ベトナム文化スポーツ観光省著作権局は5月6日、企業や個人に対し、著作権のないコンピュータプログラムや違法な著作物の使用を禁止する通達を発行しました。これは、首相指令に基づく知的財産権侵害に対する全国的な取り締まり強化の一環であり、VnExpressが報じています。
ベトナム、知的財産権侵害に対する取り締まりを強化
文化スポーツ観光省著作権局は、コンピュータプログラム、映画、音楽、出版、報道、テレビ放送、ビデオゲームなどの分野で活動する企業や個人に対し、無許可のコンピュータプログラムの使用、および作品、公演、録音物、録画物、放送番組に対する著作権や関連権の不正使用を禁止する公式文書を送付しました。これにより、各企業や個人は、専門業務における著作権および関連権に関する規定を順守するための見直しと確認が義務付けられます。これは、ベトナムにおけるデジタルコンテンツの健全な発展と、知的財産権保護の国際的な潮流に沿った動きと言えるでしょう。
知的財産法におけるコンピュータプログラムの保護
ベトナムの知的財産法によれば、コンピュータプログラムは、命令、コード、図式、またはその他の形式で表現された指示の集合体であり、コンピュータやデバイスが特定のタスクを実行したり、結果を達成したりする能力を持たせるものです。これらのプログラムは、ソースコードであれ機械語であれ、文学作品として保護されます。プログラムの作者および著作権所有者は、書面による合意に基づいて、プログラムの修正やアップグレードを行う権利を有します。
また、企業や個人は、正規に利用しているコンピュータプログラムのバックアップコピーを1部作成する権利がありますが、そのコピーを他の組織や個人に譲渡することはできません。プログラムがサービスとして、またはオンラインプラットフォームを通じて提供される場合、バックアップコピーの作成は、利用規約または当事者間のライセンス契約に従って行われます。
首相指令と全国的な取り締まり強化
今回の措置は、5月5日に首相が発令した指令の要請に応じたものです。この指令は、知的財産権侵害行為と断固として戦い、防止し、対処するための解決策を強力に実施することを求めています。首相は、各省庁および地方自治体に対し、5月7日から30日まで全国規模で知的財産権侵害の取り締まりキャンペーンを集中して展開し、多数のアクセスを集める違法な映画、音楽、ビデオゲーム、テレビ番組のウェブサイトを撲滅するよう指示しました。これは、ベトナム政府が長年取り組んできた海賊版対策の一環であり、特にデジタルコンテンツの流通が加速する中で、より厳しい姿勢を示すものです。
各省庁の役割と連携
公安省は、他の省庁と連携し、著作権、関連権、商標、地理的表示に関する重大な侵害事件の検証、捜査、起訴を主導する役割を担っています。特に、アクセス数の多い違法なオンライン著作権侵害ウェブサイトや運営組織、とりわけベトナム語および外国語の違法な映画、音楽、モバイルビデオゲーム、テレビ番組を提供するサイトの撲滅に注力します。
国防省は、国境警備隊と沿岸警備隊に対し、公安省および地方自治体と緊密に連携し、国境や海上からの侵害行為を管理し、防止するよう指示しています。最高人民検察院と最高人民裁判所は、知的財産権事件の捜査、起訴、裁判を強化し、厳格かつ法に則った処理を保証します。特に、抑止効果を高めるため、いくつかの典型的な事件に焦点を当てる方針です。
文化スポーツ観光省は、企業におけるソフトウェアの著作権、およびインターネット上の映画、音楽、テレビ番組、ビデオゲームの著作権の順守状況を検査し、重大な違反があった場合には対処または処理を移管します。これらの連携体制は、ベトナムにおける知的財産保護の取り組みが、単なる法執行に留まらず、国家的な戦略として推進されていることを示しています。
今回のベトナム政府による知的財産権侵害対策の強化は、デジタルコンテンツ産業の健全な発展を促す上で重要な構造的転換点となり得ます。長らく海賊版が蔓延していた背景には、著作権に対する意識の低さや、正規コンテンツへのアクセス手段の不足、そして法執行の甘さがありました。しかし、経済成長とともにコンテンツ産業の重要性が増し、国際社会からの要請も高まる中で、政府が本腰を入れて対策に乗り出した形です。特に、公安省が主導し、国防省まで巻き込んだ全国規模のキャンペーンは、その本気度を示すものでしょう。
在住日本人や日系企業にとっては、ベトナムでのビジネス環境がより透明で、知的財産権が尊重される方向へ進むという点でポジティブな変化です。特にソフトウェアやデジタルコンテンツを扱う企業は、これまで以上にコンプライアンスを徹底し、正規ライセンスの利用を徹底する必要があります。また、ベトナム市場でコンテンツを展開する日本企業にとっては、知的財産保護が強化されることで、安心してビジネスを展開できる土壌が醸成されると期待できます。一方で、急な取り締まり強化は、一部の企業や個人に混乱をもたらす可能性もあり、情報収集と適切な対応が求められます。


