ベトナムの主要航空会社であるベトジェット航空とバンブーエアウェイズが、夏季ピークシーズンを前に受託手荷物料金を大幅に値上げしました。国内線および国際線において最大25%の値上げが実施され、特に夏季やテト期間の旅行費用に大きな影響を与える見込みです。ベトナムのニュースメディアVnExpressが報じたところによると、これは燃料費の高騰と航空会社の収益構造の変化が背景にあります。
ベトジェット航空、国内線・国際線で値上げ
ベトジェット航空は、予約後に購入する追加手荷物料金を国内線と国際線の双方で引き上げました。国内線では、20kgのパッケージが20万ドン(約1,200円)から25万ドン(約1,500円)へと25%増。30kgパッケージは30万ドン(約1,800円)から36万ドン(約2,160円)へ20%増、40kgパッケージも40万ドン(約2,400円)から48万ドン(約2,880円)へ20%増となりました。これらの料金には付加価値税(VAT)は含まれていません。
また、国際線でも値上げが行われ、東南アジア向けの20kgパッケージは48万ドン(約2,880円)から58万ドン(約3,480円)へと約21%増加。香港、台湾、中国方面は58万ドン(約3,480円)から70万ドン(約4,200円)へ、オーストラリアや中央アジア方面では50kgパッケージが467万ドン(約28,020円)から630万ドン(約37,800円)へと大幅に引き上げられています。
バンブーエアウェイズはピーク時料金を導入
バンブーエアウェイズは、国内線手荷物料金を「通年」と「夏季ピーク・テト期間」の二段階で設定し、後者の期間で高額な料金を適用します。ピーク期間中、国内線手荷物料金は一律で約15.4%の値上げとなります。例えば、10kgパッケージは13万ドン(約780円)から15万ドン(約900円)へ、20kgパッケージは26万ドン(約1,560円)から30万ドン(約1,800円)へ、60kgパッケージは78万ドン(約4,680円)から90万ドン(約5,400円)へと引き上げられました。
バンブーエアウェイズの夏季ピーク期間は、2026年5月20日から8月15日、および8月27日から9月2日までと設定されています。テト期間のピークは、2025年12月下旬から2026年3月中旬までです。
燃料費高騰と航空会社の収益戦略
航空会社各社は近年、顧客誘致のため基本運賃を競争力のある水準に維持してきました。しかし、燃料費や運営費の高騰が続く中、航空会社は運賃の調整と並行して、受託手荷物、座席指定、機内食といった付帯サービスからの収益強化を進めています。特に国際市場でのジェット燃料(Jet A1)価格は、中東の地政学的緊張により高止まりしており、アジア地域では一時1バレルあたり214~216米ドルを記録するなど、航空会社の運営コストに大きな圧力を与えています。
ベトナム航空局の報告書によると、燃料価格の変動は航空運営コストの上昇に直結し、結果として航空券全体の価格水準に影響を与えています。ベトナムでは急速な経済成長に伴い、国内移動や国際観光の需要が増加しており、航空会社はこうした市場環境で収益性を確保しようとしています。
ベトナム国内旅行・国際線の総費用増加へ
これらの値上げにより、航空券の総費用はさらに増加する傾向にあります。以前は運賃のみに注目していた利用客も、現在では手荷物料金を含めた総額で実際の費用を把握する必要があるでしょう。特に家族旅行や長期滞在の場合、手荷物料金だけで1回のフライトにつき数百から数百万ドン(数千円から数万円)の追加費用が発生する可能性があります。
近年、特に観光路線やハノイとホーチミンを結ぶ主要路線では、格安航空券の供給が減少しています。夏季やテト期間といったピーク時には、多くの国内線で運賃が大幅に上昇する傾向があり、手荷物やその他の付帯サービス費用を加えると、総費用はさらに高水準に押し上げられると航空券代理店は指摘しています。
今回のベトナム航空会社による手荷物料金の値上げは、ベトナム在住の日本人や日系企業の出張、帰省に直接的な影響を与えるでしょう。特に、ベトナム国内の移動が多いビジネスパーソンや、家族で一時帰国する際に荷物が多くなる方々にとっては、フライトごとのコスト増大が避けられません。これまで以上に、航空券予約時に手荷物の要否や料金体系を慎重に確認し、総費用を把握することが求められます。
この値上げの背景には、世界的な原油価格高騰とそれに伴う航空燃料費の上昇があります。ベトナムは観光産業が経済成長の重要な柱であり、国内・国際ともに航空需要は堅調に伸びています。航空会社は収益性を確保するため、基本運賃を抑えつつ付帯サービスで補填する戦略を強化しており、これは航空市場の構造的な変化を示しています。消費者としては、価格だけでなくサービス内容全体を比較検討する「賢い選択」がより一層重要になるでしょう。


