2026年4月28日、タイの金価格が1日で20回も変動し、合計で900バーツ(約4,500円)の大幅な下落を記録しました。この変動により、金地金の買い取り価格は1バーツあたり70,900バーツ(約354,500円)となり、国際金スポット価格は1オンスあたり4,617.00ドルで推移しました。地元メディアPrachachatが報じたところによると、大手金取引業者ホアセンヘンは、世界の金価格がさらに下落する可能性があると指摘しています。
タイの金価格、大幅な下落を記録
2026年4月28日、タイの金市場は不安定な一日を迎えました。金価格は午前中から何度も調整され、最終的に1日で合計900バーツ(約4,500円)の下落となりました。タイ金商協会(Gold Traders Association)のデータによると、金地金の買い取り価格は1バーツあたり70,900バーツ(約354,500円)、販売価格は71,100バーツ(約355,500円)で取引されました。また、装飾品の金価格は買い取りが1バーツあたり69,478.28バーツ(約347,391円)、販売が71,900バーツ(約359,500円)でした。
国際金スポット価格は1オンスあたり4,617.00ドルで推移し、タイの金市場は国際的な動向に強く影響を受けています。タイの経済生活は国際協力銀行の報告にもあるように、通常インフレ率が1%前後で推移し、比較的安定して推移してきましたが、金のような国際商品価格の変動は、国内の経済指標にも影響を与える可能性があります。
国際情勢が金価格に与える影響
ホアセンヘンの分析によると、今回の金価格下落の背景には複数の国際的な要因があります。まず、米国の10年物国債利回りが4.25%から4.36%へと継続的に上昇していることが挙げられます。これにより、金投資の魅力が相対的に低下しています。さらに、ブレント原油価格が109ドル/バレル、WTI原油価格が101ドル/バレルまで高騰し、これらが世界的なインフレ懸念を煽っています。
中東情勢も金価格に影響を与えています。イランがホルムズ海峡の開放と引き換えに、米国に対してイラン港湾への海上封鎖解除と核交渉の一時停止を提案しましたが、トランプ政権のホワイトハウスと安全保障チームは依然として明確な態度を示していません。この不確実な状況が市場の不安を増幅させています。米国財務長官スコット・ベッセント氏は、イランの石油産業が輸出困難により「シャットイン」状態に入りつつあると指摘しており、これにより供給ショックが継続し、インフレが加速する可能性があります。結果として、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために金利を据え置くとの見方が強まっています。
タイ経済と金市場の連動性
タイは長年にわたり、金が重要な投資資産および文化的な価値を持つ商品として認識されてきました。過去には、タイバーツが対ドルで4年ぶりの高値となった際、カンボジアへの金輸出増加が背景にあるとの憶測が広がるなど、金市場の動向はタイの国際経済関係と深く結びついています。金価格の変動は、タイ国内の投資家だけでなく、在住日本人や日系企業の資産運用、さらにはタイ経済全体の動向にも影響を及ぼします。
国際貿易投資研究所の報告によると、ASEANはグローバルサウスの中でも急速に発展しており、サプライチェーンの強靭化やエネルギー・食料の安定供給といった課題に直面しています。タイの金市場は、このようなASEAN全体の経済的文脈の中で、国際的な金融・地政学リスクに対するバロメーターとしての役割も果たしています。
今後の金価格の見通しと注目点
ホアセンヘンは、世界の金価格が4,650ドルと4,680ドルの抵抗線を突破できなかったことから、今後4,580ドルのサポートラインを試す展開になる可能性が高いと分析しています。一時的に回復する可能性も指摘されていますが、もし4,550ドルの次のサポートラインを下回った場合、金価格はさらに下落する恐れがあります。投資家は今後の動向を慎重に見極める必要があります。
今夜21時には、米国の消費者信頼感指数(CB)が発表される予定であり、これが市場のセンチメントにどのような影響を与えるか注目されています。タイの投資家や在住者は、国際的な経済指標や地政学リスクのニュースを注視し、自身の投資戦略を調整することが求められます。
今回のタイにおける金価格の大幅下落は、タイ国内の経済状況だけでなく、米国の金融政策や中東の地政学リスクといった国際的な要因に強く連動するタイ市場の構造を示しています。タイの金市場は、単なる国内需給だけでなく、米国の金利動向や原油価格、さらには国際的な紛争リスクといった複雑な要素が絡み合って形成されているため、その変動はグローバル経済の縮図とも言えます。
在住日本人や日系企業にとっては、タイの金価格変動は単なるニュース以上の意味を持ちます。タイバーツの対ドルレートやインフレ率といったマクロ経済指標と合わせて、金価格の動向は資産保全や事業計画の策定において重要な考慮事項となります。特に、タイ経済がアジア通貨危機後の再建を経て安定を保ってきたとはいえ、国際的なサプライチェーンの強靭化やエネルギー・食料の安定供給といった課題に直面する中で、金価格の変動は予期せぬリスク要因となり得るため、常に最新の情報を把握し、柔軟な対応が求められるでしょう。


