ベトナムの大手繊維企業TNGのグエン・バン・トーイ会長が、若返りを図るため辞任を表明しました。この動きは、企業のガバナンス改革と次世代リーダー育成の加速を示唆しています。ベトナムの主要経済メディアVnExpressが4月13日に報じたところによると、トーイ氏は今後、常任副会長として引き続き会社をサポートする予定です。
この記事の要約
- タイグエン省の繊維大手TNGのグエン・バン・トーイ会長が若手リーダーへの交代を理由に辞任を表明しました。
- トーイ氏は退任後も常任副会長として企業経営に参画し、同社の筆頭株主としての地位も維持します。
- TNGは2025年に過去最高益を達成し、2026年にはさらなる売上高と利益の増加を目指しており、ベトナム経済成長の牽引役として期待されています。
タイグエン省、TNG会長が辞任へ
グエン・バン・トーイ氏の辞任届は、投資貿易株式会社TNGによって4月13日に公表されました。トーイ氏は、次世代のリーダーが今後企業の経営を引き継ぎ、運営していくための環境を整えるために辞任を申し出たとのことです。現職を退いた後、トーイ氏は今年開催される年次総会を経て、常任副会長に就任する予定です。後任については現時点では明らかにされていません。
1958年生まれのトーイ氏は、鉱山機械工学のエンジニアであり、経済学士でもあります。1993年から2002年にかけては、現在のTNGの前身であるタイグエン縫製会社の社長を務めました。2023年のTNG年次総会で提出された取締役候補者の情報によると、トーイ氏は2003年から現在まで同社の会長を務めてきました。現在、トーイ氏はTNGの株式を2,470万株以上保有しており、これは定款資本の19.2%に相当し、同社最大の株主です。
ベトナム繊維産業の成長とTNGの歩み
TNGは、1979年にバクタイ縫製工場として設立されました。ベトナムは長らく安価な労働力を強みとして海外企業の製造工場を誘致してきましたが、近年では隣国の中国やタイの人件費上昇に伴い、ベトナムへの工場移転が加速しています。TNGもこの流れの中で、ベトナムを生産拠点とする輸出産業として大きく成長してきました。
同社は2025年末時点で、本社1か所と18の支店を擁しています。2025年の純売上高は8兆7,000億ドン(約522億円)、税引後利益は3,930億ドン(約23億5,800万円)を記録し、前年比でそれぞれ約13%と24.8%の増加を達成しました。特に繊維・縫製部門は、同社にとって最大の売上を上げる分野であり続けています。
今後の展望と経済への影響
TNGは今年、売上高9兆5,000億ドン(約570億円)、税引後利益4,500億ドン(約27億円)を目標としており、これは前年比でそれぞれ9.2%と14.5%の増加となります。この計画が達成されれば、同社にとって過去最高の業績となる見込みです。ベトナム経済は、COVID-19パンデミック収束後も力強い成長を続けており、TNGのような大手企業の躍進は、国内の「繁栄と幸福」への模索を象徴しています。トーイ氏の辞任は、企業の世代交代とガバナンス改革を促し、さらなる経済発展に貢献する可能性を秘めています。
AsiaPicks View
今回のTNG会長辞任は、ベトナム企業が直面する世代交代とコーポレートガバナンス改革の動きを象徴しています。ベトナムは安価な労働力を背景に経済成長を遂げてきましたが、持続的な発展のためには、企業の透明性向上や次世代リーダーの育成が不可欠です。特に上場企業においては、組織の健全な発展と国際競争力の強化を目指し、若手幹部への権限委譲が積極的に進められています。
このような企業構造の変化は、在住日本人の生活に直接的な影響を与えることは少ないかもしれませんが、ベトナム経済全体の底上げに繋がる可能性があります。主要産業である繊維分野での成長と効率化は、インフラ整備やサービス向上の原資となり、結果としてホーチミンやハノイといった都市部の生活環境がさらに快適になることが期待されます。企業のガバナンス強化は、海外からの投資を呼び込み、ベトナム経済の安定した成長を後押しするでしょう。


