ホーチミン市は、タンソンニャット国際空港へのアクセス改善のため、総額15兆7100億ドン(約942億円)を超える高架道路建設案を推進しています。このプロジェクトは、深刻な交通渋滞を緩和し、同市北西部の玄関口から空港および中心部への交通能力を大幅に向上させることを目指しており、VnExpressが詳細を報じました。
ホーチミン市タンソンニャット空港アクセス高架道路の提案概要
ファット・ダット社がホーチミン市財務局に提出した計画案によると、この高架道路はアンスオン交差点を起点とし、チュオンチン、コンホア、チュオンソン、ホンハの幹線道路に沿って延伸し、グエンタイソンとグエンキエムの交差点で終点となります。都市の主要幹線道路基準に沿って建設されるこのプロジェクトは、幅60メートル、設計速度は時速80キロメートルを予定しています。
建設費は概算で約15兆7100億ドン(約942億円)と見積もられており、PPP(官民連携)方式、特にBT(建設・移管)契約で実施される計画です。企業はプロジェクトを用地買収と建設の二つのフェーズに分け、承認されれば2030年までの完成を目指しています。
ホーチミン市中心部の交通渋滞とインフラ課題
チュオンチン通りとコンホア通りを結ぶ軸は、クアン12区、タンビン区、タンフー区、旧ホクモン県からホーチミン市中心部およびタンソンニャット空港への主要な交通路です。しかし、現在の交通量は設計能力を大幅に超過しており、日常的に交通渋滞が発生しています。特にホアンホアタム交差点付近のコンホア通りは、高架橋が建設されたにもかかわらず、慢性的な渋滞が続く地点の一つです。
ホーチミン市では、経済成長と急速な都市化に伴い、都市部における激しい交通渋滞が長年の課題となっており、その経済損失は甚大であると認識されています。都市インフラの整備は、市の発展において優先的に取り組むべき課題と位置づけられています。
インフラ整備計画と経済効果への期待
これに先立ち、ホーチミン市建設局も2030年までの交通インフラ開発計画において、この地域での高架道路建設を方向付けていました。専門機関による予備調査では、この高架道路はアンスオンから空港まで、チュオンチン通りとコンホア通りの軸に沿って建設され、主に中央分離帯を利用することで、用地買収の量を減らし、コストを節約し、住民への影響を抑える方針です。
この案は、市が準備を進めている国道22号線の60メートル拡幅プロジェクトとの連携も考慮されています。完成すれば、この幹線道路は交通能力を大幅に向上させ、北西部の玄関口からタンソンニャット空港や中心部への移動需要に応えることが期待されており、ホーチミン市の経済活動の活性化にも寄与すると見込まれています。
編集部の視点
ベトナム、特にホーチミン市のような急速に発展する都市では、インフラ整備が経済成長に追いつかないという構造的な課題に直面しています。本件の高架道路プロジェクトにPPP(官民連携)やBT(建設・移管)方式が採用される背景には、都市インフラ整備への巨額な投資を政府予算だけで賄うことの難しさがあります。しかし、過去には土地とのバーターで公共投資を行うBuild-Transfer方式が頓挫するなど、PPPスキームの有効な運用にはまだ課題も残されているのが実情です。
この高架道路の建設は、在住日本人や日系企業にとっても大きな影響をもたらすでしょう。タンソンニャット空港へのアクセス改善は、ビジネスにおける移動時間の短縮や物流コストの削減に直結し、ホーチミン市全体のビジネス効率の向上に貢献します。一方で、建設期間中は一時的な交通規制や渋滞の悪化も予想されるため、周辺地域での活動には注意が必要です。完成後の交通インフラの飛躍的な改善は、日系企業の投資環境をさらに魅力的なものにする可能性を秘めています。


