ベトナムの大手不動産デベロッパー、ノバランドが2024年第1四半期に大幅な増収増益を達成しました。同社の連結財務報告書によると、売上高は前年同期の2倍以上に急増し、約3兆5870億ドン(約215億2200万円)に達し、これは過去1年で最高の数字となりました。この好調は、主にホーチミン市周辺の主要プロジェクトにおける不動産引き渡しが牽引したとVnExpressが報じています。
ホーチミン経済圏の不動産需要が牽引
ノバランド(NVL)は、2024年第1四半期に約3兆5870億ドン(約215億2200万円)の売上高を記録し、前年同期比で倍増以上の成長を見せました。このうち、不動産譲渡からの純売上高が3兆4520億ドン(約207億1200万円)を占め、前年同期比111%増となりました。主な要因は、サンライズリバーサイド、アクアシティ、ノバワールド・ファンティエット、ノバワールド・ホーチャムといった大規模プロジェクトでの物件引き渡しと、土地使用権の譲渡です。ベトナム経済の中心地であるホーチミン市周辺では、インフラ整備と連動した都市開発が活発化しており、ノバランドはこうした需要を的確に捉えています。
売上原価も50%増加しましたが、その伸びは売上高の増加率を下回ったため、粗利益は約1兆8890億ドン(約113億3400万円)と、前年同期の2.9倍に急増しました。粗利益率は約52.7%を記録しています。財務収益を加算し、経常費用を差し引いた後の税引後利益は、約8600億ドン(約51億6000万円)に達し、前年同期の約4760億ドン(約28億5600万円)の赤字から劇的な改善を見せました。同社が黒字を計上するのは2四半期連続となります。
主要プロジェクトの進捗と年間目標
ノバランドは今年、2600戸以上の物件引き渡しと、2100戸以上の新規販売を目標としています。これにより、売上高は過去最高の22兆7150億ドン(約1362億9000万円)、税引後利益は1兆8520億ドン(約111億1200万円)を計画しています。第1四半期の実績では、売上高目標の約16%を達成したものの、利益に関しては目標の46%以上を既に達成しており、好調な滑り出しを見せています。
現在もアクアシティの各工区、ノバワールド・ホーチャムのザ・トロピカーナとハバナ・アイランド、ノバワールド・ファンティエットのVIPオーシャンヴィラ、ノボテル・ファンティエット、ロイヤルマンションズ第1期など、多くのプロジェクトで建設が進行中です。特にホーチミン市中心部では、ビクトリアビレッジが第2四半期からの引き渡しを目指し、ザ・グランドマンハッタンも年内の引き渡しが予定されており、都市部の不動産市場の活性化に貢献しています。
経営戦略と世代交代:安定成長への道
先日の年次株主総会で、創業者ブイ・タイン・ニョンは、財務および経営の再編を優先し、安定的で持続可能な運営基盤を構築する戦略を明確にしました。これと並行して、同社はプロジェクトの法的承認と建設の加速を進めています。ベトナムでは、外国投資家が土地使用権や建物を取得する際に現地法人が必要となるなど、土地登記制度が複雑であり、こうした法的側面を迅速に進めることは開発の鍵となります。
最近、ノバランドではリーダーシップの世代交代が行われました。ブイ・カオ・ニャット・クアンが父親であるブイ・タイン・ニョンに代わり、新任の取締役会長に就任しました。ブイ・タイン・ニョン自身は完全に引退するわけではなく、引き続きノバランドの中長期的な発展戦略の方向付け、監督、助言を行っていくとのことです。これにより、急成長を遂げるベトナム不動産市場における企業ガバナンスの強化が期待されます。
今回のノバランドの好決算は、ベトナム、特にホーチミン市を中心とした不動産市場の回復と成長の勢いを如実に示しています。背景には、ベトナム政府が推進する市場経済化とインフラ整備が挙げられ、特に交通・都市インフラの整備は、ノバランドのような大規模開発プロジェクトの価値を大きく高める要因となっています。長期的には、金融システムの深化も不動産市場の安定に寄与すると考えられます。
この不動産市場の活況は、ベトナム在住の日本人や日系企業にとっても重要な意味を持ちます。物件価格や賃料の上昇といった生活コストへの影響はもちろん、新たな投資機会やビジネスチャンスが生まれる可能性も示唆しています。特に、土地使用権が登記されるベトナムの特殊な不動産制度を理解し、現地の法制度の整備状況を把握することは、投資判断において不可欠となるでしょう。


