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タイ全土でEV30万台導入推進、政府が税優遇策

※画像はイメージです(AI生成)

タイ政府は電気自動車(EV)30万台の導入を目指し、税制優遇と下取り制度を柱とする行動計画を推進しています。運輸省がガソリン車からEVへの移行を加速させるための具体的な措置を発表。バンコクポストが報じたところによると、この計画は環境負荷の軽減と燃料費の削減を目的としています。

タイ政府、EV導入を加速する二つの柱

タイ運輸省は、国内に電気自動車(EV)を30万台導入する目標を掲げ、税制優遇と自動車下取り制度を組み合わせた行動計画を準備しています。シリポン・アンカサクンキアット運輸副大臣は、陸運局(DLT)との協議後、ガソリン車からEVへの移行を加速させるための二つの主要な措置を明らかにしました。

この政策は、タイ国家電気自動車政策委員会(NEVPC)が策定した、2030年までに国内のEV普及を大幅に進めるという国の目標に沿ったものです。タイはASEAN地域における主要な自動車生産拠点であり、EV化は産業構造の転換とカーボンニュートラル達成に向けた重要な戦略と位置付けられています。

下取り制度の拡大と税制優遇策

一つ目の提案は、自動車下取り制度の対象を、自家用車だけでなく公共交通機関、特にタクシーにも拡大することです。これは、事業者がEVモデルに切り替えることを奨励し、燃料費の削減と都市部の大気汚染軽減を図るものです。タイ政府は、既存の車両の老朽化と環境問題への対応を同時に進めることを目指しています。

二つ目の措置は、EVおよびハイブリッド車の年間車両税を最大80%削減、または移行期間中は全額免除するというものです。この提案は、自動車所有者の経済的負担を軽減し、よりクリーンな技術の幅広い採用を刺激することを意図しています。こうした税制優遇は、タイ投資委員会(BOI)がEV製造や充電インフラ事業に対して法人税免除などの優遇措置を発表していることとも連携し、EV市場全体の活性化を図るものです。

財政的な影響と実施時期

シリポン副大臣は、これらの措置が財務省との間で財政的な影響について検討中であることを示唆しました。承認されれば、これらの措置は勅令を通じて制定され、早ければ6月にも発効する見込みです。政府は、EV導入の経済的メリットと、税収への影響のバランスを慎重に見極めています。

この政策は、既存のガソリン車やディーゼル車からの転換を促すことで、タイのエネルギー消費構造にも変化をもたらすことが期待されています。特に、再生可能エネルギーの導入と合わせてEV化を進めることで、長期的なエネルギー安全保障と持続可能性の向上に貢献すると考えられています。

既存の燃料補助金とEV化への移行

昨日終了した政府のディーゼル燃料補助金制度には、合計55,217の運送事業者と206,529台の車両が登録しました。この補助金は、公共バス、バン、タクシー、バイクタクシー、貨物車両に提供されました。ガソリン車タクシーには、42日間の支援期間中に少なくとも2,500kmのサービスをDLTのアプリケーションで追跡することを条件に、車両あたり5,040バーツ(約25,200円)の一律支給が行われました。

シリポン副大臣は、ガソリン車タクシーと古い自家用車がEV化の主要なターゲットであり、政府はこれらを30万台のEVに転換することを目指していると付け加えました。政府はまた、タクシーのスムーズな移行を確実にするため、インセンティブの強化も検討しています。一方で、公共交通機関の運転免許はタイ国民に限定されるという方針を再確認しました。

タイのEV推進と充電インフラの課題

タイ政府はEV普及に向けて積極的な政策を打ち出していますが、その成功にはいくつかの課題も伴います。特に重要なのは、充電インフラの整備です。ジェトロの調査によると、タイでは充電インフラ整備基金への支援などが行われていますが、急速なEV増加に対応できるだけのネットワーク構築が求められています。S&P Globalも、タイエネルギー事業局がEV充電および水素インフラの国家基準を策定していることを報じています。

また、EVの初期費用が高いことも、特に一般消費者にとっては障壁となり得ます。政府の税制優遇や下取り制度は、この初期費用を軽減する目的がありますが、バッテリーリサイクルや電力網への負担増といった長期的な課題にも目を向ける必要があります。タイの産業省は、3年間の自動車とオートバイの下取り計画を開始することを計画しており、政府は国内でEV充電インフラの開発にも取り組んでいます。

タイ政府が推進するEV30万台導入計画は、単なる環境対策に留まらず、タイの産業構造を未来志向へと転換させるための重要な戦略的動きと捉えることができます。特に、自動車産業がGDPの大きな割合を占めるタイにとって、世界的なEVシフトの流れに対応することは、国際競争力を維持し、ASEAN地域における主要なEV生産ハブとしての地位を確立するために不可欠です。政府は税制優遇や下取り制度といった具体的なインセンティブを通じて、この大規模な変革を強力に後押ししようとしています。

この政策は、タイに在住する日本人や日系企業にとっても、ビジネス環境や生活様式に大きな影響を与える可能性があります。例えば、物流コストの削減や企業の環境規制対応への貢献といった側面で、日系自動車関連企業や運送業者にとっては新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。また、個人レベルではEV購入時の税制優遇や、将来的にはガソリン車と比較してランニングコストが低くなる可能性があり、自動車選択における重要な判断材料となります。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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