タイ東北部コンケン県で、農家が伝統的な農耕祭「ワン・プーチャモンコン(農耕祭)」を吉日として、今年の稲作を開始しました。この地域では、持続可能な農業とコスト削減のため、緑肥や歩行型トラクターを活用する農家の知恵が光ります。The Thaigerが報じたところによると、農家は政府に対し、肥料や燃料費の高騰に見合うコメの適正価格設定を求めています。
コンケン県、吉日に稲作を開始
コンケン県ムアンコンケン郡バーン・コー地区バーン・トン・ノーイ村の農家、ソムチャイ・シリソムさん(69歳)は、毎年恒例の「ワン・プーチャモンコン」を今年の稲作の「良い吉日」と定め、田んぼの土壌整備を始めました。この農耕祭は、タイの農業にとって非常に重要な意味を持ち、農家や農業従事者にとって一年の豊作を願う大切な日とされています。
ソムチャイさんは、この吉日に合わせて1ライ(約1,600平方メートル)の田んぼに種籾を蒔き、今年の収穫に大きな期待を寄せています。雨季に入り、恵みの雨が降り続くこの時期は、稲作を開始する絶好のタイミングなのです。
費用を抑える工夫:緑肥と歩行型トラクター
ソムチャイさんの稲作には、長年の経験から培われたコスト削減の知恵が詰まっています。彼は、一般的な田植え方式よりも費用を抑えられる「直播き(ちょくまき)」を選択。種籾を直接田んぼに蒔くことで、苗を育てる手間とコストを省いています。
さらに、収穫後には稲株を土にすき込み、マメ科植物である「センナ(ปอเทือง)」を緑肥として栽培。センナが枯れた後に土にすき込むことで、化学肥料に頼らずに土壌を肥沃に保ちます。この自然に優しい農法は、持続可能な農業への取り組みとして注目されています。
また、トラクターの利用方法にも工夫が見られます。通常、大型トラクターを雇うと1ライあたり350バーツ(約1,750円)かかりますが、ソムチャイさんは自家製の歩行型トラクターを使用することで、燃料費をわずか50バーツ(約250円)に抑えています。これにより、大幅なコスト削減を実現しているのです。
政府への切実な願い:コメ価格とコストの均衡
ソムチャイさんは、コメの生産コスト、特に肥料や燃料の高騰が農家の経営を圧迫している現状を訴えています。現在、田植えや耕作にかかる費用は、1ライあたり合計で約1,000バーツ(約5,000円)にも上るといいます。
農家は生活のために稲作を続けざるを得ない状況であり、ソムチャイさんは政府に対し、コメの買い取り価格を肥料や燃料の価格と均衡させるよう強く求めています。これにより、農家が損失を出すことなく、安定した生活を送れるようになることを切に願っているのです。タイの基幹産業である農業を支える農家の声は、政府に届くのでしょうか。
今回のコンケン県の農家のニュースは、タイの農業が直面する構造的な課題を浮き彫りにしています。国際的なコメ価格の変動、そして肥料や燃料といった生産コストの高騰は、農家の経営を常に圧迫しています。しかし、ソムチャイさんのように、緑肥の活用や歩行型トラクターによるコスト削減といった伝統的な知恵と現代的な工夫を組み合わせることで、持続可能な農業を模索する動きは、今後のタイ農業の希望といえるでしょう。
このニュースは、タイ在住の日本人や旅行者にとっても、タイの食文化の根幹をなすコメの生産背景を深く理解する良い機会です。私たちが日々口にするタイ料理のコメが、農家のこうした努力と知恵によって作られていることを知ることで、タイの食に対する感謝の念が深まるはずです。また、地域経済を支える農業の重要性と、それに伴う環境への配慮についても改めて考えるきっかけとなります。
- コンケン大学農業学部植物園: コンケン大学構内にある植物園では、様々な植物の栽培や研究が行われており、タイの農業について学ぶことができます。
- コンケン・ナイトマーケット: 地元の農産物やイサーン地方の郷土料理が豊富に揃い、タイの食文化を五感で体験できる場所です。


