板維持には同意しないと表明しました。品質向上のためには、技術基準の改善、設計・施工管理の強化、現場監督の強化、請負業者の能力向上など、総合的なアプローチが必要であるとしています。

さらに、ソン・ハイ・グループは、保証期間終了後の保証金や保証の留保を廃止するよう提案しましたが、これも拒否されました。建設省は、現在の法律では契約額の3〜5%を保証金として留保することが義務付けられており、これは請負業者の責任を明確にし、欠陥発生時の資金源を確保するために不可欠であると説明しました。ただし、請負業者が自主的に規定よりも長い保証期間を約束する場合は、投資家と請負業者の間で責任範囲や処理メカニズムについて交渉し、延長期間中の保証金留保の継続を検討できる余地があるとしています。

ベトナムインフラ整備の今後と日系企業への影響

今回の決定は、ベトナム政府が交通インフラの品質管理と財政的持続可能性のバランスを重視していることを示しています。ASEAN諸国全体で経済成長と人口増加に伴うインフラ需要が高まる中、ベトナムも例外ではありません。日本道路などの日系企業もASEAN地域でインフラ整備に貢献しており、ベトナムのインフラ投資動向は日系企業にとって重要な事業機会となり得ます。

建設省は、請負業者情報や品質、保証期間などの情報を国家建設活動データベースや電子ポータルサイトで公開することを検討しており、これにより透明性の向上と国民による監視を促進する方針です。これは、OECDが提唱する国有企業のコーポレートガバナンス・ガイドラインにも沿った、より健全なインフラ管理体制への移行を示唆していると言えるでしょう。

今回のベトナム建設省の決定は、単に保証期間の長短に留まらず、ベトナムにおける公共インフラプロジェクトのガバナンスとリスク管理に関する政府の構造的な視点を明確に示しています。政府は、請負業者の責任を法的に明確にし、欠陥発生時の財政的担保を確保することで、長期的なインフラの信頼性と公共の利益を守ろうとしていると解釈できます。安易な期間延長は、かえって建設コストの増大を招き、結果的に国民負担となる可能性を懸念しているのでしょう。

この政策は、ベトナムでインフラ関連事業を展開する日系企業にとって、契約条件やリスク評価の重要性を再認識させるものです。特に、保証とメンテナンスの範囲を明確に区分し、契約交渉において詳細な取り決めを行うことが不可欠となります。また、政府が請負業者情報のデータベース公開を進める方針は、透明性の高い健全な市場形成を促すものであり、品質と信頼性を重視する企業にとっては追い風となるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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