ベトナムの家電大手ナガカワ(Nagakawa)グループが、2024年第1四半期に過去最高の売上高と税引後利益を記録しました。ハノイ証券取引所上場企業である同社は、積極的な販売戦略と価格政策、アフターサービス強化が奏功し、消費者の需要を捉えたとVnExpressが報じています。
ハノイ上場ナガカワ、記録的な業績を達成
ナガカワグループの2024年第1四半期の連結決算報告によると、売上高は前年同期比12%増の1兆810億ドン(約64.8億円)に達し、同社の事業史上最高の記録を更新しました。経営陣は、販売促進キャンペーン、価格戦略、割引、アフターサービスなどが功を奏し、販売量が大幅に改善したと説明しています。売上原価の増加が売上高ほどではなかったため、売上総利益は前年同期比21%増の1,010億ドン(約6億円)を超え、売上総利益率は9.36%を達成しました。
また、財務収益が5億9,800万ドン(約358万円)と約57%減少したものの、最終的な税引後利益は前年同期比20%増の164億ドン(約9,840万円)となり、これも四半期としては過去最高益を記録しました。
ベトナム家電市場のパイオニアとしての軌跡
ナガカワグループは、2002年からベトナム国内で家電製品を製造する先駆的な企業の一つで、エアコン(クーラー)が主力製品であり、通常、売上高の70%を占めています。その他にも、キッチン家電や一般家電製品も手掛けています。同社は、ハノイ証券取引所(HNX)に上場している唯一の家電メーカーでもあります。
かつては、市場に約100社ものエアコンメーカーが存在し、中国からの安価な製品による価格競争や限られた流通網により、低収益に苦しんでいました。しかし、近年では商業用エアコン市場を重点ニッチ市場として開拓することでシェアを獲得し、業績を改善させてきました。一般家庭用エアコンについては、家電量販店チェーン「ディエンマイサイン」や北部地域のスーパーマーケットチェーンとの連携を強化し、中間層向けの普及帯製品に注力しています。
ブランド刷新と将来展望
ナガカワは今年、ブランド名を「Naga」に短縮する意向です。同社は2024年の目標として、売上高4兆ドン(約240億円)、税引後利益420億ドン(約2.52億円)を掲げており、これらはいずれも過去最高の水準です。第1四半期終了時点で、売上高目標の27%、利益計画の39%を達成しており、2024年の目標達成に向け順調な滑り出しを見せています。
成長を続けるベトナムのエアコン市場
ベトナムは高温多湿なモンスーン気候と1億人を超える人口を抱え、ベトナム冷凍空調科学技術協会によると、毎年200万台前後のエアコンが消費されています。調査会社リサーチ&マーケットの報告書では、ベトナムはアジア最大のエアコン市場の一つであり、2025年には市場規模が29億ドルに達すると予測されています。
このような背景には、中間所得層の増加と、経済成長に伴う家電需要の拡大があります。特に、ベトナムは生産拠点・輸出ハブとしての戦略的価値に加え、国内市場も中間層の台頭によって魅力が増しており、家電所有の増加に対応するための省エネ政策も重要性を増しています。
ナガカワの記録的な業績は、ベトナム経済の構造的な変化、特に中間所得層の急速な増加とそれに伴う国内消費市場の拡大を明確に示しています。高温多湿な気候がエアコン需要の絶対的な基盤となる中、同社が競争の激しい市場でニッチ戦略(商業用エアコン)に活路を見出し、量販店との連携で一般家庭向け市場も着実に押さえている点は、現地市場での成功モデルとして注目に値します。
この動向は、ベトナム市場への進出を検討する日系企業にとっても重要な示唆を与えます。単に高い成長率だけでなく、現地の消費トレンド、特に中間層のニーズを深く理解し、それに対応した製品・サービス開発や流通戦略を構築することが不可欠です。また、今後も家電需要は拡大が見込まれるため、省エネ技術や環境配慮型製品への投資は、長期的な競争優位性を確立する上で避けて通れない課題となるでしょう。


