THIM(Thailand Immigration Management)は、タイ入国管理局が試験運用している外国人向けの入国管理アプリです。2026年7月時点では利用は任意で、タイ入国前に必要なTDAC(タイ・デジタル到着カード)をアプリから登録する入口として使えます。THIMを使わない場合は、これまでどおりTDAC公式サイトから提出できます。
重要なのは、THIM、TDAC、ビザ、入国許可を混同しないことです。THIMをインストールしてもTDACの提出義務が消えるわけではなく、TDACを提出してもビザや入国許可が自動的に得られるわけではありません。本記事では、タイ政府機関が公表した内容とTDAC公式FAQをもとに、現在できること、具体的な登録手順、エラー時の代替手段、2026年8月に予定される本格運用の範囲を整理します。
先に結論
- THIMは2026年7月時点で試験運用中です。利用は任意で、本格運用は2026年8月に予定されています。
- TDACは原則として、空路・陸路・海路でタイへ入国するすべての外国籍旅行者に必要です。
- TDACは到着日の3日前から提出できます。1回の入国につき1回の登録が必要です。
- THIMで登録できない場合は、無理に繰り返さずTDAC公式サイトへ切り替えれば問題ありません。
- 送信前に氏名、旅券番号、国籍、生年月日、到着日を確認し、完了画面とQRコードを端末へ保存してください。
THIMとは何か
THIMは「Thailand Immigration Management」の略称です。タイ入国管理局が、短期旅行者、長期滞在者、タイ在住の外国人に関係する手続きを一つのモバイル基盤へ集約する目的で開発しています。現在の中心機能は、パスポートを撮影して情報を読み取り、TDACに必要な滞在先、移動情報、入国目的を登録する機能です。
タイ国政府観光庁(TAT)の発表では、個人の登録時間は3分以内を想定し、1回につき最大10人までのグループ登録に対応します。iOSとAndroidで提供され、初期段階では英語、ロシア語、日本語、中国語の4言語に対応するとされています。登録ユーザーは、アプリから24時間対応のツーリストポリス窓口へ連絡する機能も利用できます。
ただし、2026年7月時点のTHIMは試験運用です。画面、対応機能、公開時期は変更される可能性があります。「2026年8月にすべての入国管理手続きがアプリ化される」と決めつけず、渡航直前にタイ入国管理局とTATの案内を確認する必要があります。
THIM・TDAC・ビザ・入国許可の違い
検索時に最も混乱しやすいのが、4つの役割の違いです。旅行者が行う作業と、タイ当局が行う審査を分けて考えると整理できます。

| 項目 | 役割 | 旅行者が確認すること |
|---|---|---|
| THIM | 入国管理サービスをまとめるアプリ | 試験運用中は利用するか選べる |
| TDAC | 紙の到着カードに代わる事前登録 | 対象者は入国前に提出する |
| ビザ・ビザ免除 | 国籍、目的、滞在期間に応じた滞在資格 | 自分の渡航条件を別に確認する |
| 入国許可 | 入国審査官による最終判断 | 旅券、旅程、滞在目的などを説明できるようにする |
THIMは追加の到着カードではありません。THIMからTDAC連携登録を完了した場合、TDAC公式サイトで同じ内容を重ねて提出する必要はありません。一方、アプリで登録が完了していないなら、TDAC公式サイトで確実に提出する必要があります。
TDACが必要な人と不要なケース
TDAC公式FAQでは、空路、陸路、海路を問わず、タイへ入国する外国籍の旅行者にTDACが必要とされています。観光のビザ免除、ビザ・オン・アライバル、事前取得したビザのいずれでもTDACは別に必要です。乳幼児と子どもも対象で、保護者や同行者が代理で登録できます。
例外として、タイで入国審査を通らない国際線の乗り継ぎ・テクニカルランディングと、乗務員はTDAC不要と案内されています。乗り継ぎ中に空港の制限区域を出る場合や、タイへ入国してホテルへ移動する場合は必要です。判断がつかない旅程では、航空会社またはタイ入国管理局に確認してください。
| 旅程 | TDAC | 理由 |
|---|---|---|
