ベトナム中部クアンチ省のリーホア海峡で、大規模な浚渫工事を終えたばかりの航路が、わずか数日で再び大量の砂で埋没する事態が発生した。この現象は地元の漁業や農業に深刻な影響を与えており、住民からは恒久的な対策を求める声が上がっている。この状況をVnExpressが報じた。
繰り返される航路閉塞の危機
6月初旬、クアンチ省ドンチャック村のリーホア海峡は、長さ約1.6km、幅約100m、高さ約2mにも及ぶ砂州によって完全に閉塞された。これにより、本来船が通行する航路は水深がわずか0.5m、幅も15m程度にまで狭まり、船舶の航行が極めて困難となっている。漁師のホー・シー・クアン氏は、狭く浅い航路での操船は常に危険と隣り合わせだと語る。潮が引くと船が入港できず、沖合での停泊を余儀なくされることもあり、天候悪化時には非常に危険な状況に陥るという。
漁業への深刻な打撃
リーホア海峡は、6~12m級の大型漁船210隻以上と、6m未満の小型漁船100隻以上が利用する重要な航路である。航路が閉塞されると、多くの漁船が漁に出ることができなくなり、漁獲量の減少に直結する。一部の漁師は、クレーンを借りて船を砂州を越えさせるという高額な費用を負担せざるを得ない状況だ。さらに、約12m級の大型船にとっては海峡の通行がほぼ不可能となり、約6km離れたタンケー港や約20km離れたドンホイ区まで船を移動させ、停泊や漁具の運搬に多大な時間と費用がかかっている。
農業と地域環境への影響
海峡の閉塞は漁業だけでなく、地域全体の環境にも悪影響を及ぼしている。リーホア川の水が海に流れ出にくくなったことで、約50ヘクタールの水田が冠水し、20ヘクタールの農地では適期に作付けができない状態だ。また、200ヘクタール以上の養殖場も水が滞留することで生態系に悪影響を受け、生産量が減少している。さらに、リーホア川南岸では侵食が深刻化しており、多くの防護林が川に流され、沿岸住民の家屋に土砂災害の危険が迫っている。
抜本的対策を求める声
ドンチャック村は今年初め、2億ドン(約120万円)を投じて一時的な浚渫を行い、その後クアンチ省人民委員会も7億ドン(約420万円)を拠出して大規模な浚渫を実施した。しかし、数回の強風で航路は再び砂で埋没し、合計9億ドン(約540万円)の費用が投じられたにもかかわらず、問題解決には至っていない。漁師のホー・シー・クアン氏は「この方法は塩を海に捨てるようなもので、多額の費用を投じても効果が低い」と述べ、国家に対し恒久的な護岸建設による根本的な解決を求めている。ドンチャック村のヴォー・ハイ・クアン人民委員会委員長も、現在の浚渫は一時的な解決策に過ぎず、省に対し護岸建設や水路調整を含む総合的な対策の研究を要請している。
省当局の対応と過去の経緯
クアンチ省人民委員会は、農業環境局に対しリーホア川河口の総合的な調整案、具体的には護岸建設、防砂堤の設置、またはその他の適切な技術的解決策を研究し、安定した水流の確保、土砂堆積の抑制、洪水排出、船舶の安全航行を保証するよう指示した。リーホア海峡はクアンチ省北部における5つの主要河口の一つであり、2022年にも同様の土砂堆積に見舞われている。当時、クアンチ省は140億ドン(約8400万円)を投じて浚渫を行ったが、その年の雨季後には再び元の状態に戻ってしまったという経緯がある。


