ベトナムの首都ハノイ市は、ピックアップトラックの市内での終日運行を許可する新たな決定を発表しました。この変更は4月30日から発効し、これまで時間帯によって制限されていた物流やビジネス活動の柔軟性が大幅に向上すると見込まれています。VnExpressの報道によると、今回の決定は、市民や企業の意見を反映した行政改革の一環です。
ハノイ市、ピックアップトラックの運行規制を緩和
ハノイ市人民委員会は、2026年4月30日付の決定第52/2026号により、決定第1/2026号の第2条g項を補足し、ピックアップトラック(ベトナム語で「ゼーバンタイ」)の24時間運行を許可しました。これに伴い、29席以下の契約旅客輸送車両も終日運行が可能となります。
一方で、29席を超える契約旅客輸送車両や寝台バスは、これまで通りピーク時間帯(午前6時~9時、午後4時~7時30分)以外の運行が原則とされ、ピーク時間帯に運行する場合は市警察の書面による承認が必要です。また、2トン未満のトラックも同様にピーク時間帯の運行は制限され、承認が求められます。
さらに、給油車、ガス運搬車、車両運搬車、清掃車、吸引車、コンクリートポンプ車、クレーン車などの特殊車両は、午後9時から翌朝6時までの夜間のみの運行に限定されます。この新しい決定は、2026年4月30日から施行されています。
規制緩和の背景と行政改革への動き
今回の規制緩和は、ハノイ市建設局が4月初旬にピックアップトラックの運行時間制限撤廃を提案したことに端を発しています。同局の調査によると、ピックアップトラックの重量や寸法は9人乗り以下の乗用車とほぼ同等であり、交通量全体に占める割合も大きくないため、ピーク時間帯の交通渋滞への影響はごくわずかであると判断されました。
この調査結果に基づき、関係各機関は共同で決定01/2026の改正を提案し、ピックアップトラックに対する時間制限の撤廃を求めました。今回の決定に至るまでには、在ベトナム米国領事館、フォード社、ベトナム自動車工業会(VAMA)、ビンファスト社など、多くの関係者との対話や意見交換が重ねられました。これは、ベトナム政府が外国投資家を歓迎し、事業登録手続きの効率化などによりビジネス環境を継続的に改善しようとする姿勢の一環と見ることができます。
これまでの厳しい規制とビジネスへの影響
ハノイ市人民委員会が年初に発行した決定01/2026では、総重量2トン未満の一般トラックはピーク時間帯以外の運行のみが許可されていました。また、総重量2トン以上の一般トラックは、午後9時から翌朝6時までの夜間のみの運行に厳しく制限されていました。
この決定は、ピックアップトラックの利用者や自動車メーカー、販売店のビジネス活動に深刻な影響を与えました。多くのピックアップトラック所有者は、首都での車両使用が制限される中、どのように対応すべきか途方に暮れていました。
現在、一般的なピックアップトラックは、交通運輸省(現在は建設省)の通達53/2024による車両分類において「ダブルキャブピックアップトラック」と規定されており、総重量2トン以上の一般トラックに分類されます。そのため、決定01/2026の下では、これらの車両は午後9時から翌朝6時までしか市内に入ることができないという、大きな時間的制約を受けていました。
在住日本人・日系企業への影響
今回の規制緩和は、ハノイで事業を展開する日系企業、特に物流、建設、サービス業などでピックアップトラックを使用する企業にとって朗報となるでしょう。これまで時間帯の制約によって生じていた業務の非効率性や追加コストが解消され、より柔軟な車両運用が可能になります。
これは、ベトナム政府が「競争力強化のための投資環境整備」を重視し、行政手続きの簡素化を進める中で、企業活動の負担を軽減しようとする動きの一環です。在住日本人にとっても、ピックアップトラックを自家用車として利用する場合の利便性が向上し、ハノイでの生活の質が高まることが期待されます。
今回のハノイ市によるピックアップトラックの運行規制緩和は、ベトナム政府が長年推進している「競争力強化のための投資環境整備」と「行政手続きの簡素化」という構造的な改革努力の一環と捉えることができます。以前の決定01/2026は、多くの企業や個人にとって不便をもたらし、特に物流やサービス業の効率を著しく低下させていました。今回の変更は、米国領事館や自動車メーカーといったステークホルダーからの意見を真摯に受け止め、より実情に即した行政運営へと改善しようとするベトナム政府の姿勢を示すものです。
この規制緩和は、ハノイに拠点を持つ日系企業、特に物流、建設、サービス業などに具体的なメリットをもたらすでしょう。これまで時間帯によって制限されていた車両の運用が24時間可能になることで、業務効率の向上やコスト削減に繋がります。また、個人でピックアップトラックを所有する在住日本人にとっても、日中の移動が自由になることで生活の利便性が高まります。これは、ベトナムが国際的なビジネス環境の予測可能性と透明性を高めようとする一連の努力の表れであり、今後のさらなる行政改革にも期待が持てます。