| 日本からバンコクへ観光 | 必要 | 外国籍旅行者としてタイへ入国するため |
| 陸路でラオスからタイへ入国 | 必要 | 陸路も対象に含まれるため |
| クルーズ船でタイへ入国 | 必要 | 海路も対象に含まれるため |
| 入国審査を通らない国際線乗り継ぎ | 不要 | タイへ入国しないため |
| 乗り継ぎで空港外へ出る | 必要 | 入国審査を通るため |
TDACはいつ提出するのか
TDACは、タイ到着日の3日前から到着日までに提出します。公式FAQは「到着の最大72時間前」とも説明しています。たとえば8月10日に到着する場合、目安は8月7日以降です。時差や便の変更を考えると、出発前日または当日に慌てて入力するのではなく、提出可能になった時点で旅程を確認して登録するのが安全です。

TDACは1回の入国に対して1回だけ有効です。タイから出国し、再び入国する場合は、新しい到着日で再提出します。TDAC側から搭乗前のリマインダーは送られないため、航空券の予約管理やカレンダーに提出日を入れておくと漏れを防げます。
登録前に準備する情報
TDACは途中保存に対応していないと公式FAQで案内されています。入力を始める前に、次の情報を一画面で確認できる状態にしておくと、戻って調べ直す手間が減ります。
- 有効なパスポートと顔写真ページ
- 到着便の便名、到着日、出発地
- タイから出国する予定日と便名(決まっている場合)
- ホテル、コンドミニアム、知人宅などタイ国内の滞在先住所
- 旅行目的と直近の渡航情報
- TDACの確認を受信できるメールアドレス
- 家族・同行者をまとめて登録する場合は全員分の旅券情報
入力画面に日本語の案内が表示されても、氏名、国籍、都市名、住所などの登録値は旅券や予約情報に合わせて英語で入力します。ホテル名だけでなく、都県、地区、郵便番号を確認できる予約票を用意しておくと滞在先入力が止まりません。
THIMで登録する7つの手順
THIMの試験運用で案内されている流れは、パスポート撮影、読み取り結果の確認、旅行情報と滞在先の入力、送信、完了画面の保存です。アプリの更新でボタン名や画面順が変わる可能性はありますが、確認すべきポイントは同じです。

- 公式ストアからTHIMを開く:検索広告やメッセージ内のリンクではなく、タイ政府機関が案内する公式経路を使います。
- パスポートを撮影する:顔写真ページ全体を明るい場所で撮り、反射、影、指の写り込みを避けます。
- 読み取り結果を確認する:氏名の順序、旅券番号、国籍、生年月日、有効期限を旅券と一文字ずつ照合します。
- 旅行情報を入力する:到着日、便名または車両情報、搭乗地、入国目的を予約票に合わせます。
- 滞在先を入力する:最初に宿泊する施設の名称と住所を英語で入力します。
- 全項目をプレビューして送信する:同行者を登録した場合は、人数と全員分の情報を確認します。
- 完了画面を保存する:QRコードと登録内容をダウンロードし、メール受信も確認します。
グループ登録は1回につき最大10人です。家族、ツアー、出張チームをまとめて登録できますが、代表者だけでなく全員分のTDACが作成されていることを確認してください。
入力を間違えた場合の直し方
ホテルや便が変わった場合は、入国前にTDACの「Update Arrival Card」機能で更新します。公式FAQでは、氏名、旅券番号、国籍、生年月日は更新対象外と案内されています。これらを間違えた場合は、正しい情報で新しいTDACを提出し直します。複数回提出した場合は、最新の有効な登録が使用されます。
自動読み取りでは、数字の「0」と英字の「O」、数字の「1」と英字の「I」、姓名の順序で誤りが起きやすいため注意が必要です。送信後に直せると考えず、旅券下部のMRZを含めて送信前に確認してください。
THIMやTDACでエラーが出たとき
試験運用中のTHIMで読み取りが進まない、送信が完了しない、画面が固まる場合は、THIMだけに依存しないことが重要です。TDAC公式サイトへ切り替え、同じ情報を直接登録できます。
- 通信が安定したWi-Fiまたはモバイル回線へ切り替える
- アプリまたはブラウザを最新版へ更新する
- パスポート撮影時の反射と影をなくす
- エラー画面をスクリーンショットで保存する
