ホームベトナムハノイのFPT、通信子会社分離で財務報告が大幅変動

ハノイのFPT、通信子会社分離で財務報告が大幅変動

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ベトナムの大手IT企業FPTグループは、通信子会社FPTテレコムが公安省に移管されたことに伴い、2024年第1四半期の財務報告に大きな変化が生じました。FPTテレコムは2025年に公安省へ50.2%の株式が移管されたことで、FPTグループの連結対象から外れる会計処理が2024年1月1日付で適用されており、VnExpressが詳細を報じています。

FPTテレコムの再編と財務への影響

ベトナム政府は、2025年に国有資本投資経営総公社(SCIC)からFPTテレコムの株式50.2%を公安省へ移管しました。これに伴い、FPTグループはFPTテレコムに対する持株比率が50%を下回ったため、1月1日以降、同社を連結決算の対象から外す会計処理へと変更しました。FPTテレコムはこれまで、FPTグループが45%強の株式しか保有していなかったにもかかわらず、子会社として連結会計されていました。

この会計処理の変更は、FPTテレコムの経営効率向上と成長を促す目的があるとFPTは説明しています。ベトナムでは政府が主要企業の所有者として大きな影響力を持つことが一般的であり、今回の移管も国家戦略の一環と見られています。

2024年第1四半期財務報告の内訳

FPTが発表した2024年第1四半期の財務報告によると、FPTテレコムの連結除外により、売上高は前年同期比で22%減の約12兆5,000億ドン(約750億円)となりました。しかし、前年同期の通信事業を除いて比較すると、FPTグループ全体の売上高は約9%増加しており、本業の堅調な成長を示しています。

事業別に見ると、情報技術(IT)部門がFPTグループの売上高の87%を占め、11%増の10兆8,420億ドン(約650億円)と主力事業としての地位を確立しています。一方で、教育部門の売上高は4%減の1兆6,380億ドン(約98億円)でした。

利益構造と資産の変化

FPTグループの販売費や一般管理費は、FPTテレコムの連結除外により数千億ドン規模で減少しました。その結果、税引前利益は前年同期比で7.2%減の2兆804億ドン(約168億円)となりました。しかし、親会社株主に帰属する税引前利益は、14.4%増の2兆487億ドン(約149億円)と大幅な伸びを見せています。これは、通信事業が資本集約型であり、FPTグループ全体の利益率を押し下げていた影響がなくなったためと考えられます。

2024年3月31日時点のFPTグループの総資産は、年初から19兆5,520億ドン(約1兆1,731億円)減少し、68兆5,870億ドン(約4兆1,152億円)となりました。特に現金および預金残高は13兆8,000億ドン(約8,280億円)減の26兆8,000億ドン(約1兆6,080億円)です。しかし、FPTテレコムが子会社から関連会社に再分類されたことにより、長期金融投資は123%増の10兆5,250億ドン(約6,315億円)に増加しました。

FPT幹部の見解と今後の展望

FPTのグエン・テー・フオン副総経理は、今年の年次総会で、FPTテレコムを連結決算から外すことで、FPTグループの財務諸表が「より見栄えが良くなる」可能性があると述べました。同氏は、「通信会社はインフラへの多大な投資が必要な資本集約型の事業であり、ITや教育部門に比べて指標が積極的ではない」と説明しています。この変更により、FPTの財務上の借入金も約24%減少し、16兆ドン(約960億円)強となり、今後の債務返済圧力が軽減される見込みです。

FPTテレコムが公安省に移管された後も、FPTグループは引き続きFPTテレコムの日常業務の運営に携わり、年間約4,500億~5,000億ドン(約27億~30億円)の配当金を受け取るとのことです。フオン副総経理は、FPTテレコムが政府から国家インフラ関連の多くの任務を任されることで、今後大幅な成長機会を得ると評価しています。これは、ベトナム政府がデジタル経済の発展を国家戦略として重視している背景と一致しています。

今回のFPTテレコムの移管とそれに伴う会計処理の変更は、ベトナムにおける国有企業と政府の関係性、そして経済政策の一端を浮き彫りにしています。ベトナム政府は、企業を所有する立場を重視し、戦略的な産業において国家の管理下を強化する傾向があります。特に通信インフラのような国家の安全保障に関わる分野では、公安省が直接関与することで、政府のデジタル経済戦略と安全保障の両面から統制を強化する意図が見て取れます。

在ベトナム日系企業にとって、この動きはベトナム市場の特殊性を再認識する機会となります。政府の意向が企業の経営や市場競争に直接的な影響を与える可能性があり、特にインフラやハイテク分野への投資を検討する際には、こうした政治・制度的背景を深く理解することが重要です。FPTグループのように、政府との関係性を巧みに活用し、事業構造を最適化する事例は、ベトナム経済で成功を収めるための一つのモデルとも言えるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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