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バンコク中心に中古住宅市場が急成長、新築を凌駕

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2026年第1四半期のタイ不動産市場において、中古住宅の譲渡件数が新築住宅を大幅に上回り、前年同期比で67%増を記録しました。政府の経済刺激策が背景にあり、バンコクを含む主要都市で需要が拡大しています。タイの不動産情報センター(REIC)の発表をプラチャチャート・トゥラキットが報じました。

タイ不動産市場、中古住宅が新築を凌駕

2026年を通して、タイの不動産市場全体は緩やかな縮小傾向にあるものの、2025年と比較するとその減少幅は小さくなっています。これは、政府が実施した2つの主要な措置、すなわち譲渡費用および抵当権設定費用の減免と、住宅ローン貸付比率(LTV)規制の緩和が大きく寄与しています。これらの政策は「需要サイド」を刺激し、譲渡件数と総額の両方で増加が見られ、タイ国民の住宅需要が依然として高いことを示しています。しかし、購入能力に合わせて、より手頃な価格帯やサイズの物件へと選択がシフトしているのが現状です。

REICのナロンポン・プラパーニリン執行役代理は、2026年第1四半期の住宅市場全体について、譲渡件数が72,583件と前年同期比で11.2%増加したと説明しました。総額では1871億8200万バーツ(約9359億1000万円)と3.1%の増加に留まっていますが、これは譲渡費用・抵当権設定費用減免措置とLTV規制の緩和が奏功した結果です。

政府の支援策が需要を後押し

タイ政府の経済政策は、不動産市場に大きな影響を与えています。過去の財政赤字の拡大傾向が示すように、タイの歳入基盤は脆弱であり、経済刺激策の継続性が市場の安定に不可欠です。今回の譲渡費用・抵当権設定費用減免措置やLTV規制緩和は、特に低中所得者層の住宅購入を後押しし、市場全体を下支えする効果がありました。このような政策は、日本における2013年からの「中古住宅市場活性化」の取り組みと類似しており、既存住宅の流通を促進することで、国民の住まいへのアクセスを改善する狙いがあります。

バンコクと地方主要都市で顕著な成長

地域別に見ると、バンコクが17,746件の譲渡件数で引き続き最大のシェアを占め、11.1%増加しました。しかし、譲渡総額は4.5%減少しています。一方、バンコク近郊のパトゥムターニー県やノンタブリー県を含む「周辺地域」は、件数・総額ともにプラス成長を維持しています。ノンタブリー県では3,961件で15.3%増、総額117億1800万バーツ(約585億9000万円)で10.5%増。パトゥムターニー県では4,915件で6.7%増、総額104億9100万バーツ(約524億5500万円)で3.7%増となりました。

地方では、コンケン県、ラヨーン県、プーケット県といった戦略的な3県での需要拡大が注目されます。コンケン県は1,646件で30.3%増、総額31億4500万バーツ(約157億2500万円)で29.0%増。ラヨーン県は2,691件で24.0%増、総額57億4500万バーツ(約287億2500万円)で25.2%増。そして、プーケット県は譲渡総額が全国で最も大きく拡大し、2,548件で17.9%増、総額103億6500万バーツ(約518億2500万円)で34.9%増を記録しました。これは、高級住宅の譲渡が増加していることを示しています。

高額物件は苦戦、700万バーツ以下の需要が堅調

特筆すべきは、「中古住宅市場」の譲渡件数が「新築住宅」を67%も上回ったことです。特に700万バーツ(約3500万円)以下の価格帯が市場を牽引し、この四半期の主要な推進力となりました。総譲渡件数は69,447件で12.7%増、総額は1412億4200万バーツ(約7062億1000万円)で11.5%増でした。

内訳を見ると、新築住宅の譲渡は21,990件で8.7%増、総額617億1600万バーツ(約3085億8000万円)で6.7%増。一方、中古住宅は47,457件で14.7%増、総額795億2600万バーツ(約3976億3000万円)で15.5%増となりました。

しかし、700万バーツを超える高額物件市場は、新築・中古ともに譲渡件数で明らかに縮小傾向にあります。総譲渡件数は3,136件で14.8%減、総額は459億4000万バーツ(約2297億円)と16.3%減となりました。

ナロンポン氏は、「これは政府の政策の一環であり、タイの人々が豪華すぎる、あるいは不必要な住宅ではなく、自身の経済力に見合った価格帯の住宅を購入する傾向にあるためです。加えて、中古住宅が持つ立地の優位性や、同じ立地の新築住宅よりも価格が手頃であるという魅力が、中古市場の成長を後押ししています」と説明しています。

