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タイ初のサーモン養殖で食料安全保障へ

※画像はイメージです(AI生成)

タイのカセサート大学で、国内初となるアトランティックサーモンの閉鎖循環式養殖研究プロジェクトが始動しました。PTT LNGとの提携により、年間80億バーツ(約400億円)に上るサーモン輸入からの脱却と、持続可能な食料安全保障の確立を目指します。The Thaigerが報じたところによると、このプロジェクトは将来的な商業生産の基盤となることが期待されています。

タイ初のサーモン養殖プロジェクト始動

タイが食料安全保障の強化に向け、新たな一歩を踏み出しました。カセサート大学水産学部はPTT LNGと提携し、国内初となるアトランティックサーモンの養殖研究プロジェクトを開始。この画期的な取り組みは、年間約80億バーツ(約400億円)に達するサーモンの輸入依存度を低減し、持続可能な国内産業の確立を目指すものです。

このプロジェクトでは、最新の閉鎖循環式養殖システム(RAS)を採用。水温や水質を厳密に管理することで、年間を通して安定した養殖環境を維持します。限られた水とスペースで運用できるため、病気のリスクや環境への負荷を低減できる点が大きなメリットです。

LNG冷熱利用と経済的実現性

プロジェクトを率いるスリヤン・トゥンキッチャヌキット助教らは、魚の成長、栄養管理、そして経済的実現性について詳細な調査を進めています。特に注目すべきは、液化天然ガス(LNG)のプロセスから得られる冷熱エネルギーを養殖水の冷却に活用するという革新的なアプローチです。これにより、エネルギーコストを抑えつつ、サーモンが生育に適した低温環境を維持できる見込みです。

チリから合法的に輸入された2万個のアトランティックサーモンの受精卵がすでに研究施設に到着しており、第一段階の研究が本格化しています。この研究は、タイにおける将来の商業的なサーモン生産の基礎を築くものと期待されています。

タイの食料安全保障とスマート農業への展望

カセサート大学のトン・タムロンナワサワット副学部長は、タイが世界有数のサーモン輸入国である現状を指摘し、本プロジェクトの重要性を強調しました。これは単にサーモンを国内生産するだけでなく、食料安全保障の強化という国家的な課題に対する重要な回答となります。近年、世界的な食料不安が高まる中、タイもまた、強靭な競争力のある経済と持続可能な食料システムを確立しようとしています。

本プロジェクトのような先端技術を活用したスマート農業は、農林水産業におけるロボット技術安全性確保策の検討やデータ駆動型土づくりなど、農林水産技術会議が推進する産学官連携の取り組みとも合致します。将来的には、タイの農業がデジタル技術を基盤とした経済構造へと転換する一翼を担う可能性を秘めていると言えるでしょう。

このサーモン養殖プロジェクトは、タイが直面する食料安全保障の課題に対する具体的な解決策として注目されます。タイは豊かな農業国である一方で、特定の食料品については輸入に大きく依存しており、特にサーモンはその筆頭です。世界的な気候変動や地政学リスクが高まる中、自国で安定した食料供給体制を築くことは、国家の強靭な経済と国民の生活を守る上で極めて重要です。また、LNG冷熱利用のような先進技術の導入は、持続可能な産業構造への転換を目指すタイの科学技術戦略とも深く連携しており、今後の成長産業としての期待が寄せられます。

この取り組みが成功すれば、在タイ日本人にとっても大きな恩恵をもたらすでしょう。現在、タイで流通するサーモンの多くは輸入品であり、鮮度や価格に影響が出ることが少なくありません。国内で新鮮なサーモンが安定供給されるようになれば、日本の食文化に根ざした寿司や刺身といった料理を、より手頃な価格で楽しめる機会が増えるかもしれません。また、養殖技術の発展は、将来的にはタイ独自のブランドサーモンが誕生し、新たなグルメ体験や観光の目玉となる可能性も秘めていると言えるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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