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バンコク発:XSpring、アジア投資と金積み立てを推奨

※画像はイメージです(AI生成)

タイの投資会社XSpringグループは、地政学的紛争の最悪期は過ぎ去ったとの見解を示し、投資戦略としてアジア市場への傾斜と金(ゴールド)の段階的な積み立てを推奨しています。米国経済への影響からドル安が進むと予測されており、資金がアジアへ流入する可能性を指摘しています。Prachachat.netが報じました。

XSpringの投資戦略:地政学リスクとドル安の行方

クルンタイ・エックススプリング証券(KTX)のシニア投資ストラテジスト、ナットウット・チャンタナチュンラポン氏によると、地政学的紛争の終息時期は不透明ながらも、世界の金融市場は既に最悪期を脱しつつある兆候を見せています。例えば、紛争初期に30ポイントを超えたVIX指数(恐怖指数)は、現在では20ポイントを下回る水準で推移しており、これは投資家がリスクを再び受け入れる「リスクオン」の状態に戻っていることを示唆しています。

現在の世界経済は、通商戦略2025(案)で指摘されるように、国際経済秩序の揺らぎや経済政策の不確実性指数(EPU指数)が過去最高水準にあるなど、依然として不確実性が増大しています。しかし、XSpringグループは、この状況が一部市場にとっては好機となると見ています。

米国経済への影響とドル安の圧力

長引く紛争は米国経済に影響を与えており、特に債券市場では投資家による売却が加速し、国債利回りが上昇傾向にあります。また、変動金利に依存する民間信用市場(Private Credit)も、収益成長に逆行する形で資金調達コストの上昇に直面しており、債務不履行のリスクが高まる傾向にあります。これは、米国の自国第一主義政策が世界経済に与える影響の一環として捉えることができます。

さらに、米国経済の「K字型回復」と呼ばれる構造、すなわち高所得層は好調を維持する一方で、多くの労働者が所得面で圧力を受けている状況が続いています。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策転換の可能性、つまりインフレが高水準に留まる中でも利下げが行われる可能性があり、その結果、米国が「実質金利マイナス(Negative Real Rate)」に陥り、ドル安を招く可能性があります。

アジア市場と金(ゴールド)への資金シフト

米ドルの減価は、世界の投資家のポートフォリオ調整を促す可能性があります。投資家はドル建て資産の保有比率を減らし、金(ゴールド)やアジア地域の市場など、他の資産への配分を増やす傾向が見られるでしょう。チャンタナチュンラポン氏は、「短期的には債券利回りの高止まりが金価格に圧力をかけるかもしれませんが、長期的にはドル安と実質金利低下の傾向が金価格を下支えするでしょう。」と述べています。

したがって、地政学的懸念が続く中で金価格が下落した際は、段階的な積み立ての好機となる可能性があります。また、インフレと実質金利の安定を維持できるアジア地域は、今後際立った存在感を示すと予測されています。

タイ経済の強固な基盤と投資機会

タイは、高水準の国際準備高と低水準の対外債務を背景に、強固なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を維持しています。さらに、中国や日本といった主要経済国が生産コストの上昇に直面しているため、タイは生産拠点の移転先として恩恵を受ける可能性があります。これは、日タイ戦略的経済連携5か年計画における質の高いインフラ開発やデジタル貿易の推進といった取り組みと相まって、タイへの直接投資をさらに加速させる要因となるでしょう。

輸出部門も明確な回復の兆しを見せており、2026年第1四半期の輸出は前年同期比で約17%拡大すると予測されています。これは当初の予測を上回るものであり、今後の上方修正につながる可能性もあります。XSpringは、第2四半期の投資戦略として、アジア地域への投資比率を高め、金価格が下落した際に段階的に積み立てること、そして外国からの資金流入と直接投資の恩恵を受けるタイ株として、GULF、WHA、ADVANC、BBL、CPALLを推奨しています。

地政学リスクとテクノロジー産業への影響

XSpringアセットマネジメントの投資ストラテジスト、ピーラポン・スラッタワニッチ氏によると、ホルムズ海峡の緊張は世界の物流システムに大きな影響を与えています。特に、半導体やハイテク産業の重要な原料である中東からのヘリウム輸出停止は、AIやエレクトロニクス製品の生産能力に将来的に影響を及ぼす可能性があります。これは、米中対立が半導体規制を通じて世界のサプライチェーンに波及する、といった地政学リスクの現実的な側面を示しています。

XSpringAMの投資推奨:米国・日本市場とメガトレンド

XSpringは「選択的投資」戦略を推奨しており、米国および日本市場に引き続き重点を置きつつ、テクノロジー、クリーンエネルギー、原子力エネルギーなどの上流産業、AIおよび半導体サプライチェーンといった長期的な投資テーマに注目しています。同社は、これらのメガトレンドに対応するファンドとして、X-NUCTECHおよびX-JPTOPTECHを推奨しています。

デジタル資産市場の動向と展望

XSpringデジタル社の投資ストラテジスト、パチャリタ・タウィースリヤパット氏によると、デジタル資産市場は他の資産クラスと比較して横ばいの動きを見せています。ビットコイン価格はピークから40%以上下落しましたが、これは市場の過熱感を冷ます価格構造のリセットと捉えられており、短期的な動きは激しい調整よりもレンジ内での推移が予想されます。

重要な推進要因は、スポットビットコインETFへの機関投資家資金の継続的な流入であり、長期的な信頼感を反映しています。イーサリアムも買いを集めていますが、ビットコインほど目立っておらず、ビットコインが市場のリーダーとしての役割を維持しています。第2四半期に注目すべき要因としては、米国の規制進展(CLARITY法案など)、SECとCFTCの共同規制、そして市場規模が3000億ドル(約150兆円)を超えるステーブルコインの実用化と受け入れ拡大が挙げられます。

今回のXSpringグループによる投資見解は、タイ在住の日本人投資家や日系企業にとって、今後の資産運用戦略を練る上で重要な示唆を与えます。地政学リスクが依然として存在する中で、米国一極集中からアジア市場への分散投資、特にタイが持つ経済的な安定性と成長可能性に注目することは、リスクヘッジとリターン追求の両面で合理的と言えるでしょう。また、金(ゴールド)の段階的な積み立て推奨は、インフレヘッジや有事の際の安全資産としての役割を考慮すると、ポートフォリオの多様化に貢献するはずです。

タイ経済は、政府が推進するインフラ開発やデジタル化戦略、そして周辺国からの生産拠点移転の恩恵を受け、構造的な成長フェーズに入りつつあります。これは、経済産業省が示す「通商戦略2025(案)」や外務省の「タイ国別評価」で強調される、タイの強靭な競争力とデジタル技術を基盤とした経済構造への転換と一致します。長期的な視点で見れば、タイの国内市場の成長と国際的なサプライチェーンにおける重要性の高まりが、外国人投資家にとって魅力的な要素となるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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