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タイのベビー用品市場、コドモが戦略転換へ

※画像はイメージです(AI生成)

タイのベビー用品大手「コドモ」が、国内市場の構造変化に対応するため、マーケティング戦略を「量」から「価値」へと大幅に転換します。出生率の継続的な低下により市場全体の成長が鈍化する中、プレミアム・オーガニック製品の強化と、子育て世代の親をターゲットにした新たなアプローチを導入する方針をプラチャチャット・ネットが報じました。

出生率低下が市場構造に変化をもたらすタイ

タイのベビー用品市場は年間約60億バーツ(約300億円)規模ですが、出生率の低下が続き、市場成長率は年間わずか1〜2%の低水準にとどまっています。ライオン(タイランド)のアイヤダー・リムプリッタデート氏によると、この構造的な課題が企業戦略の見直しを迫っています。日本でも人口減少と少子高齢化が進む中で、企業は消費者の価値観や消費行動の変化に対応する必要があり、タイ市場の動向は、日本企業が海外市場で直面する課題を映し出しているとも言えるでしょう。

プレミアム・オーガニック製品が成長を牽引

市場全体が停滞する一方で、プレミアムおよびオーガニック製品セグメントは約40%のシェアを占め、着実に成長しています。これは、消費者が「価格重視」から「品質と安全性重視」へと購買行動を変化させていることを示唆しています。現代の親は、子どもの健康と安全に対して投資を惜しまない傾向があり、この動きは、中小企業がデジタル化やグローバル化の波の中で、いかに消費者ニーズを深く理解し、高付加価値を提供できるかが競争優位性を確立する鍵となるという分析とも一致します。

「子ども中心」から「親中心」へのパラダイムシフト

アイヤダー氏は、現代の親は仕事、私生活、育児を同時にこなす必要があり、ブランドは単なる「子どものための製品」ではなく、彼らの日常生活の一部となるべきだと指摘します。この考え方は、消費者構造が「子ども中心」から「親中心」へと変化していることを反映しており、新しい時代の競争における重要な要素となります。タイの都市部、特にバンコクの若い親世代は、デジタルネイティブであり、情報収集から購買までオンラインを積極的に利用するため、ブランドは彼らのライフスタイルに合わせたアプローチが求められています。

コドモの新戦略「ニュー・ムーブ」とは?

コドモは、この新たな市場環境に対応するため「ニュー・ムーブ」戦略を発表しました。これはブランドイメージを刷新し、従来の「子ども」中心から「現代の親」のニーズを深く理解する方向へと転換するものです。新戦略の下、同社はオーガニック素材と高い安全基準にこだわった「オーガニク・プレミアム・オーガニックシリーズ」を投入。入浴、シャンプー、歯磨き、洗濯、ベビーパウダーの5つの主要カテゴリをカバーし、価格帯は一般製品より約10〜20%高いものの、「手の届くプレミアム」として数十バーツから数百バーツ(約数十円〜数百円)で提供されます。これにより、ユニットあたりの収益増と利益率の維持を目指します。

デジタル戦略とファミリープレゼンターでブランド強化

コドモは、単独のモデルではなく、家族全体をプレゼンターとして起用する新たなプロモーション戦略も導入します。俳優のパップとバイトゥーイ夫妻と彼らの子どもであるノーン・チャーンを起用し、仕事と育児を両立する現代の親の姿を表現。広告コンテンツも、従来の広告的な表現ではなく、家族の実際の生活に焦点を当てることで、消費者との感情的なつながりを深め、長期的なブランドへの愛着(Brand Love)を育むことを目指します。また、オンラインでの購買行動が増加していることから、デジタルマーケティングを強化し、コンテンツ、レビュー、エンゲージメント活動を通じて購買意欲を刺激します。

タイ市場におけるコドモの挑戦と展望

コドモは、この戦略転換により、市場全体のシェアを30%に拡大し、今年の売上高成長率を前年の11%から15%に引き上げることを目標としています。出生率低下という大きな課題に直面するタイのベビー用品市場では、もはや規模ではなく「価値」が競争の鍵となります。コドモの今回の動きは、単なる新製品の投入に留まらず、変化する消費者行動に対応するための事業構造の再構築を意味しており、タイ在住の日本人や日系企業にとっても、現地の消費トレンドを理解する上で重要な事例となるでしょう。

タイのベビー用品市場におけるコドモの戦略転換は、単に一企業のマーケティング変更に留まらず、タイ社会が抱える構造的な課題、特に少子化が消費行動に与える影響を色濃く反映しています。この動きは、他の消費財分野における日系企業や在住日本人にとっても、タイ市場における消費トレンドの変化、特に「質へのこだわり」や「デジタル購買」の加速を理解する上で重要な示唆を与えます。単なる製品選択だけでなく、マーケティング手法やターゲット層の見直しが不可欠となるでしょう。

コドモの「価格は高いが手頃」というプレミアム戦略は、一見するとニッチ市場を狙っているように見えますが、実際には中間層以上の消費者が増加しているタイの経済状況を捉えたものです。経済成長が鈍化する中でも、子どもの健康や安全性への投資を惜しまない層が存在し、彼らの購買意欲が市場を支える。この層をいかに捉え、ブランドロイヤルティを構築できるかが、今後の競争を制する鍵となるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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