ホーチミン含むベトナムの不動産市場が「選別的回復期」へ突入し、大手デベロッパーのビンホームズは2026年に過去最高益を目指すと発表しました。VnExpressが報じたところによると、同社は持続可能な都市開発を推進し、新たな事業戦略を打ち出しています。
この記事の要約
- ビンホームズは2026年に過去最高益となる売上250兆ドン(約1.5兆円)を計画し、市場の「選別的回復」を予測しています。
- 同社はハノイ、ホーチミン、ダナンなどで緑豊かな都市開発を優先し、TOD(公共交通指向型開発)モデルの導入も進めています。
- 総額24.644兆ドン(約1478億円)の現金配当と株式配当を実施し、株主還元も強化する方針です。
ベトナム不動産市場、2026年に「選別的回復」へ
ベトナムの大手不動産デベロッパー、ビンホームズ(Vinhomes)のファム・ティエウ・ホア(Pham Thieu Hoa)会長は、2025年には好調な事業環境と強固な基盤を背景に、同社が業界のリーダーとしての地位をさらに強化すると述べました。そして、不動産市場全体については、2026年には「選別的回復期」に入ると予測しています。これは、より環境に優しく、持続可能で、透明性の高い、規律ある開発へのシフトが加速することを示唆しています。
ビンホームズの堅調な業績と成長戦略
ビンホームズは昨年、ハノイ、ハイフォン、ホーチミン、ロンアンの4都市で新たなプロジェクトを立ち上げました。連結売上高は前年比29%増の約183.1兆ドン(約1兆900億円)に達し、税引き後利益も43.3兆ドン(約2600億円)を記録するなど、堅調な業績を維持しています。
ファム・ティエウ・ホア会長は、今後も法的枠組みの整備が進み、供給のボトルネックが解消されると見込んでいますが、同時に法規制や資金面での課題も残ると指摘しています。このため、企業には高い適応能力と、リスクを乗り越え競争優位性を確立するための製品開発革新が求められると強調しました。
TODモデルとグリーン都市開発を推進
ビンホームズは、市場の核心的な原動力は、実需に基づいた住宅と、グリーンな生活基準を備えた総合的な都市計画にあると断言しています。この方針に基づき、同社は既存プロジェクトの完成度を高めるとともに、ハノイ、ハロン、ダナン、カインホアなどの主要都市で模範的な都市区の開発を優先する計画です。特に、ダナン市では経済発展に伴う急速な都市化が進んでおり、持続可能な都市開発が喫緊の課題となっています。
長期的な戦略として、ビングループ(Vingroup)傘下のビンホームズは、TOD(公共交通指向型開発)モデルを先駆けて導入する方針を掲げています。これは、公共交通機関の利便性を中心に都市を開発するアプローチであり、ベトナム社会主義共和国における地下鉄建設の動きとも連動し、ホーチミンなどのメガシティにおける交通渋滞や大気汚染といった都市問題の解決に貢献することが期待されます。また、同社は「ハッピーホーム(Happy Home)」ブランドで50万戸の社会住宅を開発する計画も継続しており、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献する姿勢を見せています。
株主還元と今後の展望
来週開催される年次株主総会で、ビンホームズは2026年の売上高目標を250兆ドン(約1.5兆円)、税引き後利益を50兆ドン(約3000億円)とする計画を株主に提案する予定です。これらの目標は、前年比でそれぞれ62.2%増、18.7%増となり、同社にとって過去最高水準となります。
さらに、同社は株主に対し、24.644兆ドン(約1478億円)近い現金配当(配当率60%)と、1株につき1株の株式配当(配当率100%)を実施する意向を示しています。ビンホームズが配当を実施するのは2022年以来であり、過去3年間は市場回復や予期せぬ事態に備え、利益を内部留保していました。
同社の年次報告書によると、過去15年間で、ビンホームズはマンション、ヴィラ、タウンハウスを含む30万9000戸の不動産を販売し、累計売上高は1000兆ドン(約6兆円)を超えています。また、2025年末までに同社は2万9500ヘクタールというベトナム市場最大の土地を保有する見込みですが、さらなる土地取得に向けた探索を継続する方針です。
AsiaPicks View
ベトナムの不動産市場が「選別的回復期」に入るとのビンホームズ会長の発言は、同国の独特な土地使用権制度と急速な都市化の背景を考慮すると、非常に示唆に富んでいます。土地使用権が不動産所有の中心を成すベトナムでは、法整備の遅れが市場のボトルネックとなることが多く、今後の法改正やTOD(公共交通指向型開発)のようなインフラ整備の進展が、市場の健全な成長に不可欠です。ADB(アジア開発銀行)なども持続可能な開発を重視しており、グリーンで透明性の高い開発への移行は国際的な潮流とも合致しています。
この市場の動きは、ベトナム在住の日本人にも直接的な影響を与えるでしょう。特にハノイやホーチミンといった大都市圏では、TODモデルによる地下鉄沿線開発が進むことで、交通の利便性が向上し、都市部の生活環境が改善される可能性があります。しかしその一方で、選別的回復期における優良物件への資金集中は、不動産価格や賃料の上昇を招くことも考えられます。在住の方は、今後のインフラ整備計画を注視し、特に交通アクセスが改善されるエリアでの住居確保や、長期的な賃貸契約を検討するなど、生活防衛策を講じることが賢明です。


