タイ株式市場は、中東情勢の緩和を受け反発が期待されています。イスラエルとレバノンの10日間停戦合意が発表され、市場に一時的な安心感が広がりましたが、米国とイランの今後の交渉の不確実性から、ボラティリティは継続するとInnovestX証券が報じています。
中東情勢緩和でタイ株反発か、一方で不確実性も
InnovestX証券は、本日(4月17日)のタイ株式市場(SET)が、中東情勢の緩和を好感して反発基調で推移すると予測しています。前日に大きく売られた銘柄に買い戻しが入る可能性も指摘されています。この背景には、トランプ大統領(元大統領だが、2026年の日付であることから再選している可能性を考慮)が発表したイスラエルとレバノンの10日間停戦合意があり、これにより地域の緊張が和らぐとの見方が強まりました。
しかし、市場は依然として不透明感を抱えています。米国とイランの第2回交渉の日程が未定であり、その結果次第では再び地政学的なリスクが高まる可能性が残されているためです。テクニカル分析では、SET指数が1,485ポイントを下回らなければ、リバウンドの動きが期待できるとされており、支持線は1,485~1,470ポイント、抵抗線は1,510~1,520ポイントと見込まれています。
タイの信用力はASEANで安定、セーフヘイブンの可能性
S&Pグローバル・レーティングスは、ASEAN諸国の信用格付けがエネルギー危機の影響を受けているとしながらも、タイについては強固な財政状況と政策基盤によりリスク耐性が高いと評価しました。ベトナムやマレーシアも対応可能レベルとされていますが、インドネシアが最も脆弱であると指摘されています。この評価は、地政学リスクが高まる国際情勢において、タイが地域内の「セーフヘイブン」として海外からの資金流入を引き寄せる可能性を示唆しています。
日本エネルギー経済研究所の分析も示す通り、エネルギーに関する地政学リスクは世界的に高い状態が続いており、タイのようなエネルギー輸入国にとっては安定した金融・財政が非常に重要となります。
生活費高騰の懸念、消費財・肥料価格上昇へ
国内では、商務大臣が消費財価格の値上げを検討していると発表しました。これは、仕入れコストの高騰が主な原因であり、特に肥料価格は5月中旬に既存在庫がなくなることで、マレーシアやブルネイからの輸入コスト上昇に伴い値上がりする見込みです。この動きは、バンコクをはじめとするタイ全土の家計にとって生活費と購買力を圧迫することになり、以前からの高騰する原油価格と相まって、国民生活にさらなる負担を強いる可能性があります。
エネルギー政策見直しと自動車産業への支援
エネルギー大臣は、4月1日~15日までの精製マージン構造について、緊急にエネルギー政策委員会(กบง.、カボーオーングー)を招集し、見直しを検討する方針を明らかにしました。もし製油所が異常に高いマージンを得ていると判断されれば、精製マージンをさらに引き下げる可能性があります。これは、製油所グループにとって政策リスクとなるでしょう。
一方、財務大臣は、低排出ガス車の利用促進と石油輸入削減を目的とした「旧車買い替え新車補助金」措置を加速させています。初期段階として2万台を対象とし、補助金は自動車メーカーを通じて購入者に直接割引として提供されます。この措置は自動車産業、特にSTANLYのような企業にとってポジティブな影響をもたらすと期待されますが、年間販売台数の約3%に相当する2万台という規模から、全体への影響は限定的かもしれません。
本日の推奨銘柄と市場の見通し
InnovestX証券が本日推奨する銘柄は、通信大手のアドバンツ(ADVANC)と商業施設開発大手のセントラル・パッタナー(CPN)です。市場全体としては、中東情勢の動向や米イラン交渉の進展、そして国内の経済政策が引き続き注目されます。特に、タイ政府が推進する「タイランド4.0」のような産業高度化政策や、ASEAN域内経済統合の進展は、今後のタイ経済の成長を支える重要な要素となるでしょう。
今回のタイ株式市場の反発期待は、一時的な中東情勢の緩和に起因していますが、その背景にある国際的な地政学リスクは依然として構造的な問題として横たわっています。特に、エネルギー価格の変動は、輸入に大きく依存するタイの経済に直接的な影響を与え、物価上昇を通じて家計や企業の経営を圧迫する可能性を常に含んでいます。
S&PがタイをASEAN地域の「セーフヘイブン」と評価している一方で、国内の生活費高騰は在住日本人にとっても無視できない課題です。政府のエネルギー政策の見直しや消費財価格の動向は、タイでの生活コストに直結するため、今後の政策決定とその効果を注視することが、タイでの生活やビジネスを計画する上で非常に重要となります。


