タイ株式市場は4月29日、大型株とエネルギー関連株が牽引し、SET指数が11.54ポイント上昇して取引を終えました。中東情勢の緊迫化やタイ投資委員会(BOI)による投資奨励策が好感され、主要銘柄への買いが集中。Prachachat紙が報じました。
市場概況と主要な動き
タイ株式市場は4月29日、SET指数が前日比11.54ポイント(+0.78%)上昇し、1,491.74ポイントで取引を終えました。売買代金は570億バーツ(約2,850億円)に達し、市場には活況が見られました。投資顧問会社イノベストXは、大型株への買い戻しが顕著であり、特に製油所や石油化学関連株が中東情勢の緊迫化を受けて上昇を続けたと指摘しています。
投資環境の改善とセクター別動向
セクター別では、産業団地関連株(WHA、AMATA)や発電関連株(GPSC、BGRIM、WHAUP)が大幅に上昇しました。これは、タイ投資委員会(BOI)が発表した2026年第1四半期の投資奨励申請額が、前年同期比で2.4倍となる1兆バーツ(約5兆円)を突破したことが追い風となりました。特にデータセンターへの投資が牽引しており、今後の土地需要や電力需要の増加が期待されています。タイは長らく産業の高度化・高付加価値化を課題としてきましたが、このような投資誘致策が経済構造の転換を後押しする形となっています。
政策金利の据え置きと資金流入
また、タイ中央銀行の金融政策委員会(MPC)が市場の予想通り政策金利を据え置いたことも、追加的な資金流入を促しました。安定した金融政策は、国内外の投資家にとって予測可能性を高め、投資判断を容易にする要因となります。タイ政府は、サービス業やデジタル技術を基盤とした経済構造への転換を目指しており、今回の市場の動きはそうした政策目標と一致するものです。
売買代金上位銘柄
この日の売買代金上位5銘柄は以下の通りです。
- PTT:34億1,740万バーツ(約170億8,700万円)、終値35.25バーツ(価格変動なし)
- PTTEP:29億9,351万バーツ(約149億6,755万円)、終値151.50バーツ(0.50バーツ上昇)
- AOT:28億6,577万バーツ(約143億2,885万円)、終値51.00バーツ(1.50バーツ下落)
- DELTA:28億372万バーツ(約140億1,860万円)、終値312.00バーツ(2.00バーツ上昇)
- KBANK:20億6,857万バーツ(約103億4,285万円)、終値195.00バーツ(1.00バーツ上昇)
今回のタイ株式市場の上昇は、単なる一時的なトレンドではなく、タイ政府が推進する経済構造の高度化と外国投資誘致政策が結実しつつある現状を反映しています。特にBOIによる大規模な投資奨励は、データセンターのような高付加価値産業へのシフトを明確に示しており、製造業中心からサービス・デジタル経済への転換を目指す「タイランド4.0」戦略の進展を物語っています。
この動きは、タイに進出している日系企業にとっても重要なシグナルです。特に、EVシフトや地政学リスクの高まりといった外部環境の変化に対応するため、産業構造の再編や投資の再配分を検討する上で、タイの投資環境が引き続き魅力的な選択肢であることを示唆しています。長期的な視点で見れば、タイ経済全体の底上げに繋がり、在住日本人や企業活動にもポジティブな影響が期待できるでしょう。