厳格化する住宅ローン審査とリファイナンスの増加

「住宅ローン」市場も、2023年第4四半期から続いた縮小傾向を脱し、プラスに転じる兆しを見せています。2026年第1四半期の全国の新規個人住宅ローン総額は1215億5700万バーツ(約6077億8500万円)で11.1%増加しました。これにより、システム全体の個人住宅ローン残高は5兆1378億3200万バーツ(約25兆6891億6000万円)となり、2.4%増加しました。

ナロンポン氏は、ローン総額の成長が2.4%に留まったのは、金融機関が新規住宅ローンに慎重で、担保価値が高くリスクの低い物件、特に既存のローン顧客への融資を重視しているためだと指摘しています。この結果、リファイナンス顧客への融資が14%に増加し、2018年の6%から2倍以上に成長しました。一方、新規住宅購入のためのローン申請顧客の割合は現在86%です。

「8年間でリファイナンス顧客への融資が2倍以上に増加したことは、金融機関間の競争が激化し、積極的なプロモーションが行われていることを示しています」とナロンポン氏は述べました。タイ政府住宅銀行(GHB)は、2026年第1四半期に目標の30%にあたる800億バーツ(約4000億円)以上の融資を実行し、5.6%成長しました。そのうち新規ローンはわずか40%でした。

タイ経済の先行きと政府の役割

ナロンポン氏は、これまでの状況は「息苦しい時期だった」と認め、世界的な紛争による原油価格の高騰とタイのインフレがGDPを下押しする要因となっていることに懸念を示しました。米国との貿易戦争の決着も不透明であり、これら2つの要因が解決しなければ、今年のGDP成長率はわずか1.5%に留まる可能性があると予測しています。

「希望は政府の財政政策と政府の安定性にかかっており、これにより4000億バーツ(約2兆円)の借款法案のような経済刺激策が円滑に継続されることが期待されます。これは、今年のGDPをベストケースで2.5%まで押し上げるプラス要因となるでしょう」と彼は付け加えました。

これらの支援要因を考慮し、REICは今年の年間譲渡件数を312,814件(1.1%減)、総額を8452億3500万バーツ(約4兆2261億7500万円、2.3%減)と再予測しました。市場に影響を与える要因としては、LTV規制緩和の1年延長と、インフレと家計債務の高止まりを背景に、譲渡費用・抵当権設定費用減免措置も同様に1年延長されることが予想されます。また、タイの人々の住宅購入行動がより慎重になっていることや、開発業者が供給を抑制していることから、売れ残り物件が減少し、市場は「均衡点」に近づいています。

不動産市場の新たな3つのトレンド

REICは、不動産市場における3つの成長トレンドを特定しています。

  1. グリーンリビングの推進:政府がエネルギー消費削減を支援していることから、省エネ型住宅や太陽光発電システム(ソーラールーフトップ)への需要が高まっています。GHBは、6月に320億バーツ(約1600億円)のソーラールーフトップローンを提供する予定です。
  2. 中古住宅市場の継続的な成長:立地の良さ、手頃な価格、個人の好みに合わせた改装の自由度などが魅力となり、中古住宅市場は今後も拡大する見込みです。
  3. セーフヘイブンゾーンとしてのタイ:タイは「世界で最も住みやすい国」の18位にランクインしており、手頃な不動産価格、良好な環境、整備されたインフラ、そしてアジアのメディカルハブとしての評価が、新たなトレンドとして注目されています。

タイの不動産市場は、政府の経済刺激策と消費者の購買力変化が強く影響しています。過去のパキスタンの例のように、財政赤字の拡大傾向は政府の歳入基盤の脆弱性を示しており、経済政策の継続性が市場の安定に不可欠であることがわかります。特に、低中所得層への住宅支援は、経済全体の底上げにも繋がる重要な施策と言えるでしょう。

在住日本人にとっては、今回の市場動向は新たな住居探しや投資機会に影響を与える可能性があります。特に、中古住宅市場の活性化は、立地の良い物件を新築よりも手頃な価格で見つけやすくなることを意味します。また、金融機関がリファイナンスを重視する傾向は、既存の住宅ローンを抱える在住者にとって有利な条件での借り換えの機会が増える可能性を示唆しており、日系企業にとっては、不動産投資や社員寮の確保において、市場のトレンドを把握した戦略が求められるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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