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ベトナム・フックロン、過去最高益を更新

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ベトナムの有名コーヒーチェーン「フックロン」が、2期連続で過去最高の四半期利益を記録しました。親会社マサン・グループの報告によると、2024年第1四半期の売上高は前年同期比34%増の5690億ドン(約341億4000万円)に達し、VnExpressがその詳細を報じています。

ベトナム大手コーヒーチェーンが記録的利益を更新

ベトナムの主要コングロマリットであるマサン・グループ(MSN)傘下のフックロン・ヘリテージは、2024年第1四半期に純売上高5690億ドン(約341億4000万円)を達成し、前年同期比で34%もの大幅な増加を記録しました。これは3四半期連続で売上高が過去最高を更新する快挙です。特に、税引前・償却前・金利前利益(EBITDA)は1180億ドン(約70億8000万円)に達し、前年同期比で約46%増となり、マサン・グループが2022年初頭にフックロンを統合して以来、最高の数字を2期連続で記録しました。

この期間のEBITDAマージンは20.8%に達し、少数株主利益控除前の税引後利益は前年同期比で約1.6倍に増加、純利益率は10.3%を記録しました。経営陣は、この成長がデリバリーチャネルの拡大と店舗運営の生産性向上によって推進されたと説明しています。ベトナムではデジタル経済の急速な進展に伴い、携帯電話やインターネットの普及が消費者の購買行動を大きく変えており、フックロンもこの波にうまく乗った形です。

デリバリーと店舗効率化が成長を牽引

デリバリーチャネルからの売上は67%以上増加し、フックロンの小売売上全体の約3分の1を占めるまでに成長しました。デリバリーは店舗での消費需要を超え、様々な消費シーンで利用されるようになり、売上成長の重要な原動力であり続けています。フックロンは、デリバリープラットフォームとの連携を強化し、サービス範囲の拡大を目指しています。

ドリンク商品の売上も約33%増加し、小売売上全体の約86%を占めています。経営陣は、この成長が店舗運営の生産性向上と顧客体験の改善を反映していると述べており、システム全体の顧客来店数と支出額の増加に貢献しました。これは、ベトナムの飲食料業界における顧客満足度向上の重要性を示唆しています。

食品部門の貢献と店舗網の拡大戦略

パン、ケーキ、アイスクリーム、ヨーグルトなどの食品部門は、小売売上全体の約8%を安定的に維持しています。この部門は、客単価の向上と消費機会の多様化をサポートし、フックロンのビジネスモデルに奥行きを与えています。2024年第1四半期には、フックロンは標準店舗を新たに3店舗オープンし、ウィンコマース(WinCommerce)システム外の店舗ネットワークは全国で205店舗に達しました。同チェーンは今年中に40〜50店舗の新規オープンを目標としており、特に下半期にそのペースを加速させる計画です。ハノイ地域での展開も強化し、40〜50店舗の新規開店を目指すことで、さらなる市場シェア獲得を狙います。

マサングループによる投資と戦略転換

マサン・グループは2021年5月にフックロンへの最初の投資を行い、1500万ドル(約23億4000万円)を投じて株式の20%を取得しました。当時のフックロンの評価額は7500万ドル(約117億円)でした。そのわずか1年後、マサンがさらに6兆1000億ドン(約3660億円)を投じて65%の株式を追加取得したことで、フックロンの評価額は約6倍の4億5000万ドル(約702億円)に急上昇しました。

マサン・グループは、フックロンをベトナムNo.1の紅茶・コーヒー企業にすることを目指し、当初はウィンマート(Winmart)システム内に1000店舗のキオスク型店舗を統合する戦略を掲げていました。しかし、この戦略は2022年の年次報告書で「当初の期待に応えられなかった」とマサン自身が認め、2022年下半期には数百店舗のキオスクを閉鎖し、標準店舗に集中する方針へと転換しました。

消費トレンドの変化とフックロンの未来戦略

2023年以降、フックロンの再編プロセスは、消費財部門だけでなくマサン・グループ全体の業績に影響を与える可能性があると分析されていました。さらに、同チェーンは消費者の支出削減傾向の影響も受けています。フックロン・ヘリテージのパトリシア・マルケス総支配人は、フックロンを「30歳くらいの若者で、活動的で、他の多くの人々と同様に困難を経験してきた」と表現しつつも、同チェーンが困難を乗り越え、「より強くなり、新しいものを受け入れる準備ができている」と自信を示しました。

今年、フックロンは売上高を2兆3000億〜2兆5000億ドン(約1380億円〜1500億円)へと22〜32%増加させることを目標としています。EBITDAも5〜15%改善し、3700億〜4180億ドン(約222億円〜250億8000万円)に達する見込みです。戦略の一つとして、食品部門の売上比率を約11%に引き上げることを掲げており、ハノイでの店舗拡大、日平均売上の改善、投資回収期間の短縮にも注力していきます。

今回のフックロンの記録的な利益は、ベトナムにおけるデジタル経済の急速な発展と、それによって変化する消費者の購買行動を如実に示しています。特にデリバリーチャネルの大幅な成長は、在住日本人にとっても外食の選択肢が増え、より手軽に様々な飲食店の味を楽しめるようになったことを意味します。忙しい日常の中で、高品質なコーヒーや紅茶が自宅やオフィスに届けられる利便性は、今後のベトナム生活において不可欠な要素となりつつあると言えるでしょう。

一方で、親会社マサン・グループがキオスクモデルの失敗を認め、標準店舗へと戦略を転換した背景には、市場の厳しさと消費者のニーズの多様化があります。単に店舗数を増やすだけでなく、顧客体験の質や効率的な運営が求められる現代の飲食業界において、フックロンが今後も成長を維持するには、消費者の節約志向や競合の激化といった課題にどう対応していくかが重要になります。特にハノイでの大規模な店舗展開は、新たな市場での存在感を確立するための大きな挑戦となるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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