ナコーンパトム県に新たなランドマークとして、芸術と宗教の融合をテーマにした「ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム」の新館「168棟」が建設されています。タイと中国の建築様式を取り入れたこの施設は、文化的な価値と信仰を同時に伝えることを目的としています。タイのニュースメディアKhaosodによると、この新博物館はバンコク近郊の重要な観光スポットとなる見込みです。
タイ・ナコーンパトムに誕生する「ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム」新館
2026年6月2日、ドクター・パークプーム・デチャサクンリット氏は、建設中の「ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム」新館の進捗状況について発表しました。これまでの同ミュージアムは、主にクラシックカーやボートを展示する施設でしたが、新館は芸術、建築、そして宗教的な概念を統合し、文化と信仰の価値を調和させることを目指しています。
幸運を呼ぶ「168棟」:タイと中国の文化が交差する建築
ドクター・パークプーム氏によると、新博物館の目玉となるのが「168棟」です。この建物は、ドクター・パークプーム氏と友人たちが共同で設計した、タイと中国の要素を融合させた現代建築で、信仰、縁起の良さ、現代アートのコンセプトに基づいてデザインされています。
建築には、数字の持つ意味と貴重な素材が重視されています。内部構造の柱には、チェンマイから取り寄せたチーク材が168本使用されています。「168」という数字は、中国の広東語の信仰において「常に豊かになる」という意味を持つ最高の縁起の良い数字とされており、富、繁栄、成功を象徴しています。
また、ベトナムから輸入された6本の巨大なパドゥック材が、本尊の背景として使用されています。ドクター・パークプーム氏は、「6」が彼にとって最も幸運で縁起の良い数字であると述べており、また、ラーマ6世モンクットクラオ国王を人生の模範としていることから、この数字への深い信仰が込められています。
仏教美術と文化多様性の象徴「168棟」
「168棟」は、信仰と決意の象徴として、新しく作られた仏像や数十年前の仏像が安置されています。これらの仏像は、インド産の緑石、ミャンマー産の白翡翠、真鍮、銅などの貴重な素材で作られた高い芸術的価値を持つ作品ばかりです。タイにおける仏教美術は、その地域文化に深く根差しており、華人文化との融合も進んでいます。
「ターニャ棟」と「プルーン棟」:癒しと安らぎの空間
ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム財団顧問のウォーラウィット・チナナーウィン将軍は、新ミュージアムが単なる自動車博物館に留まらず、文化遺産、芸術、信仰の保存を精緻な建築を通して伝える重要なランドマークとなると強調しました。
「168棟」の他にも、主要な2つの建物があります。
- ターニャ棟(癒しと薬の棟):新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経験からインスピレーションを得て、病気の治療薬の重要性を反映しています。内部には、タイと中国の古い薬箱が展示され、両文化の治療法の進化と知識が紹介されています。
- プルーン棟(芸術と休息の棟):過去の雰囲気を再現し、来場者が多様な芸術文化に浸れる空間です。特に、精巧な細工が施されたアンティークの中国式ベッドがハイライトとして展示されており、その価値を次世代に伝えます。
ウォーラウィット将軍は、「この新しいジェーサダー・テクニーク・ミュージアムは、人生の物語、信仰、芸術が完璧に融合した空間であり、芸術、文化、歴史愛好家にとって将来重要なランドマークとなるでしょう」と締めくくりました。
現在、ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム新館は開館に向けて準備を進めており、最新情報やイベントはFacebookページ「Jesada Technik Museum」で確認できます。
今回のジェーサダー・テクニーク・ミュージアム新館の建設は、タイにおける文化遺産の観光資源化と、華人文化の影響が色濃く反映された事例と言えます。特に「168棟」に見られるタイと中国の建築様式や、縁起の良い数字へのこだわりは、タイ社会における華人の存在感と、彼らが持つ伝統的な信仰が、現代の文化施設にも深く根付いていることを示唆しています。博物館が単なる展示スペースに留まらず、文化的な融合と信仰の象徴となることで、地域経済への貢献も期待されるでしょう。
また、この新ミュージアムは、在タイ日本人にとっても、タイの多様な文化を体験する新たな機会となるでしょう。単に観光スポットとしてだけでなく、タイの歴史、芸術、そして人々の信仰心を深く理解するための教育的な側面も持ち合わせています。特に、タイ古来の医療や中国の伝統的な治療法を紹介する「ターニャ棟」は、両国の文化交流の歴史に触れる貴重な場所となり、異文化理解を深めるきっかけとなるはずです。
- ジェーサダー・テクニーク・ミュージアム (既存館):クラシックカーやボートの展示で知られる。ナコーンパトム県。
- ワット・プラパトムチェーディー:ナコーンパトム県にあるタイで最も高い仏塔。新ミュージアム訪問と合わせて巡るのがおすすめ。
- サムプラン・リバーサイド:ナコーンパトム県にある文化体験施設。タイの伝統的な生活や工芸に触れられる。


