バンコク都知事選のチャッチャート候補が、選挙運動にトヨタの電動ピックアップトラック「ハイラックス・リーヴォー・イー」を採用した。この動きは、タイ政府が推進するEV普及政策と国内生産体制を象徴するもので、有権者へのアピールを狙う。Prachachatが報じたところによると、この車両はチャチューンサオ県の工場で生産され、年間500台が国内販売される予定だ。
バンコク都知事選、EV選挙カーの導入
バンコク都知事選の候補者であるチャッチャート・シッティパン氏は、選挙運動の初日から、トヨタの最新電動ピックアップトラック「ハイラックス・リーヴォー・イー(Hilux Revo-e)」を積極的に使用している。この4ドアタイプの電動車両は、価格が149万1,000バーツ(約745万5,000円)で、タイの自動車市場で注目を集めている最新モデルの一つだ。
タイのEV推進政策と国内生産
「ハイラックス・リーヴォー・イー」は、トヨタ・モーター・タイランドが2025年末に発表し、タイ国内市場に投入した電気自動車である。この車両は、チャチューンサオ県のバーンポー工場を生産拠点としており、タイ政府が推進するEV補助金政策「EV3.5」の対象となっている。政府は電動ピックアップトラック5,000台の生産目標を掲げており、トヨタはこの車両でその一部を担う。
タイ政府は、脱炭素社会の実現と自動車産業の競争力強化を目指し、電気自動車への補助金政策を積極的に導入している。これにより、国内でのEV生産が奨励され、特に中国製BEVの販売が拡大するなど、市場は急速に変化している。トヨタは年間500台をタイ国内で販売し、残りはヨーロッパ市場への輸出を目指すという、戦略的な生産・販売計画を立てている。
「ハイラックス・リーヴォー・イー」の性能
「ハイラックス・リーヴォー・イー」は、ラダーフレーム構造を採用し、全長5,320mm、全幅1,855mm、全高1,800mmのボディサイズを持つ。最低地上高は215mmで、最大700mmの水深を走行できる高い防水性能も特徴だ。最小回転半径は6.4m、最大積載量は715kgとなっている。
この電動ピックアップトラックは、2つのモーターを搭載した100%電気駆動で、最高出力は196馬力。59.2kWhのリチウムイオン(NMC)バッテリーを搭載し、1回の充電でNEDC基準で315kmの航続距離を実現している。フロントモーターは112馬力/206Nm、リアモーターは176馬力/269Nmを発揮し、全輪駆動システムを介して力強い走行性能を提供する。
タイ政府は、EV補助金政策を通じて自動車産業の構造転換を強力に推進しており、今回の都知事候補による電動ピックアップトラックの採用は、単なる環境意識のアピールに留まらない。これは、タイが次世代自動車の生産拠点としての地位を確立し、国際市場での競争力を高めようとする国家戦略の一端を、明確に示していると言えるだろう。国内生産による雇用創出や技術移転も、この政策の重要な側面だ。
バンコクでは交通渋滞が深刻な社会問題となっており、EVの普及は都市環境の改善に寄与する可能性を秘めている。政府は、地下鉄網の拡充などのインフラ整備と並行してEV充電インフラの拡充も進めており、将来的に在住日本人がEVを利用しやすい環境が整うことも期待される。今回の選挙カーの選択は、こうした都市の未来像を有権者に具体的に提示する意図も含まれている。


