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バンコクのPPM、無戸籍者支援に新制度導入

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タイの社会開発・人間安全保障省(PPM)は、バンコクを中心に深刻化する無戸籍者問題に対し、住宅費補助と里親家庭支援を含む新たな社会福祉モデルを発表しました。この新制度は、ホームレス状態の人々が尊厳を持って社会復帰できるよう、政府と民間パートナーが協力して包括的な支援を提供することを目指しており、Khaosodが報じました。

バンコクで広がる無戸籍者問題と新たな支援策

タイでは、ホームレスや頼る人がいない人々の問題が長年にわたり社会課題となっています。社会開発・人間安全保障省(PPM)の調査によると、ホームレスの数は2016年の1,307人から2020年には3,534人に増加しましたが、2023年には2,499人に減少しました。しかし、その多くが40~59歳(56.8%)で、74.1%が一人暮らしという現状は変わらず、特にバンコク、チョンブリー、チェンマイなどの主要都市で多く見られます。

この状況に対し、PPMは2026年4月29日、バンコクのPPM庁舎でニコン・ソムクラン大臣主導のもと、無戸籍者保護法に基づく新たな支援プログラム「住居福祉と里親家庭福祉」を発表しました。これは、単なる一時的な支援ではなく、人々が尊厳を持って社会に復帰するための道筋を描くことを目的としています。

政府主導の「共同負担」住宅支援モデル

新たな支援策の一つは、住居の安定化を図るための「共同負担」モデルです。これは、無戸籍者が家賃の一部を負担し、政府が残りを支援するという画期的な仕組みです。具体的には、政府が月額最大1,500バーツ(約7,500円)の家賃補助に加え、水道光熱費、衣類、寝具の費用もサポートします。

この制度は、住居を単なる雨風をしのぐ場所としてではなく、「安全な場所」として捉え、人々が新しい生活を始めるための出発点となることを目指しています。これにより、無戸籍者は安定した生活基盤を築き、次のステップへと進むための計画を立てることが可能になります。

「里親家庭」が担う社会復帰への道

もう一つの重要な支援策は、無戸籍者のための里親家庭制度です。この制度では、無戸籍者を受け入れる家庭に対し、一人あたり月額5,000バーツ(約25,000円)の報酬が支給されます。これは、孤独感を軽減し、温かい家庭環境の中で社会的なつながりを再構築する機会を提供するためのものです。

PPMは、無戸籍者の人生を立て直すには、金銭的な支援だけでなく、人間関係、理解、そして社会に居場所があるという感覚が不可欠であると考えています。この里親制度は、そうした精神的なサポートを通じて、より包括的な社会復帰を促すための重要な社会ツールとなります。

PPMの役割転換と未来への展望

ニコン大臣は、PPMが「支援する側」から「サポートする側」へと役割を転換し、より強固な社会保護システムを構築することを目指していると述べました。この取り組みでは、電子家族手帳システム「MSO-Logbook」を活用し、個々のニーズに合わせた福祉サービスを正確に提供します。

2026年は、これらの対策を本格的に推進する最初の年となります。PPMは、予算を準備するとともに、「チーム・サンスック」と呼ばれる迅速な対応を可能にする機動部隊を組織し、地域のパートナー組織と協力して活動を展開します。この取り組みは、単にホームレスを支援するだけでなく、タイの福祉システムをより柔軟で、脆弱な人々に真に届くものへと変革し、すべての人々が尊厳を持って家族、地域社会、そして社会全体に復帰できるような新しい基盤を築くことを目指しています。

タイが直面する無戸籍者問題は、経済格差や家族関係の希薄化、高齢化の進展など、多岐にわたる社会構造的な背景が絡み合っています。特に、急速な高齢化は社会保障支出の増大を招き、これまで個別のケース対応に終始しがちだった福祉サービスが、より包括的かつ予防的なシステムへと転換する必要があることを示唆しています。

今回発表されたPPMの新モデルは、政府が「支援者」から「後押しする者」へと役割を変えることで、市民社会の力を引き出し、タイ社会の持続可能な発展に不可欠な「社会保障制度を育てる」というユニベール財団が提唱する目標に合致しています。特に、早期介入に焦点を当てた「新しいホームレス」への支援は、個人が再び自立した生活を送るための機会を広げると期待されます。

  • おすすめスポット:
    PPMの取り組みはバンコクの中心部、サパンカーオ地区で行われています。このエリアは、歴史的な建造物や地域コミュニティが残る興味深い場所です。
    ・サパンカーオ市場 (Saphan Khao Market): 地元の生活が垣間見える市場。
    ・プラ・ラーチャ・ワン・パヤータイ (Phaya Thai Palace): 美しい歴史的建造物で、タイの歴史と文化に触れることができます。
AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
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