ホームタイバンコク発着便にも影響か?中東情勢でタイ航空株価低迷

バンコク発着便にも影響か?中東情勢でタイ航空株価低迷

※画像はイメージです(AI生成)

中東情勢の長期化がタイの航空業界に深刻な影響を与え、燃料費高騰によりタイ国際航空(THAI)やタイ・エアアジア(AAV)が大きく影響を受けています。世界の航空会社はすでに15万便以上の運航計画を削減しており、タイの航空会社も減便を余儀なくされています。Prachachatの報道によると、この状況は航空券価格の上昇と需要の減退を招き、第2四半期には一部航空会社の業績がさらに悪化する見通しです。

中東情勢がタイ経済と航空業界に与える影響

中東における紛争の長期化が懸念されており、その影響は世界の経済に波及し、タイ経済にも大きな打撃を与えています。国際通貨基金(IMF)は、2026年のタイの経済成長率がASEAN地域で最低水準になると予測。特に航空業界は、燃料費の高騰という形でこの影響を直接的に受けています。

経済産業省の「通商戦略2025(案)」やAccentureの「マクロ経済レポート(2025年総括)」が指摘するように、世界の不確実性は2024年末から2025年にかけて過去最高水準に達しており、地政学的緊張が経済に与える影響は無視できません。タイ経済は観光業への依存度が高いため、航空業界の低迷は国内経済全体に大きな影を落とすことになります。

世界の航空業界に広がる運航便削減の波

カシコン銀行リサーチセンターの分析によると、中東情勢は世界の航空業界に甚大な影響を及ぼしています。2026年3月から6月にかけて、世界の国際線で15万便以上の運航計画がすでに削減されました。この背景には、航空会社のコストの3分の1以上を占める燃料費の高騰があります。2026年初頭と比較して、航空燃料価格は1バレルあたり209ドル(約1,045円)に達し、129%も急騰しています。

燃料費の高騰は、航空券価格にも直結しています。2026年4月には、ヨーロッパからタイへの航空券価格が平均で58%上昇。これにより、旅行需要が減退する傾向が見られます。さらに、ホルムズ海峡危機が解決されない場合、一部の国では航空燃料の供給不足が発生し、世界のフライト数がさらに減少するリスクも高まっています。

タイ国際航空(THAI)も5月に運航便数を削減

こうした状況を受け、タイのフラッグキャリアであるタイ国際航空(THAI)は、2026年5月に複数の路線で運航頻度を削減する計画を発表しました。国内線だけでなく、ASEAN、アジア、ヨーロッパ方面の国際線も対象となります。これは、燃料費の高騰に加え、観光の閑散期における旅行需要の低迷が主な要因です。バンコク発着便の選択肢が減ることで、在住日本人の旅行計画にも影響が出る可能性があります。

タイ主要航空会社への影響度比較:AAV、THAI、BA

ユアンタ証券(タイランド)のアナリストは、地政学的要因による燃料費高騰がタイの航空会社に与える影響を分析しています。最も打撃を受けるのは、低コスト航空会社(LCC)であるタイ・エアアジア(AAV)です。AAVは燃料費がコストに占める割合が高く、原油価格変動への感度が高いとされています。次に影響が大きいのはフルサービスキャリアのタイ国際航空(THAI)で、使用燃料の量に比例して影響を受けます。

一方、バンコク・エアウェイズ(BA)は、空港運営などの他事業からの収入があるため、航空事業の燃料費高騰による影響を最も小さく抑えられています。また、BAは機材の最適化やリース機材の返却により、コスト管理を徹底している点も強みです。第1四半期(1月~3月)は観光のハイシーズンであったため、航空業界全体で前四半期比での業績改善が見込まれますが、前年同期比ではBAのみが成長する可能性が高いと分析されています。

航空券価格への転嫁とヘッジングの重要性

航空会社は、高騰する燃料費の一部を燃料サーチャージとして乗客に転嫁していますが、コスト全てを転嫁することは困難であり、依然として一部を自社で負担しています。航空券価格の上昇は業界全体の傾向ですが、各社のコスト構造や価格戦略によってその度合いは異なります。

燃料価格変動リスクへの対策として、燃料の価格ヘッジング(保険)が重要となります。バンコク・エアウェイズ(BA)とタイ国際航空(THAI)は、年間燃料使用量の約30〜50%をヘッジしていますが、タイ・エアアジア(AAV)はヘッジ水準が比較的低く、燃料価格の変動に対してより脆弱な状況にあります。

第2四半期以降の業績悪化懸念

ユアンタ証券のアナリストは、地政学的状況の長期化と高止まりする燃料価格が続けば、2026年第2四半期にはその影響がより鮮明になると指摘しています。観光需要の減速と高コストが重なり、一部の航空会社は赤字に転落する可能性も浮上しています。タイ在住者や旅行を計画している方は、航空券の価格変動や運航状況に注意を払う必要があります。

中東情勢の長期化による航空燃料費の高騰は、タイ在住の日本人や日系企業の旅行・出張計画に具体的な影響を及ぼすでしょう。特に、低コスト航空会社(LCC)であるタイ・エアアジア(AAV)が燃料費変動に最も脆弱であると指摘されており、LCCの利用を検討している場合は、航空券価格の急な値上げや運航スケジュールの変更に注意が必要です。また、タイ国際航空(THAI)も減便を発表していることから、バンコク発着の国際線や国内線の選択肢が減り、特にプーケットやチェンマイといった人気観光地への移動コストや時間がこれまで以上に増える可能性があります。

今回のニュースは、タイ経済が観光業に大きく依存している構造的な脆弱性を浮き彫りにしています。ジェトロの「2018年の経済見通し」が示唆するように、観光業はタイ経済を牽引する主要な柱ですが、地政学リスクによる航空業界の打撃は、観光客誘致に直結し、ひいてはタイ経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、国際的な不確実性が増大する現代において、タイ政府が観光業以外の経済多角化やインフラ投資(ジェトロの「2018年の経済見通し」でも言及)をいかに進めるかが、今後の経済安定化の鍵となるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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