ベトナム最大の財閥Vingroup傘下のVEFACが、2024年第1四半期に本業の売上が大幅に減少したにもかかわらず、約1400億ドン(約8.4億円)の純利益を計上しました。この利益は主に金融活動によるもので、不動産譲渡がなかったために売上が前年同期比で99%減少したとVnExpressが報じています。
ハノイのVEFAC、金融活動で巨額利益
VEFAC (Vietnam Exhibition Fair Centre Joint Stock Company) は、ハノイを拠点とするVingroupの子会社で、東南アジア最大の国立展示会センター(VEC)を所有・運営しています。2024年第1四半期の売上高は1210億ドン(約7.2億円)に留まり、前年同期比で驚異的な99%減を記録しました。これは、前年同期に約44兆ドン(約2兆6400億円)相当の不動産譲渡(Vinhomes Global Gatesプロジェクトの一部)があったことの反動です。
しかし、税引き後利益は約1400億ドン(約8.4億円)に達し、売上を大きく上回る結果となりました。これは、同社の利益構造が本業である不動産賃貸やサービス事業から、金融活動へとシフトしていることを明確に示しています。
急増する貸付金と高金利収益
VEFACの第1四半期財務報告によると、同社は複数の組織への貸付金として、期首から166%増となる12兆3440億ドン(約7406億円)を計上しています。これらの貸付金は年率12%という高金利で運用されており、この金融事業だけでVEFACに2250億ドン(約13.5億円)以上の利益をもたらしました。これは、同社の純利益を大きく押し上げた主要因であり、ベトナム経済における企業の資金運用戦略の多様化を示唆しています。
経済産業省の調査でも示されるように、アジア諸国では都市化の進行と共に、企業の事業活動が多角化する傾向が見られます。
Vingroup傘下、ハノイでの巨大プロジェクト
VEFACは、ベトナム最大の財閥であるVingroupが85%以上を所有する子会社です。Vingroupは、創業者ファム・ニャット・ブオン氏がウクライナで立ち上げたインスタント食品事業を起源とし、帰国後は不動産事業で急成長を遂げ、ベトナム経済を牽引してきました。同社はハノイのドンアイン地区で、総投資額約34兆8800億ドン(約2兆928億円)、規模261ヘクタールを超える巨大都市開発プロジェクト「Vinhomes Global Gates」の事業主でもあります。
また、ハノイのGiang Vo地区では、商業・サービス・複合施設プロジェクトを進行させており、都市開発におけるその存在感は非常に大きいと言えます。
総資産の拡大と財務状況
第1四半期末時点で、VEFACの総資産は30兆5000億ドン(約1兆8300億円)を超え、期首から約30%増加しました。この増加の主な要因は、他の組織への貸付金の大幅な増加です。一方、金融負債は約1兆4000億ドン(約840億円)であり、株主資本は6兆8150億ドン(約4089億円)を超えています。
この財務状況は、大規模な不動産開発を行う企業が、一時的な売上変動を金融収益で補填し、投資を継続する戦略の一端を示しています。これは、急速な都市化が進むベトナムにおいて、不動産企業が直面する市場の波を乗り越えるための戦略とも解釈できます。
今回のニュースは、ベトナムの巨大財閥Vingroup傘下企業が、本業の不動産開発・展示会運営という枠を超え、いかに金融活動を通じて利益を創出しているかを示す興味深い事例です。特に、大規模な不動産譲渡がない四半期に、貸付金からの高金利収益で純利益を確保する戦略は、ベトナム経済における大企業の資金力と、グループ内での資金循環、あるいは外部への影響力を浮き彫りにしています。これは、急速な都市化と経済成長を背景に、企業が多角的な収益源を模索するベトナム特有のビジネス環境を反映していると言えるでしょう。
在住日本人や日系企業にとっては、このような国内大手企業の財務戦略の変化が、ベトナム市場全体の流動性や金利動向に間接的に影響を与える可能性も考慮すべき点です。不動産市場の変動が大きい中で、金融収益が企業の安定に寄与していることは一見ポジティブですが、本業以外の収益に大きく依存する構造は、長期的な事業リスク評価において多角的な視点を持つことの重要性を示唆しています。ベトナム経済が成熟するにつれて、企業の収益源の多様化と透明性は、ますます注目される要素となるでしょう。


