ベトナムの大型連休を前に、ハノイ発の長距離バス予約が例年よりも低調に推移しています。フン王命日と南部解放記念日・国際労働者デーの二つの連休が間近に迫る中、特に北部方面への早期予約が振るわず、昨年と比較しても予約ペースが鈍いとVnExpressが報じました。
ハノイ発長距離バス、連休前の予約が低調
ベトナムでは4月18日のフン王命日(ギョー・トー・フン・ヴオン)と、4月30日の南部解放記念日、5月1日の国際労働者デーという二つの大型連休が控えています。しかし、多くの長距離バス運行会社は、早期予約が例年よりも低い水準にとどまっていると報告しています。特にハノイからラオカイ(サパ)、ハザン、カオバン、ハイフォンといった人気観光地への路線では、目立った予約増加は見られません。
フタ・ハソン社(Futa – Hà Sơn)のレ・ディン・ズン最高執行責任者(CEO)は、サパやラオカイ方面へ向かう乗客は、バスの供給が豊富で満席の心配が少ないため、通常1~2日前に予約する傾向があると説明。直前予約の習慣が定着していることが、早期予約の低調につながっていると分析しています。また、今年の連休が二つの期間に分散していることも、移動需要が集中せず、分散している一因とされています。
中部方面はやや好調、直前予約が主流に
一方で、ハノイから中部地域へ向かう路線、例えばタインホア、ゲアン、ハティン方面では、北部方面に比べてやや明るい兆しが見られます。しかし、それでも事前予約数は昨年同期を下回っています。バンミン社(Văn Minh)のファム・スアン・クイ副課長によると、ハノイ-ゲアン線ではピークとなる4月25日と29日の便はほぼ満席ですが、その他の日はまだ空席が多い状況です。同社はハノイ-ゲアン、ハティン線で毎日50往復を運行しており、ピーク時にはさらに8台の車両を増便する予定です。15分間隔で運行する便も多く、乗客は「いつでも乗れる」という安心感から、直前予約を選ぶ傾向が強いようです。
運賃は据え置き、燃料高騰と政府の要請
燃料費が高騰しているにもかかわらず、多くのバス会社は今回の大型連休中に運賃を据え置く方針を示しています。ハノイ-ソンラ線は405,000~680,000ドン(約2,430~4,080円)、ハノイ-ディエンビエン線は410,000~680,000ドン(約2,460~4,080円)、ハノイ-ゲアン線は360,000~550,000ドン(約2,160~3,300円)など、主要路線の運賃に大きな変動はありません。
フタ・ハソン社のレ・ディン・ズンCEOは、政府の物価安定化要請に応じ、運賃を調整しないと述べています。その代わりに、乗客の少ない便を減らし、乗車率を高めることでコスト削減を図るとしています。ラオカイ、サパ線を運行するサオベト社(Sao Việt)のドー・バン・バン社長も、燃料費高騰にもかかわらず運賃は据え置き。連休中は片道が混雑し、逆方向が空になる傾向があるため、運航頻度を慎重に調整すると説明しました。ただし、バンミン社は3月以降、燃料費高騰の影響で一部路線の運賃を10%値上げ済みのため、今回の連休中の追加値上げは行いません。
バスターミナルは混雑予測、増便で対応
ハノイのバスターミナル株式会社の予測によると、連休中は各バスターミナルで乗客数が大幅に増加する見込みです。特にザーバット・バスターミナルでは、1日あたり約9,000人の乗客を見込んでおり、これは通常時の200%以上の増加に相当します。ミーディン・バスターミナルでは約11,400人、ザーラム・バスターミナルでは約1,900人の利用客が予想されています。乗客数の増加は、4月24日夜から25日、そして4月29日夜から30日の二つの期間に集中すると見られています。
この需要に対応するため、各バスターミナルは合計で約500便を増便する計画です。ザーバット・バスターミナルは212便、ミーディン・バスターミナルは220便、ザーラム・バスターミナルは68便の追加運行を予定しており、実際の乗客の状況に応じて柔軟に調整されることになります。
ベトナムの大型連休における長距離バスの予約動向は、公共交通インフラの整備進展と国民の移動習慣が密接に関わっている構造が見て取れます。近年、ベトナム政府は都市計画や交通網の充実に注力しており、特に都市間バスの路線網は非常に発達しています。これにより、多くの路線で供給が安定し、乗客は直前でも座席を確保できるという安心感から、計画的な早期予約よりも柔軟な直前予約を選ぶ傾向が強まっています。これは、利便性が向上した現代のベトナム社会における、消費者行動の変化を如実に表していると言えるでしょう。
在ベトナムの日本人旅行者や在住者にとって、この直前予約の傾向は一見便利に見えますが、大型連休中の移動には注意が必要です。燃料価格の高騰にもかかわらず多くのバス会社が運賃を据え置くのは、政府の物価安定化要請に応える側面がある一方で、採算性の維持のため増便には慎重な姿勢を見せています。特に、人気の観光地への移動や、連休のピークとなる特定の日程では、直前でも満席となる可能性は十分にあります。現地での予期せぬトラブルを避けるためにも、特に混雑が予想される時期の移動は、早めの予約や代替手段の検討が賢明でしょう。


