タイ国営倉庫機構(PWO)のゴム手袋購入を巡る約100億円の損失事件で、検事総長が一審で無罪となった21人の被告に対する控訴を見送る決定を下しました。この決定は、同事件に関する汚職対策部門の検察庁が2026年5月8日に発表した声明で明らかになったものです。Khaosodが報じました。
バンコクでの大規模汚職事件、控訴見送りの背景
この事件は、2025年5月20日にバンコクの汚職・不正行為刑事裁判所第一部で21人の被告全員に無罪判決が下されたことに端を発します。検事総長は、被告1から3に対する控訴を見送る意向を示しましたが、国家汚職追放委員会(PACC)は判決への不服を表明し、控訴を求めていました。しかし、検事総長はこの意見変更をしないと判断しました。
政府調達法の適用外と判断された理由
検事総長が被告1から3に対する控訴を見送った主な理由は、今回のゴム手袋の購入が政府調達法(B.E. 2560)の適用外であると判断されたためです。ゴム手袋は消費財であり、この取引は国営倉庫機構(PWO)の商業活動に直接関連するとされました。
1955年の国営倉庫機構設立勅令第7条(1)および政府調達政策委員会が2017年12月6日に発表した国有企業による直接商業活動に関する調達基準53.1(2)に基づき、今回のゴム手袋購入はPWOの目的に沿った商業活動とされています。そのため、契約計画の未設定、PWOウェブサイトでの非公開、公開掲示板での非掲載、参照価格の欠如といった点が、政府調達法違反には当たらないと結論付けられました。裁判所の一審判決がこれらの被告に対して無罪としたことは適切であるとされています。
PWO元理事長、デジタルマーケティング部門長の無罪判断
被告4、元PWO理事長については、事件発生当時、PWOの一般的な運営を監督する権限はあったものの、ゴム手袋の売買契約を締結する権限はなかったとされています。また、被告1に違法行為を指示した証拠も発見されませんでした。提案されたプロジェクトと契約は被告1が独立して実施したものであり、被告4が他の被告と共謀したり、契約から不当な利益を得たりした証拠もありません。
被告5、デジタルマーケティング部門長については、被告1の指揮下で職務を遂行したことが判明しています。被告5はPWOの手順と規則に従って意見を提出しましたが、被告1は自身の権限で契約できると主張し、その意見に従いませんでした。被告5が被告1と共謀したことを裏付ける証拠も発見されていません。したがって、一審判決が被告4および被告5に無罪を下したことは妥当と判断されました。
一般人被告らの関与と無罪判決
被告6から21の一般人グループについては、通常の商取引プロセスに従って買い手と売り手を見つけるための接触を行ったとされています。LINEアプリケーションを通じた連絡や顧客探索の証拠、および事件の状況から、事前に計画された行為や不正な利益を得た形跡はありませんでした。
また、このグループの被告らがPWOが支払うべき保証金の額や、PWOの調達規則を知っていたという証拠もありませんでした。したがって、一審判決が被告6から21に無罪を下したことは適切と判断されました。
検事総長の声明と透明性の確保
検事総長は、この控訴見送りの理由を、2018年の汚職防止・弾圧に関する憲法制定法第94条第1項および2019年の検察庁不正行為・汚職事件処理規則第22条第2項に基づき、国民に広く公表すべきであるとの見解を示しています。これにより、タイにおける司法の透明性が確保されることが期待されます。