- THIMで解決しなければTDAC公式サイトから提出する
TDAC公式FAQでは、通信エラーは接続を確認し、429エラーはページを更新して再試行するよう案内しています。QRコードをメールで受信できない場合は、入国地点の担当官へ相談します。サイト自体が利用できない場合は、エラー画面を保存して空港または入国管理スタッフへ提示してください。
THIMとTDAC公式サイトのどちらを使うべきか
THIMとTDAC公式サイトは、どちらか一方が常に優れているわけではありません。試験運用中は、旅行人数、端末、出発までの時間で選びます。アプリを試すこと自体を目的にせず、入国前登録を確実に完了できる経路を選ぶのが基本です。
| 状況 | 使いやすい方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 1人で短期旅行 | TDAC公式サイト | 新しいアプリを入れず、ブラウザだけで完了できる |
| 家族・グループ旅行 | THIMまたはTDACのグループ登録 | 最大10人までまとめて入力できる |
| パスポート入力を減らしたい | THIM | 顔写真ページの撮影と自動読み取りを使える |
| THIMでエラーが続く | TDAC公式サイト | 試験運用アプリに時間を使いすぎず提出を完了できる |
| 出発直前で時間がない | 正常に開く方を選ぶ | アプリへのこだわりより完了画面の取得を優先する |
タイへ頻繁に渡航する人や長期滞在者にとっては、将来の予約、書類提出、申請状況確認までTHIMに集約されれば利便性が高まります。ただし、現在公表されている将来像と、今すぐ使える機能を分けて考える必要があります。
スマートフォンや通信環境がない場合
TDAC公式FAQによると、スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、ハートヤイの5空港に登録用キオスクがあります。キオスクを使った場合、QRコードは登録メールへ送られ、画面を撮影して保存することもできます。
ただし、到着後の登録は入力待ちや通信トラブルがそのまま入国手続きの遅れにつながります。可能であれば出発前に登録し、QRコードをスマートフォンへ保存してください。端末の電池切れに備えて印刷した控えを用意する方法もありますが、印刷自体は必須ではありません。
2026年8月の本格運用で予定されること
タイ政府は、THIMの本格運用を2026年8月に予定しています。将来機能として、デジタル書類の提出、担当官との予約、一部申請のオンライン審査、申請状況の確認などが公表されています。短期旅行者だけでなく、長期滞在者やタイ在住外国人の手続きにも広げる方針です。
ただし、これらは開発中で、タイ入国管理局の確認を前提とする予定機能です。滞在延長、90日レポート、再入国許可など、個々の手続きがいつTHIMへ移るかは別途確認が必要です。2026年8月という予定だけを根拠に、既存の窓口やウェブ手続きがすべて終了すると判断してはいけません。
非公式サイトと有料代行に注意
TDAC公式サイトのドメインは「tdac.immigration.go.th」です。検索結果の広告、SNS投稿、メッセージで届くリンクには、TDACやTHIMの名称を使いながら不要な登録料を請求するサイトが含まれる可能性があります。
代行サービスを使う場合でも、運営者、料金、個人情報の取り扱い、キャンセル条件を確認してください。旅券情報、滞在先、生年月日を入力するため、価格だけで判断するのは危険です。自分で登録できる場合は、タイ政府機関が案内する公式経路を優先します。
TDACに登録した個人情報はどう扱われるか
TDACには、旅券情報、便名、滞在先、旅行目的、健康申告など、入国管理に必要な情報を入力します。公式FAQは、TDACがタイの個人情報保護法(PDPA)に準拠し、登録情報は入国管理と国境警備を担当する当局のみが閲覧すると説明しています。また、他国とは共有しないと案内しています。
この説明は、非公式サイトへ入力しても同じ保護を受けられるという意味ではありません。公式ドメインを確認し、共用端末を使った場合はダウンロードファイルとブラウザ履歴の扱いに注意してください。QRコードや登録書類には個人情報が含まれるため、SNSへそのまま掲載しないことも重要です。
