タイのペットフード大手アイ・テル・コーポレーション(ITC)が、2026年第1四半期に過去最高の四半期売上高を記録しました。ペット用おやつ製品の需要急増が主要因となり、前年同期比で大幅な増益を達成。タイの主要経済紙カオソッドが報じています。
過去最高の業績を記録したITC
アイ・テル・コーポレーション(ITC)は、2026年第1四半期において、上場以来となる過去最高の業績を達成しました。売上高は前年同期比28.6%増の1億6300万ドル(約253億円、1ドル=155円換算)、タイバーツ換算で51億7400万バーツ(約258億7000万円)に達しました。ロイ・チャン最高経営責任者(CEO)は、この力強い成長は、米国および欧州市場における主要顧客からの需要増加に起因すると述べています。
調整後純利益は9億9100万バーツ(約49億5500万円)で、前年比24.9%の成長を見せました。これは、売上高と販売量の増加に加え、厳格なコスト管理が功を奏した結果です。粗利益も12億5800万バーツ(約62億9000万円)に達し、前年比23.1%増となりました。これは、高付加価値プレミアム製品の販売比率が総売上高の51.5%を占めるまでに増加したことを反映しています。
ペット用おやつが成長を牽引
ITCの成長を特に牽引したのは、ペット用おやつ製品群です。第1四半期の総売上高の20.8%を占め、前年同期比で95.0%という驚異的な急成長を遂げました。この急成長の背景には、プレミアム商品のトレンド、ペットの健康と福祉に対する意識の高まり、そして「リッカブル(舐めるタイプ)」のおやつといった新形態製品の人気上昇があります。
ロイ・チャンCEOは、「すべての地域で前年比売上が増加しており、特にアメリカ市場がITCにとって最大の市場であり続けています。総売上高の60.0%を占め、世界的なペットフード企業やプライベートブランド顧客からの需要増が重要な成長要因となっています」と説明しました。
主要市場での力強い回復と戦略的展望
ヨーロッパ市場も力強い回復を見せており、前年比49.2%増、総売上高の15.0%を占めました。アジアおよびオセアニア市場は総売上高の25.0%を占め、日本、台湾、オーストラリアからの売上が主に牽引しました。タイの食品加工産業は、長年にわたり国際市場で競争力を培っており、特にCPグループのようなアグリビジネスから食品加工、販売までを一貫して手掛けるコングロマリットがその代表例です。ITCの成功も、タイにおける製造業の強さとグローバルサプライチェーンへの連結力を示しています。
中東における紛争が第1四半期に重大な影響を及ぼすことはありませんでしたが、ITCは潜在的な間接的影響を管理するために、顧客と緊密に連携し、積極的に対策を講じていると述べています。2026年通期の見通しについては、ドル建て売上高成長率9-12%、粗利益率23-25%、販売管理費(SG&A)比率9-10%の目標を据え置いており、引き続き状況を注視していく方針です。
今回のITCの記録的な業績は、タイ経済における食品加工産業、特にペットフード分野の構造的強さを浮き彫りにしています。タイは、高品質な原材料の供給源が豊富であり、高度な食品加工技術と国際的な輸出ネットワークを確立しているため、世界的な需要変動にも柔軟に対応できる強固なサプライチェーンを有しています。特に、ペットを家族の一員と見なす世界的なトレンドは、タイのペットフードメーカーにとって大きな追い風となっており、今後もこの分野での成長が期待されます。
在住日本人や日系企業にとって、このニュースはタイ経済の底堅い成長を示す良い指標となります。特に、タイの中産階級の継続的な増加やZ世代消費者の出現は、国内市場の購買力向上に直結しており、プレミアム商品への需要が高まっています。これは、食品以外の分野でも高品質な製品やサービスを提供する日系企業にとって、新たなビジネスチャンスとなり得るでしょう。タイが単なる生産拠点から、消費市場としてもその魅力を増していることを示唆しています。


