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アジアニュース 2026/5/5

※画像はイメージです(AI生成)

Midea Building Technologies (MBT)とシンガポールのコングロマリットであるケッペルが、AI統合型モジュール式冷却システムをアジア市場に投入する戦略的提携を発表しました。この協力関係は、エネルギー効率の大幅な向上と炭素排出量の削減を目指し、タイを含むアジア地域でのスマートインフラ導入を加速させる見込みです。この戦略的提携は、プラチャチャット・ネットが報じたものです。

MideaとKeppel、AI冷却ソリューションで戦略的提携

Mideaグループの一事業部門であるMidea Building Technologies (MBT) は、シンガポールのケッペル社インフラ部門との間で、エネルギー効率が高くAI対応の冷却ソリューションをアジア市場に共同で開発するための戦略的協力協定を締結しました。この提携は、ケッペルのシンディ・リム最高経営責任者(CEO)とMideaグループ副社長兼MBT社長のピーター・グアン氏立ち会いのもと署名されました。

この提携により、MBTの暖房・換気・空調(HVAC)システムおよびスマートビルディングシステムに関する製造能力と、ケッペルの「サービスとしての冷却(Cooling-as-a-Service、CaaS)」およびデジタル機能が統合されます。目的は、標準化されたモジュール式冷却システムを共同で開発することにあります。モジュール式冷却システムの導入は、各プロジェクトの具体的な契約を通じて行われ、ケッペルとMBTが個別案件ごとに交渉を進めることになります。

アジア市場向け「冷却サービス」の革新

この協定に基づくモジュール式冷却システムの共同開発は、高い柔軟性を持ち、固定資産投資(Capex)を抑える「Capex-Light」なソリューションを生み出すことを目指しています。これにより、各ビジネスモデルの要件に合わせて設置やカスタマイズが可能となり、冷房使用におけるエネルギー効率を向上させ、現場でのシステム設置の複雑さを軽減します。

モジュール方式と事前構成されたシステムを活用することで、ケッペルは冷却モジュールを現場での組み立て前に製造できます。これらのモジュール式冷却システムは、ケッペルの高度なシステム制御センターである「オペレーションズ・ナーブ・センター(ONC)」に接続されます。ONCは、ケッペル独自のデジタルプラットフォームである「インフラストラクチャー・インテリジェンス(II)」を利用し、AIと機械学習(ML)を駆使してリアルタイムでシステムを監視し、インテリジェントな分析を行います。これにより、オペレーターは離れた場所からモジュールを管理し、常に操作指示を出すことが可能となります。

AIとIoTで実現する省エネと脱炭素

MBTのスマート機器、IoTセンサー、スマートビルディング管理システムと組み合わせることで、この冷却ソリューションはさらに効率的に機能し、エネルギー消費を削減します。また、システムのライフサイクル全体にわたって冷却プロセスからの炭素排出量を削減することにも貢献します。

タイを含むASEAN諸国では、ジェトロの調査が示すように、気候変動対策が喫緊の課題であり、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を大幅に削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。各産業における電力使用のエネルギー転換や省エネがGHG排出量削減の鍵となっており、今回のAI冷却システムのような技術は、まさにこうした脱炭素化の動きを強力に後押しするものです。JOGMECもタイなどで脱炭素に向けた協力を支援しており、この技術は地域の持続可能な発展に貢献するでしょう。

AI専門センター設立と多様な導入分野

この提携の下、両社はAIに特化した「センター・オブ・エクセレンス」を共同で設立します。これは、モジュール式冷却システムに適したエンジニアリング、標準化、システム最適化、シミュレーション開発のための共同プラットフォームとなります。導入対象となるのは、データセンター、先進的な製造工場や工業団地、医療施設、教育機関、航空ハブ、統合開発プロジェクト、およびシステム改修プロジェクトなど多岐にわたります。

タイのバンコク・バンスー駅周辺整備推進に向けたスマートシティ構想でも、エネルギー(電力・冷房)需要予測の整理やデジタル経済インフラの確立が重要視されており、このような高効率冷却システムは、将来的な都市開発においても重要な役割を果たすことが期待されます。

持続可能な冷却システムへの展望

Mideaグループ副社長兼MBT社長のピーター・グアン氏は、「この協力は、産業用AIを冷却システムで最大限に活用するのに役立ちます。MBTの拡張可能な製造プロセス、スマート機器、および迅速に複製可能なモジュール式アーキテクチャは、ケッペルの運用プラットフォームと統合されることで、個別のシステム開発から、持続可能で手頃な価格の冷却ソリューションへの移行を可能にします」と述べました。

ケッペルの統合エネルギーシステム事業グループのエグゼクティブディレクターであるポー・ティエン・ケン氏は、「この提携は、アジア市場で次世代冷却ソリューションを開発・提供する当社の能力を強化します。ケッペルのONCと深層運用能力をMideaのエンジニアリングおよび製造の強みと組み合わせることで、AI対応のスマートインフラの幅広い分野での導入を推進できます。この提携は、シンガポールのテンガー地区における住宅開発委員会(HDB)の集中冷却システムプロジェクトを含む、新たなイノベーションやプロジェクトを生み出すことを期待しています」と語りました。

タイを含むASEAN諸国は、ジェトロの調査でも示されるように、2030年までに温室効果ガス排出量をBAU比で20%削減する目標を掲げ、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。この目標達成には、産業部門におけるエネルギー転換と省エネが不可欠であり、今回のAI統合型冷却システムのようなソリューションは、まさにその課題に応えるものです。特に、電力消費量の大部分を占める冷房システムにおける効率化は、国全体のGHG排出量削減に大きく寄与すると考えられます。

この技術革新は、タイ在住の日本人や日系企業にも間接的な恩恵をもたらす可能性があります。例えば、バンコクのバンスー地区のようなスマートシティ構想では、電力・冷房需要の予測と効率化が重要視されており、このシステムは次世代電力インフラの確立に貢献するでしょう。また、タイ投資委員会(BOI)が推進する脱炭素化事業や省エネ設備導入への補助金制度とも合致し、日系企業がタイで事業を展開する上で、持続可能性とコスト削減の両面から競争力を高める一助となることが期待されます。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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