タイの大手小売・卸売企業CPアクストラ(CPAXT)が、2026年第1四半期に純利益27億9300万バーツ(約139億円)を達成し、好調な業績を示しました。同社のマクロやロータスといった店舗網に加え、オンライン販売が前年比27.6%の大幅増を記録し、成長を牽引しています。タイ現地メディアのKhaosodが報じました。
堅調な売上を支える多角的な戦略
CPアクストラは、2026年第1四半期に総収益1360億5000万バーツ(約6802億円)を計上し、堅調な財務基盤を確立しました。この成長は、新規店舗の開設に加え、オンラインプラットフォームである「マクロPRO」と「ロータス・スマートアプリ」を通じた販売が前年同期比で27.6%増加したことが主な要因です。また、店舗外販売も継続的に拡大し、商品売上高全体の22%を占めるまでに成長しており、タイの消費財市場における同社の多角的な販売戦略が功を奏していることを示しています。
食品とプライベートブランドが牽引する成長
売上高の増加は、特に生鮮食品、乾物、そして自社ブランド(プライベートレーベル)商品の好調に支えられました。経済的な課題が続く中で、これらの商品群は消費者のニーズに合致し、高い需要を維持しています。さらに、マレーシアで「ラッキーフローズン」ブランドを展開するリニューアルド・ホープ社の事業収益も加わり、フードサービス事業の強化とASEAN地域での事業拡大戦略を後押ししています。
タイEコマース市場のリーダーシップを確立
CPアクストラが運営するオンラインプラットフォーム「マクロPRO」は、国際的な市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルにより、タイの食料品Eコマース分野で2年連続の第1位に認定されました。これは、タイにおけるEコマース市場の急成長を背景に、同社がデジタル戦略において強力なリーダーシップを確立していることを明確に示しています。タイ政府もEコマース市場の拡大を後押ししており、CPグループはNTTドコモグループとの連携も強化し、オンラインマーケティングを積極的に展開しています。
商業施設事業も順調に拡大
同社の商業施設事業も好調を維持しており、賃貸料およびサービス収益は36億2200万バーツ(約181億円)に達し、前年同期比で3.8%の増加となりました。これは、既存施設の賃貸面積拡大や新規施設の開業、そしてテナント構成の最適化(テナントミックス)によるものです。CPアクストラは、商業施設を「コミュニティの幸福な場所(ハッピーモール)」と位置づけ、地域社会に貢献する戦略を進めています。
地域のリテールテックリーダーを目指す
CPアクストラのタニン・ブーラナマニット最高経営責任者(CEO)は、今期の好業績が卸売・小売事業の継続的な成長を反映していると述べました。同社は、あらゆる販売チャネルからの収益成長を維持しつつ、経済成長が著しいASEAN地域での投資を拡大していく方針です。また、変化する消費者行動に対応した商品・サービスの開発、店舗外販売比率の拡大、そしてテクノロジー開発を進め、「地域のリテールテックリーダー」としての地位確立を目指しています。
ESGへの取り組みと国際的評価
CPアクストラは、事業活動と並行して持続可能性(ESG)への取り組みも強化しています。直近の四半期には、年間グローバルCSR&ESGアワード2026でプラチナレベルの「グローバルCSR&ESGリーダーシップ賞」を受賞しました。さらに、国際的に評価されているS&Pグローバルが発表するDJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)では、食品・日用品小売業部門で世界トップ5%にランクインしています。これは、同社がタイの主要な卸売・小売企業として、持続可能な価値創造に貢献していることの証しです。
今回のCPアクストラの好決算は、タイにおける小売市場の構造変化を明確に示しています。高齢化の進展により実店舗の成長が鈍化する可能性が指摘される中で、同社がオンライン販売で前年比27.6%増という驚異的な成長を遂げたことは、タイの消費行動が急速にデジタルシフトしている現実を浮き彫りにしています。大手財閥CPグループ傘下である強みを活かし、マクロPROが2年連続で食料品EコマースNo.1に輝いたことは、単なる販売チャ績だけでなく、物流網や決済システムといったインフラ整備への大規模投資が実を結んだ結果と言えるでしょう。
在タイ日本人や日系企業にとっては、このEコマース市場の活況は新たなビジネスチャンスを示唆しています。日本産品や日本食への高い受容性があるタイ市場において、CPアクストラのような強力なオンラインプラットフォームを通じて商品を展開することは、今後の市場開拓において非常に有効な戦略となり得ます。また、CPグループが地域のリテールテックリーダーを目指すという方針は、タイにおけるデジタルマーケティングやサプライチェーンの進化を加速させる可能性があり、日系企業もこれら最新の動向に合わせた戦略の見直しが求められるでしょう。


