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ベトナム国内線、燃料高騰で運賃15-20%値上げへ

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ベトナム国内線の航空運賃が燃料危機により15〜20%値上げされる見通しです。ベトナム空港公社(ACV)は最新の年次報告書でこの見通しを公表し、中東情勢を受けたジェット燃料の供給不足と価格高騰が主な原因と指摘しています。VnExpressが報じたところによると、この値上げは航空会社の運航コスト上昇を補填するための措置です。

航空燃料価格の高騰と供給不足

ACVの報告によると、中東地域での紛争がジェット燃料「Jet A1」の供給網に深刻な影響を与え、価格が急騰しています。物理的サーチャージは一時、1バレルあたり39.6ドルと過去最高の水準に達し、20倍もの上昇を記録しました。ベトナム国内のJet A1供給は需要のわずか20%しか満たせず、残りは中国、タイ、韓国といった輸出制限を設ける国からの輸入に依存しています。

国際線・国内線への影響

この状況を受け、国際的な航空会社はすでに防衛的な戦略に移行しています。具体的には、2026年第2四半期から第3四半期にかけて供給座席数を削減し、航空ネットワークを再編。さらに、路線に応じて1枚あたり20ドルから200ドル(約120円〜1,200円)の燃料サーチャージを導入しています。

ベトナム国内の航空会社も同様に厳しい対応を迫られています。ハノイ、ダナン、ホーチミンといった主要幹線ルートや国際線に優先的に運航を集中させ、搭乗率の最適化を図るためフライトの集約を進めています。また、午前0時から5時の間の深夜便は停止される方針です。ACVは、これにより同社が運営する21の空港での離着陸回数が大幅に減少すると見ています。

国内線運賃の値上げと旅行需要への影響

ACVは、航空会社が割引運賃帯の提供を停止することで、国内線運賃が平均して15〜20%上昇すると予測しています。この値上げは、特にレジャー旅行分野における乗客の移動需要を大幅に減少させる可能性があります。最近、航空局も国内線への燃料サーチャージ導入を継続して提案しており、航空会社の経営支援を目指しています。

航空会社のコスト増とその他の課題

国際航空運送協会(IATA)のデータによると、4月中旬のアジア太平洋地域のジェット燃料価格は1バレルあたり207ドルを超え、世界平均を約23ドル上回りました。この水準は2025年の平均の約2.4倍に相当します。ベトナム航空は、燃料価格の変動により年間で11兆ドンから27兆ドン(約660億円〜1,620億円)の追加費用が発生する可能性があると試算しています。また、ベトジェットもJet A1が1バレル195ドルの場合、4月だけで約2,400万ドル(約37億円)のコスト増があったと報告しています。

燃料危機以外にも、ACVは航空業界が為替レートや金利の予測不可能な変動といった課題に直面していると認識しており、これらが運航効率に影響を与えています。2025年、ACVは総収入25兆530億ドン(約1,530億円)を達成し、税引前利益は13兆4,720億ドン(約810億円)となり、それぞれ2024年比で12%と6%増加しました。同年にACVの空港を利用した旅客数は1億2,030万人で、9.4%増加し、国際線旅客数は4,710万人で14%増加しています。

ロンタイン国際空港プロジェクトの現状

ロンタイン国際空港プロジェクトの投資主であるACVは、年次報告書の中で「2026年第3四半期に建設を完了し、第4四半期に同空港の商業運航を開始する予定」という目標を掲げています。ACVは、試験運用計画の完成、運用移管、需要予測の更新を支援するため、インチョン空港との間でコンサルティング契約を締結しました。

しかし、政府に提出された最新の報告書では、ロンタイン空港プロジェクトに必要な労働者が約6,000人不足しており、年末までの完成が遅れるリスクがあるとACVは述べています。これはベトナムのインフラ整備における労働力不足という構造的な課題を示唆しています。

今回のベトナム国内線運賃値上げは、ベトナム在住の日本人や日系企業にとって、出張や帰省、レジャーなど移動コストの増加を意味します。特に、航空券は生活費の中でも大きな割合を占める可能性があり、予算計画の見直しが必要になるでしょう。また、国際線にも燃料サーチャージが適用されていることから、日本への一時帰国や海外旅行の費用にも影響が及ぶため、旅行計画を立てる際には注意が必要です。

背景にあるのは、中東情勢に端を発する世界的なジェット燃料供給網の不安定化と価格高騰です。ベトナムはジェット燃料の多くを輸入に頼っており、国際市場の動向が国内経済に直接的な影響を与える構造的問題が浮き彫りになりました。加えて、ロンタイン国際空港プロジェクトにおける労働力不足の報告は、インフラ整備の進捗にも影を落とす可能性があり、今後のベトナム経済の成長におけるボトルネックとなりかねません。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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