ホームタイタイ政府、VAT引き上げ否定 バンコクの生活費負担軽減へ

タイ政府、VAT引き上げ否定 バンコクの生活費負担軽減へ

※画像はイメージです(AI生成)

タイ政府は、付加価値税(VAT)を現在の7%から10%に引き上げる計画があるとの報道を強く否定しました。政府は、これらの主張を誤報であると説明し、国民の生活費負担を軽減するというコミットメントを改めて表明しています。バンコクポストが報じたところによると、政府は現時点でのVAT引き上げ政策はないと強調しています。

政府、VAT引き上げ報道を強く否定

ラチャダー・ダナディレック副政府報道官は、政府が現在VATを引き上げる政策は持っていないと明言しました。政府の最優先事項は、家計支出を削減し、経済回復を支援することにあると強調。これは、タイが過去の政治的混乱や経済停滞から回復しつつある中で、国民の生活安定を重視する姿勢を示しています。特に、世界経済の不確実性が高まる中、国内経済の安定化と国民の購買力維持は政府にとって重要な課題となっています。

緊急勅令による借入疑惑を払拭

ラチャダー報道官はまた、政府が公務員を迂回して大規模な借入を許可する緊急勅令を出す可能性があるとの批判についても言及しました。同報道官は、パコーン・ニルプラパン副首相の発言は純粋に法的な性質のものであったと説明。憲法第172条に基づけば、新型コロナウイルス感染症パンデミック時のように、緊急事態においてそのような勅令が発行される可能性はあるものの、現時点ではそのような決定は一切行われていないと強調しました。これは、政府が財政運営において透明性を保ち、国民の不安を払拭しようとする意図の表れと見られます。

上院からのVAT引き上げ提言と撤回

一方、上院経済・金融・財政問題常任委員会のカムポン・スパペーン委員長は、国民の混乱を防ぐため、税制再編に関する諮問研究を撤回しました。この研究では、財政能力を強化するために、3年間で毎年1%ずつVATを段階的に引き上げ、主に高所得者層を対象とし、貧困層への影響を最小限に抑えることが提案されていました。カムポン委員長は、上院には内閣にこの提案を強制する権限はないと強調し、タイのVAT率が他のASEAN諸国(最高14%)と比較して比較的低い水準にあることを付け加えました。しかし、政府がこの提案を受け入れなかったことは、現時点での国民負担増への強い警戒感を示唆しています。

国家経済社会開発評議会もVAT調整を否定

国家経済社会開発評議会(NESDC)のダヌチャー・ピチャヤナン事務総長も、VATを調整する計画はないことを確認しました。同事務総長は、経済機関間の会議は、2027会計年度の予算枠に関する定例協議の一部であると説明し、VAT引き上げの議論とは直接関係がないことを明確にしました。政府機関の複数からの同様の否定は、国民の不必要な不安を避けるための協調的な取り組みと解釈できます。タイ政府は、賃上げを成長戦略の要とする「新しい資本主義」の概念を重視しており、安易な増税は経済成長を阻害するとの見方もあるため、今回の否定はそうした政策方向性とも合致しています。

タイ政府がVAT(付加価値税)の引き上げ報道を強く否定した背景には、経済の安定化と国民の生活への深い配慮という構造的な要因が見て取れます。特に、過去の政治的混乱を経て民政復帰したタイにおいては、政府が国民の信頼を維持し、社会の安定を図る上で、消費税のような直接的な負担増に繋がる政策には極めて慎重にならざるを得ないという実情があります。財政健全化の必要性は認識されつつも、デフレからの脱却と景気回復を優先する現在の経済状況下では、安易な増税は避けたいという政府の強い意図が感じられます。

このVAT引き上げの否定は、タイに在住する日本人や日系企業にとって、当面の消費税負担増のリスクが回避されたことを意味し、短期的なビジネス計画や生活設計においてはポジティブな情報と言えるでしょう。しかし、長期的にはタイの財政健全化は依然として重要な課題であり、上院からの提言のように、将来的に何らかの税制改革や公共料金の見直しが行われる可能性は否定できません。政府がどのような形で財政基盤を強化していくのか、今後のタイの財政政策の動向には引き続き注目が必要です。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
RELATED ARTICLES
- Advertisment -
Google search engine

Most Popular

Recent Comments