出発までの準備タイムライン
| 時期 | 行うこと | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 航空券予約後 | ビザ・ビザ免除条件、旅券有効期限を確認 | タイ大使館、航空会社、政府発表 |
| 出発1週間前 | ホテル住所、到着便、出国便を一か所にまとめる | 航空券と宿泊予約票 |
| 到着日の3日前以降 | THIMまたはTDAC公式サイトで登録 | 旅券、便名、滞在先 |
| 送信直後 | 氏名と旅券番号を再確認し、QRコードを保存 | 完了画面と確認メール |
| 空港へ向かう前 | 端末でオフライン表示できるか確認 | QRコード、航空券、宿泊情報 |
| タイ到着時 | 求められた場合に登録内容を提示 | 旅券とTDAC |
この順番なら、TDACを早すぎる時期に提出しようとして止まることも、出発当日にホテルの住所を探し直すことも避けられます。便や宿泊先が変更された場合は、入国前に更新または再提出し、最新の情報を保存します。
日本から出発する前の最終チェック

- パスポートの有効期限と破損の有無を確認した
- TDACを到着日の3日前以降に提出した
- 氏名、旅券番号、到着日、便名、滞在先に誤りがない
- QRコードと完了画面をオフラインで表示できる
- 自分の国籍、渡航目的、滞在日数に合うビザ条件を確認した
- THIMが使えない場合に開くTDAC公式サイトを確認した
TDACは入国審査を効率化するための事前登録であり、入国を保証する書類ではありません。復路または第三国行きの航空券、宿泊予約、旅行目的、滞在費用について質問されたときに説明できるよう、予約情報をまとめておくと手続きが止まりにくくなります。
よくある質問
THIMの利用は必須ですか?
2026年7月時点では任意です。THIMを使わず、TDAC公式サイトから直接登録できます。2026年8月の本格運用後に条件が変わる可能性があるため、渡航直前に公式情報を確認してください。
THIMを使えばTDACは不要ですか?
不要になるわけではありません。THIMはTDACに連携した登録を行うアプリです。THIM上でTDAC登録が完了していれば、公式サイトで同じ登録を重複して行う必要はありません。
TDACは有料ですか?
タイ入国管理局の公式サイトから行うTDAC提出は、政府が案内する入国前登録です。検索広告などから別の有料代行サイトへ入らないよう、ドメインを確認してください。
子どももTDACが必要ですか?
必要です。乳幼児と子どもを含む外国籍旅行者が対象で、保護者や同行者が代理で入力できます。グループ登録は1回につき最大10人です。
タイで乗り継ぐだけでも必要ですか?
入国審査を通らず制限区域内で乗り継ぐ場合は不要です。空港外へ出る、ホテルへ移動する、荷物の受け取りなどで入国審査を通る場合は必要です。
登録後に便やホテルが変わったらどうしますか?
入国前にUpdate Arrival Card機能で修正します。氏名、旅券番号、国籍、生年月日など更新できない項目を誤った場合は、正しい内容で再提出し、最新の有効な登録を使います。
QRコードは印刷する必要がありますか?
印刷は必須ではありません。ダウンロードしたQRコードまたはメールを端末で提示できます。通信や電池切れに備え、オフライン保存または印刷した控えを用意すると確実です。
THIMの日本語表示はありますか?
TATは初期段階の対応言語として日本語を挙げています。ただし、旅券情報、都市名、滞在先などの登録値は、旅券や予約情報に合わせて英語で入力するのが基本です。
まとめ
THIMは、TDACを入口にタイの入国管理サービスをまとめるアプリです。旅行者にとってパスポート入力やグループ登録が簡単になる可能性がありますが、2026年7月時点では試験運用中で、利用は任意です。
現時点の確実な運用は、到着日の3日前からTDACを登録し、完了画面を保存することです。THIMで問題なく完了できれば利用し、エラーが続く場合はTDAC公式サイトへ切り替えます。THIM、TDAC、ビザ、入国許可を別のものとして確認すれば、制度変更のニュースに振り回されずに準備できます。


