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バンコク・タイの不動産取引、政府支援で11.2%増

※画像はイメージです(AI生成)

タイの2026年第1四半期における不動産所有権移転件数が、政府の支援策に後押しされ、前年同期比で11.2%増加しました。この成長は、住宅情報センター(REIC)が発表したデータで明らかになり、特にバンコクや主要地方都市で需要が堅調に推移しているとKhaosodが報じています。

バンコクを含むタイ全土で不動産取引が堅調に推移

タイの住宅情報センター(REIC)副所長代理であるナロンポン・プラパーニリン氏によると、2026年第1四半期の住宅市場は、政府の支援策により需要が回復基調にあります。所有権移転件数は前年同期比で11.2%増加し、総額も3.1%増加しました。これは、融資比率(LTV)規制の1年間延長や、700万バーツ(約3,500万円)以下の住宅購入における譲渡・抵当手数料の0.01%への減額といった施策が奏功したものです。

これらの政策は、中東の地政学的状況によるエネルギー価格上昇や建設資材コストの高騰、インフレ傾向など、市場の逆風となる要因を緩和する役割を果たしています。また、政府の4,000億バーツ(約2兆円)規模の財政出動も、経済と住宅市場の急激な落ち込みを防ぐと期待されています。

2026年通年の市場予測とリスク要因

REICは、2026年通年の全国における住宅所有権移転件数が1.1%減、金額が2.3%減にとどまると予測しており、これは当初の予想よりも小幅な減少です。新規住宅ローンの実行額も1.6%減と見込まれています。

しかし、中東情勢の長期化や世界経済・貿易の減速リスクは依然として市場の主要な懸念材料です。タイ国家経済社会開発庁(NESDC)は、GDP成長率を1.5%から2.5%と予測しており、財政政策が経済を支える重要な要素となるでしょう。

バンコクおよび主要地方都市の動向:プーケットが牽引

地域別に見ると、バンコクでは所有権移転件数が11.1%増加しましたが、高額物件の減少により総額は4.5%減少しました。一方、バンコク近郊のノンタブリー県やパトゥムタニ県では、件数と金額ともにプラス成長を維持しています。

地方の主要都市では、特にコンケン県で件数が30.3%増、金額が29.0%増、ラヨーン県で件数が24.0%増、金額が25.2%増と著しい伸びを見せました。中でもプーケット県は、ラグジュアリー物件の取引が活発で、件数が17.9%増、金額は34.9%増と全国で最も高い成長率を記録しています。これは、追加背景データにあるように、東部経済回廊(EEC)開発や外国人投資家からの需要が地方都市の不動産市場を刺激していることを示唆しています。

価格帯別では中間層向けが好調、高額物件は苦戦

価格帯別では、700万バーツ(約3,500万円)以下の物件が市場の主要な牽引役となり、件数が12.7%増、金額も11.5%増となりました。この価格帯では、新築住宅が件数8.7%増、金額6.7%増、中古住宅が件数14.7%増、金額15.5%増と、いずれも堅調な伸びを示しています。

一方で、700万バーツ(約3,500万円)を超える高額物件は、新築・中古ともに明確な縮小傾向にあります。件数は14.8%減、金額は16.3%減となり、中間層向けの住宅が市場の主軸となっていることが浮き彫りになりました。

外国人によるコンドミニアム購入動向:中国マネーの減少とロシアマネーの増加

外国人によるコンドミニアム所有権移転は、全体で17.3%減少し、金額も17.9%減少しました。国籍別では、中国籍による購入が件数で38.8%減、金額で42.9%減と大幅に落ち込みました。これは、コロナ禍以降の中国からの投資マネーの減少傾向と一致します。

しかし、ロシア籍による購入は対照的に、件数で33.0%増、金額で68.7%増と顕著な伸びを見せ、全体の縮小傾向に逆行する動きとなりました。ミャンマー籍の購入も減少傾向にあります。

外国人による購入が集中する地域は、バンコクが金額で全体の45.6%を占め最も多く、チョンブリー県が件数で36.0%と最多でした。プーケット県は、高額物件の取引に牽引され、金額の成長率が34.9%増と最も高くなっています。

住宅ローン市場の回復と今後の課題

住宅ローン市場は、2023年第4四半期以降の縮小傾向から回復の兆しを見せ、2026年第1四半期の新規実行額は11.1%増加し、合計1,215億5,700万バーツ(約6,078億円)となりました。これにより、システム全体の住宅ローン残高は5兆1,378億3,200万バーツ(約25兆6,891億円)に達し、2.4%増加しています。

2026年の住宅市場は、地政学的リスクによるエネルギー危機などの逆風はあるものの、GDP成長予測や政府の財政支援策、LTV緩和措置の延長といったプラス要因により、当初の予想よりも穏やかな減速にとどまると見られています。タイの不動産市場は、国内外の様々な要因が複雑に絡み合いながら推移していくと予想されます。

今回のレポートは、タイの不動産市場が政府の強力な支援策により一時的に持ち直していることを示していますが、在住日本人や日系企業にとっては、価格帯や地域によって異なる市場の動向を慎重に見極める必要があります。特に、バンコクの高額物件市場が伸び悩む一方で、中間層向けや地方の観光・経済圏での需要が堅調である点は、住宅購入や投資を検討する上で重要な考慮事項となるでしょう。政府の支援策は短期的には効果を発揮していますが、その持続性や長期的な市場への影響を注視する必要があります。

また、外国人投資家の動向を見ると、中国マネーの減少が顕著な一方で、ロシアからの投資が急増しているという興味深い構造変化が見られます。これは、特定の国籍の買い手によって市場の需要構造が大きく左右される可能性を示唆しており、特にバンコクやプーケットといった主要都市のコンドミニアム市場にとっては、今後の地政学的状況や各国の経済状況が直接的な影響を与えることを意味します。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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