ベトナムの銀行が、AIによる声の偽装やスマートフォンの乗っ取りを伴う新たな詐欺手口に対し、顧客への注意喚起を強化している。これらの詐欺は高度化しており、被害が拡大する恐れがあるため、各銀行は緊急の警告を発した。地元メディアのTuoi Treが報じたところによると、特に高齢者やデジタルリテラシーの低い層が狙われているという。
ホーチミンなどベトナム各地で横行するAI音声詐欺の手口
最近、ベトナム全土の金融機関が共通して警告しているのが、AI技術を悪用した音声詐欺だ。詐欺犯は、AIを用いて家族や友人、あるいは公的機関の職員の声を巧妙に模倣し、被害者に緊急の送金を促す。例えば、「事故を起こした」「借金を抱えた」といった虚偽の緊急事態を演出し、焦った被害者から金銭をだまし取ろうとする。
スマートフォン乗っ取りによる個人情報流出の危険性
もう一つの深刻な手口は、スマートフォンの遠隔操作による乗っ取り詐欺である。詐欺師は、偽の銀行アプリや政府機関を装ったリンクを送りつけ、被害者にインストールを促す。一度アプリがインストールされると、個人情報や銀行口座のデータが盗み取られるだけでなく、デバイスが遠隔で完全に制御されてしまう。これにより、被害者の口座から不正な送金が行われる事例が多発している。
銀行と当局による緊急の警告と対策強化
ベトナム国家銀行(SBV)は、これらの詐欺が高度化し、被害が拡大していることを受け、全国の商業銀行に対し顧客への注意喚起の徹底を指示した。各銀行は、ウェブサイト、ATM、モバイルバンキングアプリなどを通じて、不審な電話やメッセージ、リンクには絶対に応じないよう呼びかけている。特に、知らない番号からの電話や、緊急性を装ったメッセージには、細心の注意を払う必要がある。
ベトナムでの詐欺被害を防ぐための具体的なアドバイス
金融機関は、顧客に対し、以下の予防策を強く推奨している。まず、見知らぬ送信元からのリンクや添付ファイルは絶対に開かないこと。次に、個人情報や銀行口座のパスワードを電話やメッセージで尋ねられても、決して教えないこと。不審な状況に直面した場合は、すぐに銀行の公式カスタマーサービスに連絡し、事実確認を行うべきである。また、スマートフォンのセキュリティソフトウェアを常に最新の状態に保ち、不審なアプリはインストールしないようにすることも重要だ。
デジタル化が進むベトナム社会の新たな課題
ベトナムでは、近年、デジタル経済が急速に発展し、オンラインバンキングやモバイル決済が広く普及している。しかし、その一方で、サイバー犯罪や詐欺の手口も巧妙化の一途をたどっており、社会全体のデジタルリテラシー向上が急務となっている。特に地方部では、都市部に比べて情報格差があるため、詐欺の標的になりやすい傾向がある。政府と金融機関は、連携して国民への啓発活動を強化し、安全なデジタル環境の構築を目指している。


