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ベトナムMWG、困難でも高成長目標維持へ

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ベトナムの大手小売企業MWGは、中東情勢の不確実性にも関わらず、2026年までの高成長目標を維持する方針を表明しました。4月18日の年次株主総会で、グエン・ドク・タイ会長は困難な状況でも目標達成への揺るぎないコミットメントを強調し、VnExpressがその詳細を報じました。これは、ベトナム経済全体の強靭性と、企業の積極的な戦略姿勢を示すものです。

中東情勢への対応と揺るぎない目標

MWG(ザ・ジオイ・ジードン)の年次株主総会では、中東紛争が事業に与える影響について多くの質問が寄せられました。世界の経済秩序が揺らぎ、多くの企業が不確実な経済状況に直面する中、株主からは「中東の緊張が高まる中で、当初の計画はまだ適切なのか、事業目標を下げるべきではないか」との懸念が示されました。

これに対し、MWGのグエン・ドク・タイ会長は、世界が「不確実な段階」に入り、これまでの前提が容易に崩れる時代であることを認めつつも、中東紛争は主にコストとサプライチェーンに圧力をかけるものであり、世界の経済基盤を根本的に変えるものではないとの見解を示しました。タイ会長は、極端なエスカレーションよりも、各方面がバランスを取り戻すために緊張が緩和される可能性が高いと見ています。

このような認識に基づき、MWGは2026年の目標を据え置くことを決定しました。具体的には、売上高185兆ドン(約1兆1100億円)と税引後利益9.2兆ドン(約552億円)を目指します。特に注目すべきは、利益が30%増と、売上高の伸び(18%増)の約2倍に設定されている点です。これは、再構築期における効率性と利益率の最適化にMWGが重点を置いていることを明確に示しています。

タイ会長は、「困難だからといって目標を下げる理由にはならない。困難なら何とかする方法を見つけるべきだ」と強調。目標達成に十分な努力が見られない場合、全従業員へのボーナス支給はないと明言し、組織全体に厳しい規律と達成への意欲を促しました。

成長戦略の柱:家電・テクノロジーと食料品

MWGは今年、引き続き核となる小売事業に注力し、有利な条件の下でキャッシュフローの最適化を図ります。特にテクノロジー・家電分野は、MWGの成長を支える柱であり、アップル製品がICT分野の売上高の40%以上を占めるなど、重要な役割を担っています。MWGは、2025年に8億ドル(約1200億円)を超える売上を達成した後、2027年までに10億ドル(約1500億円)の大台に乗せることを目指しており、これは市場シェアの維持と大手メーカーとの連携強化によって実現される見込みです。

また、食品スーパーチェーンのバク・ホア・サイン(Bách Hóa Xanh)は、次の成長ドライバーとして期待されています。売上高20%増を目標とし、経営陣は慎重な姿勢を示しつつも、このチェーンが利益を生み出す段階に移行したことを強調。既存店の売上高を10%増やすことで、今後の大規模な拡大に向けた基盤を固める計画です。

ベトナム経済の課題と長期的な展望

グエン・ドク・タイ会長によると、来年の市場圧力は供給面ではなく、需要回復の遅れにあると指摘しています。家電などの分野では、生産計画が早期に立てられているため、品不足は起こりにくいとのことです。むしろ、「より大きな問題は、需要がまだ明確に回復していない現状での購買力の回復にある」と述べ、経済政策の不確実性が高まる中で、消費者の購買意欲を刺激することが重要であるとの認識を示しました。

長期的な視点では、MWGは2030年までに売上高100億ドル(約1兆5000億円)規模の達成を目標として掲げています。これは、単なる回復に留まらず、新たな経済サイクルにおける積極的な事業拡大を目指すというMWGの野心的な戦略を示しています。東南アジア市場における都市化の進展と中間層の拡大は、このような成長を後押しする構造的な要因となるでしょう。

MWGの企業統治と人材戦略

MWGは、事業計画と並行して、株式配当として株式20%を年内に2回に分けて実施する予定です。また、世代交代のロードマップも継続されており、経営陣に対して最大300万株のESOP(従業員持ち株制度)を発行する計画も進められています。ただし、このESOPは業績と連動しており、計画達成時のみ発行され、目標を上回った場合にはそれに応じて増加する条件が付けられています。

MWGの今回の発表は、経済の不確実性が高まる中でも、ベトナムで事業を展開する日系企業に対し、成長への強いコミットメントと効率化への注力が不可欠であることを示唆しています。現地大手企業が「困難だからといって目標を下げるべきではない」と明言する姿勢は、ベトナム市場での競争が激化していることの表れであり、日系企業も単なるコスト競争だけでなく、現地市場のニーズに合わせた製品・サービス開発や、デジタル化を通じた効率改善への積極的な投資が求められるでしょう。

また、MWGが購買力の回復を最大の課題と捉え、家電・テクノロジー分野での高付加価値化や食料品事業の拡大に注力している点は、ベトナム市場が単なる低コスト生産拠点から、中間層の拡大に伴う消費市場としての成熟期に入りつつあることを示しています。これは、日系企業が今後、ベトナム市場で持続的な成長を遂げるためには、現地の消費トレンドを深く理解し、品質やブランド価値の向上、そしてサプライチェーンの最適化や経済安全保障政策への対応といった、より高度な経営戦略が不可欠となることを示唆していると言えるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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