タイの大手財閥バイヨークグループが、バンコク中心部で4つの大規模開発プロジェクトを発表しました。スクムビット・ソイ13とシーロムのホテル2軒の買収・改修に加え、コミュニティモールや複合施設を新設する計画です。プラチャチャット・トゥラキット紙が報じたところによると、総額10億バーツ(約50億円)以上の投資を計画しており、観光需要の回復を見据えた積極的な投資姿勢が鮮明となりました。
バイヨークグループ、バンコク中心部で積極投資
バイヨークホテルグループのパンルート・バイヨーク会長は、2026年の事業計画として、4つの大規模プロジェクトを推進すると発表しました。これらのプロジェクトは、バンコクの主要観光エリアにおけるホテル網の拡充と、新たな商業施設の開発を目的としています。タイの経済は、金融、不動産、食品、流通といった内需市場の多くを華人系企業が占めており、バイヨークグループもその一翼を担う大手財閥として、国内外の市場動向に合わせた戦略的な投資を進めています。
レトロ調コミュニティモール「ハリウッドストリート」再開発
計画の一つは、かつて「ハリウッドストリート」があった1ライ(約1600平方メートル)以上の敷地に、レトロスタイルのコミュニティモールを開発するものです。王室財産局から50年間の賃貸契約を得ており、5億バーツ(約25億円)を投じて既存の4階建て(地下1階)の建物を改修します。このモールには、飲食店、パブ、ワインバー、スーパーマーケットなどが入居し、約2年間の建設期間を経て2028年の開業を目指します。
複合施設「メッドモール」と4つ星ホテルをラチャウィティ通りに建設
次に、勝利記念塔エリアのラチャウィティ通り、ラチャウィティ病院向かいの王室財産局の土地に、薬局・医療品集積センターとホテルからなる複合施設を建設します。こちらも5億バーツ(約25億円)の投資を予定しており、8,000平方メートルに及ぶ4階建て(地下1階)の商業施設「メッドモール」には、薬局、医療品、食品、歯科クリニック、フェイシャルマッサージ、スパなどのサービスが集約されます。背後には5階建て全79室の4つ星ホテルを併設し、2026年末から2027年初頭にかけて商業施設部分の先行開業を予定しています。タイでは医療ツーリズムが盛んであり、この施設も国内外の利用者をターゲットにしています。
スクムビット・ソイ13とシーロムの既存ホテルを買収・改修
さらに、バイヨークグループはバンコクの主要な観光・ビジネスエリアであるスクムビット・ソイ13とシーロムで、それぞれ既存ホテル2軒を買収し、改修を進めています。スクムビット・ソイ13の50室のホテルは「ホテル・ムーンライト」として今年半ばから年末にかけて開業予定です。また、シーロムのワット・ケーク向かいにある70室のホテルも買収し、現在、改修計画と名称の詳細を詰めている段階です。パンルート会長は、これらの買収により、ラチャダーピセークやプラトゥーナムに加え、スクムビットやシーロムといった主要観光地でのホテル展開を強化し、増加する外国人観光客の需要に対応する意向を示しています。
バイヨークグループのようなタイの華人系財閥の動向は、バンコクの都市開発と在住者の生活環境に直結します。特にスクムビットやシーロムといった日本人居住者も多いエリアでのホテル・商業施設買収・開発は、周辺の不動産価値や生活利便性の向上に寄与する可能性があります。一方で、競争激化による既存店舗への影響や、交通量増加といった側面も考慮する必要があるでしょう。
タイの経済発展は、金融、不動産、流通といった内需市場を牛耳る華人系財閥が牽引してきた歴史的背景があります。コロナ禍を経て、主要財閥が国内の観光インフラへの投資を加速させるのは、政府の経済発展推進策や、急速な高齢化が進むアジア経済の動向、そして医療ツーリズムのような特定分野の成長を戦略的に捉えているためと分析できます。


