ベトナム北部ラオカイ省を走るノイバイ・ラオカイ高速道路で、車線拡張工事中に多数の事故が発生しており、安全対策が急務となっています。この区間では車線が狭められているため、これまでに多くのドライバーが工事用のバリケードに衝突し、死傷者も出ています。VnExpressが報じたところによると、当局は反射材の追加設置など、抜本的な安全強化策を導入しています。
工事中の高速道路で多発する事故
現在、ラオカイ省内を通過するノイバイ・ラオカイ高速道路(Km123〜Km244区間)では、車線拡張工事が進行中です。工事期間中、既存の車線が狭められているため、複数の事故が発生し、ドライバーが工事用のバリケードに衝突して死傷する深刻な事態が相次いでいます。
最近では、4月20日にはラオカイ省バオハ村付近でピックアップトラックが工事用バリケードに衝突し、運転手が死亡する事故が発生しました。また、4月17日にはチャウクエ村付近で寝台バスが横転し、多数の乗客が負傷しています。この区間は現在、片側1車線の合計2車線となっており、中央分離帯がないため、車両の安全な通行が特に求められています。以前は時速80kmが制限速度でしたが、工事中は時速50kmにまで減速が義務付けられています。
緊急の安全強化策を導入
こうした状況を受け、北部高速道路プロジェクト管理委員会とベトナム高速道路投資開発公社(VEC)は、施工業者に対し、交通安全を確保するための追加対策を緊急に指示しました。具体的には、工事用バリケードの外側に反射材を追加設置し、ドライバーからの視認性を向上させるよう求めています。また、特に曲率半径の小さいカーブ区間では、反射材を二重に設置するほか、工事区域への車両や人の不法侵入を防ぐため、開口部にワイヤーケーブルシステムを導入するよう指示が出されました。
さらに、夜間の視認性を高めるため、カーブ区間には照明が追加され、4車線から2車線に狭まる区間の始点やカーブ地点には回転警告灯が設置されます。衝突時の被害を最小限に抑え、安定性を高めるため、バリケードの間にスチール製の角パイプを縦方向に補強する対策も講じられ、安全性の抜本的な改善が図られています。
ドライバーと交通警察への呼びかけ
プロジェクト管理部門は、工事区間を走行する車両に対し、標識に示された制限速度を厳守し、定められた車線を走行すること、そして急な車線変更や割り込みをしないよう強く呼びかけています。また、安全な車間距離を保ち、現場の交通整理員の指示に従うことが求められています。
万が一、車両が故障した場合は、緊急停止帯に移動し、ハザードランプを点灯させ、車両の後方150m以上離れた場所に警告物を設置するよう指示されています。支援が必要な場合は、電話番号19008099に連絡することでサポートを受けられます。
さらに、プロジェクト管理委員会は交通警察に対し、巡回と取り締まりを強化し、特に工事区間での速度違反、誤った車線走行、過積載などの交通違反行為に対して厳格に対処するよう要請しています。
日本のODAも支援するベトナムのインフラ整備
ノイバイ・ラオカイ高速道路の拡張プロジェクトは、総額約7.7兆ドン(約462億円)を投じる大規模なインフラ整備事業です。このうち、約3兆ドン(約180億円)が国家予算から、約9,400億ドン(約56.4億円)がVECの自己資金から充当されています。ベトナムはASEAN地域で最大級の経済規模を誇り、一人当たりGDPも約4,900ドルに達する中所得国へと成長を続けており、それに伴い高速道路などの交通インフラ整備が急ピッチで進められています。日本も政府開発援助(ODA)を通じて、ベトナムの都市交通セクターや高速道路建設を支援しており、このようなインフラ整備は国の経済発展を支える重要な基盤となっています。これまでに、橋梁建設のための杭基礎や掘削杭、基礎部の多くの項目が概ね完了し、プロジェクトは順調な進捗を見せています。
ノイバイ・ラオカイ高速道路で多発する事故は、ベトナムのような急速な経済成長を遂げる国が直面する構造的な課題を浮き彫りにしています。日本からのODA支援も受けてインフラ整備が進む一方で、工事現場の安全管理やドライバーの交通意識の向上といったソフト面での対応が、ハード面の整備に追いつかない現状が散見されます。経済発展のスピードと、それに伴う社会インフラの安全基準の確立・徹底とのバランスは、ベトナムが持続可能な発展を遂げる上で避けては通れない課題と言えるでしょう。
このニュースは、ベトナムに在住する日本人や、同国で事業を展開する日系企業にとって、交通安全への意識を一層高める必要性を示唆しています。特に物流に関わる企業や、社員が工事区間を日常的に利用する場合には、今回の安全強化策だけでなく、現地の交通状況や運転習慣を深く理解し、定期的な安全教育やリスクアセスメントを徹底することが不可欠です。工事中の不測の事態に備え、緊急連絡体制の再確認や代替ルートの検討など、具体的な対策を講じることが推奨されます。


