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ベトナム化学大手ドゥックザン、元会長逮捕で弟が新会長に就任

出典:元記事

ベトナムの化学大手ドゥックザン化学(DGC)は、ダーオ・フー・ヒュエン元会長の弟であるダーオ・フー・カー氏が新たな会長に就任したと発表しました。これは元会長の逮捕を受けての経営体制刷新であり、臨時株主総会での決定後、5月8日付で正式に就任しました。VnExpressが報じたこの人事は、企業のガバナンス強化と今後の成長戦略に大きな影響を与えると見られています。

新会長の就任と子会社人事

ダーオ・フー・カー氏(1970年生まれ、経営管理学士)が、5月8日付でドゥックザン化学(DGC)の新会長に就任しました。彼は2008年から同社の関連会社であるドゥックザン化学ラオカイ社のプロジェクト室幹部として勤務しており、長年の経験を持っています。また、カー氏はDGCの大株主でもあり、約6%の株式、およそ2,270万株を保有しています。

新会長に就任後、ダーオ・フー・カー氏はすぐさま、化学、不動産、スポーツといった多様な分野で事業を展開する子会社6社の取締役会長を任命しました。これは、元会長逮捕によって生じた経営の空白を迅速に埋め、グループ全体の安定化を図る意図があると見られます。

元会長逮捕の背景と企業への影響

今回のトップ人事刷新は、前会長のダーオ・フー・ヒュエン氏が会計規則違反、資源採掘違反、そして環境汚染の疑いで一時拘束されたことを受けて行われました。さらに、副会長であり元会長の息子であるダーオ・フー・ズイ・アイン氏も、会計規則違反で逮捕されるという事態に発展しています。

これらの逮捕は、新興国ベトナムにおける企業倫理とコンプライアンスの重要性を改めて浮き彫りにしました。ダーオ・フー・ヒュエン元会長は依然として筆頭株主であり、18.4%の株式を保有。関連する個人を含めると、合計で45%以上の株式を保有している状況です。

新体制の経営方針と課題

5月8日の臨時株主総会で、ドゥックザン化学のリュウ・バック・ダット取締役兼総支配人は、元会長に関連する不正行為を「会社にとって深い教訓」と位置づけました。新取締役会は、既存の「法的な抜け穴」を改善し、将来同様の事態が起こらないよう徹底的に取り組むことを約束しています。

ダット氏は、ダーオ・フー・ヒュエン元会長が過去20年間にわたり後継者の育成に尽力してきたことに言及し、新しく選出された取締役会のメンバーも15〜20年の勤務経験を持つベテランであることを強調しました。ダット氏はさらに、「新経営陣は、ダーオ・フー・ヒュエン元会長の意志とビジョンを完全に継承する」と述べ、企業は現在も通常通り安定的に運営されていると説明しました。これは、経営の継続性を確保しつつ、ガバナンスの強化を図るという、複雑なバランスを追求する姿勢を示しています。

ドゥックザン化学の業績と今後の展望

ドゥックザン化学の自己報告によると、2025年の純収益は約11兆2660億ドン(約676億円)に達し、前年比14%増となりました。税引き後利益も約3兆1880億ドン(約191億円)で3%増加し、年間目標を達成しています。総資産は19兆5500億ドン(約1兆1730億円)に上り、過去10年間で約1000%増加という驚異的な成長を遂げています。

しかし、同社は2025年監査済み財務報告書の提出が規定より約40日遅延しており、このためDGC株は監視対象に移行し、ベトナムの主要株価指数であるVN30指数から除外される事態となりました。これは、企業の急速な成長に伴う内部管理体制の課題が表面化したものと見られています。

ベトナムのような急速に経済成長を遂げる新興国では、企業の成長スピードに法整備やコーポレートガバナンスの強化が追いつかないケースが散見されます。ダーオ・フー・ヒュエン元会長の逮捕は、こうした背景を象徴する出来事であり、企業価値の向上には収益性だけでなく、経営の透明性確保と遵法の精神が不可欠であることを改めて示しています。特に資源開発や環境規制が絡む分野では、法的な「抜け穴」が悪用されやすい構造的な課題が存在すると言えるでしょう。

在ベトナムの日系企業や、これから進出を検討する企業にとって、このニュースは現地パートナー企業のデューデリジェンスの重要性を強調しています。特に、サプライチェーンや共同事業において、パートナー企業のコンプライアンス体制や環境・社会に対する責任(ESG)への取り組みを深く確認することが、予期せぬリスクを回避するために極めて重要となります。ベトナム経済のダイナミズムを享受しつつも、企業統治の健全性を見極める目が、今後ますます求められるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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