ベトナムで急速な少子高齢化が進む中、カマウ省の女性代表が国会で「2人の子を産むことは社会への責任」と提言しました。合計特殊出生率が人口置換水準を下回る状況を受け、政府に対し財政支援や保育サービス拡充など多角的な少子化対策を求めています。この動きは、VnExpressが報じたところによると、国の持続可能な発展に向けた重要な政策転換を示唆しています。
ベトナム、急速な高齢化と出生率低下に直面
ベトナムは現在、急速な人口高齢化と出生率の低下という大きな課題に直面しています。カマウ省女性連合会会長のレ・ティ・ゴック・リン氏が4月21日の国会で発表したところによると、ベトナムは人口ボーナス期から高齢化社会へと急速に移行しており、60歳以上の人口が増加する一方で、若年労働力は減少傾向にあります。
現在の合計特殊出生率は人口置換水準である2.1人を下回っており、2022年にはこの水準を維持していたものの、2023年には約1.96人、2024年にはさらに減少して1.91人/女性となっています。この傾向は、家族規模の縮小と、長期的に安定した人口を維持するための出生数が不足していることを示しています。
「2人出産は社会的責任」意識改革を促す
レ・ティ・ゴック・リン氏は、低出生率を克服するためには、人口政策を家族計画から持続可能な出生率の維持へと大きく転換する必要があると強調しました。特に大都市や工業団地など、出生率が低い地域を優先的に支援すべきだと提言しています。
また、結婚や出産に対する社会の認識を変える上でメディアの役割が重要であるとし、適切な年齢での結婚と出産を奨励し、若年層の結婚・出産遅延傾向を抑制するよう訴えました。リン氏は「夫婦が2人の子を産むことを奨励し、これを国の持続可能な発展に繋がる社会的責任と見なすべきだ」と述べました。
政府への具体的な支援策を要求
リン氏は、政府が家族に対し、出産・育児費用の支援、医療費の免除・減額範囲の拡大、子育て世帯への税制優遇など、実用的で長期的な財政支援策を導入するよう求めました。
さらに、保育園や幼稚園のネットワーク拡大、特に都市部や工業団地での時間外保育サービス開発など、乳幼児ケアサービスのシステムを包括的に投資・拡充する必要があるとも提案しています。若年夫婦が安心して家庭を築き、子育てができるよう、住宅支援と安定雇用の促進、所得向上策も不可欠だとしています。
法改正と長期的な展望
リン氏は、長期的な視点から、人口、労働、社会保障、男女平等に関連する法規制を包括的に見直し、改正するよう国会に提言しました。政府は、出産と子育てに適した環境を整備するために、迅速かつ強力な政策決定を行う必要があると強調しました。
2025年に施行される改正人口法には、財政支援、社会住宅の融資・購入優遇、一部スクリーニング費用の免除、胎児の性別開示行為への罰則など、多くの出生促進策が追加されています。
出生時の男女比不均衡も深刻な課題
2025年の全国出生率は女性一人あたり約1.93人に留まると予測されており、これは2030年までに人口置換水準を維持するという目標を脅かしています。また、ベトナムは2006年以降、出生時の男児の割合が自然なバランスを上回っており、男性過剰のリスクに直面していることも深刻な課題です。
ベトナムが直面する少子高齢化は、経済成長を支えてきた「人口ボーナス」期の終焉を意味し、社会構造の大きな転換期にあります。政府が「2人出産は社会的責任」とまで踏み込む背景には、単なる出生率低下だけでなく、将来的な労働力不足や社会保障制度の維持といった国家存立に関わる危機感が強くあります。特に大都市や工業団地での出生率低下は、経済活動の中心地で若年層が結婚・出産を躊躇する傾向を示しており、これは住宅費の高騰や育児環境の不備など、都市化に伴う課題が複合的に絡み合っていると分析できます。
このニュースは出生率向上に焦点を当てていますが、ベトナム社会が抱えるもう一つの重要な課題である「出生時の男女比の不均衡」については、政策の方向性が複雑です。男児を優先する文化的背景が根強く、これが「2人出産」という目標と結びつくと、かえって性別の選択を助長する可能性も指摘できます。政府は胎児の性別開示を罰則化するなど対策を講じていますが、根深い文化的要因に対するアプローチは、単なる政策変更だけでは難しい側面があり、より長期的な教育や意識改革が不可欠となるでしょう。


