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バンコクの美容市場が激化、セントラルとORが独占商品で競争

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タイの小売大手セントラル・リテールとOR(旧タイ石油公社の子会社)が、タイの美容・健康市場で熾烈な競争を繰り広げています。両社は独占的な韓国・日本ブランド商品と積極的な店舗展開を通じて、急速に拡大する2900億バーツ(約1兆4500億円)規模の市場シェア獲得を目指しており、Prachachat Businessが詳細を報じました。

タイ美容市場、2900億バーツ規模への成長見込み

タイの美容・健康製品市場は、今後数年間で年率5〜7%の成長を続けると予測されており、2034年までにその市場規模は2900億バーツ(約1兆4500億円)に達すると見込まれています。この成長の背景には、過去10年間で東南アジア全体の美容市場が3倍に拡大したという実績があり、タイもその恩恵を受けています。

特に注目されているのは「マスティージ」と呼ばれる層で、これは高品質な商品を手に届く価格で求める消費者群を指します。若い世代、特に20代から40代の消費者が健康と美容への関心を高めており、平均して1回の買い物で1,000〜1,500バーツ(約5,000〜7,500円)を費やす傾向にあります。市場には多くのプレイヤーが存在するものの、大手小売業者の市場シェアはまだ10〜15%程度に留まっており、新規参入や既存企業の拡大の余地が大きいとされています。

セントラル・リテール「LOOKS」の戦略:独立店舗と多様な商品展開

セントラル・リテールの傘下にある「LOOKS」は、これまでスーパーマーケット「トップス」内のショップインショップ形式で展開していましたが、この度、単独店舗として本格的に市場に参入します。2026年5月20日には、バンコク北部のロビンソン・ライフスタイル・シースマーンに1号店をオープンしました。同社は今後3年以内に100店舗を追加し、合計200店舗体制を目指しており、そのうち70%をバンコク首都圏に集中させる計画です。長期的には海外展開も視野に入れています。

LOOKSの強みは、5,000を超えるSKU(在庫管理単位)に及ぶ幅広い商品ラインナップです。このうち50%は韓国、欧米、オーストラリアからの輸入品、35%がタイブランド、そして15%が他社にはない独占ブランド商品で構成されています。特に韓国の化粧品製造大手COSMAXとの提携により、直接輸入や共同開発を進めることで、消費者には韓国で直接購入するのと同程度の価格で商品を提供することを目指しています。

店舗では「ビューティー&ウェルネス・デスティネーション」をコンセプトに、専門家による「LOOKSビューティースペシャリスト」が個別の肌悩みに応じたアドバイスを提供する「ソリューションバー」を設置するなど、顧客体験の向上にも注力しています。これは、トップスの食品小売から美容小売への事業多角化戦略における重要な一歩と位置付けられています。

OR「Found & Found」の戦略:日本・韓国ブランドに特化し全国展開へ

一方、ORヘルス&ウェルネスが運営する「Found & Found」も、美容・健康市場での存在感を急速に高めています。同社は2029年までに最大500店舗を展開し、タイの美容・健康小売市場でトップ5入りを目指すという野心的な目標を掲げています。2026年だけでも45店舗の新規出店を計画しており、バンコク中心部のオフィスビルやコミュニティモールに加え、チャアムなどの地方都市にも積極的に進出しています。

Found & Foundの最大の特徴は、日本と韓国のブランドに特化した商品構成です。約160〜170ブランド、5,000SKUの商品を取り揃え、日本や韓国で直接購入するのと比較して価格差が10〜15%以内、一部商品では同価格での提供を実現しています。これも、サプライヤーや大手小売業者との直接提携によるものです。

顧客サービスにおいては、全商品を熟知した専門スタッフがブランドを問わず情報提供を行うことで、消費者が安心して商品を選べる環境を整えています。これにより、海外へ買いに行く手間を省き、利便性と信頼性を高めることを目指しています。

デジタルマーケティングと会員システムで顧客を囲い込み

両社ともにデジタルマーケティングを重視しており、Found & Foundは2026年のマーケティング予算の100%をオンラインに投入しています。LINE公式アカウントを通じた会員システムを構築し、PTT Blue Card会員と連携させることで、クーポン配布や割引イベントなどを展開し、顧客データの収集と活用を進めています。2026年末までに会員数を現在の6万人から10万人に増やす目標です。

また、LOOKSもKOL(キーオピニオンリーダー)やユーザーレビューの信頼性を重視しており、新しいブランドを積極的に導入することで市場での差別化を図っています。これらのデジタル戦略は、金融庁のASEAN金融包摂調査報告書が指摘するような、携帯電話の普及とデジタル金融サービスのデジタル化の加速を背景とした消費者行動の変化に対応するものです。

タイの小売大手2社による美容市場への積極投資は、在住日本人にとってアクセスしやすい高品質な美容製品が増えることを意味します。特に日本・韓国ブランドの品揃え強化は、海外生活で日本の製品が手に入りにくいと感じていた層には朗報となるでしょう。日本製品や韓国製品が現地価格に近い形で手に入ることは、日々の生活の質の向上に直結するメリットと言えます。

この競争の背景には、タイ経済全体の成長と消費者の所得増加があります。KPMGのレポートが指摘するように、アジア経済が「欧米の供給元」から「自らが市場」へと変化している典型例であり、特に若い世代の健康・美容意識の高まりが市場を牽引しています。デジタルマーケティングの重視は、金融包摂調査報告書が示すようなデジタル化の加速とも連動しており、消費者の購買行動の変化を捉えていると言えるでしょう。

AsiaPicks 編集部
AsiaPicks 編集部
タイ・ベトナム・インドネシアの最新ビジネスニュースを日本語で毎日配信。現地メディアの一次情報をもとに、日系企業・駐在員の意思決定に役立つニュースを厳選してお届けします。
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