タイ全土で、注文住宅の建築費が2026年5月より3〜5%値上げされる見込みです。建設資材や輸送コストが15〜20%も高騰していることが背景にあり、消費者は値上げ前に契約を急ぐよう促されています。プラチャチャート・ビジネス・ニュースが報じました。
タイ、住宅建築費が3〜5%値上げへ
タイ住宅建築協会(HBA)は、2026年第2四半期の住宅建築市場について、「やや減速から横ばい」との見通しを発表しました。アナンコン・アモンワティーHBA会長は、海外の紛争によるエネルギーコストの不安定化が物流や燃料価格に直接的な影響を与え、結果として住宅建築ビジネスのコストがすでに15〜20%も上昇していると指摘しています。特に主要構造材の価格高騰が顕著です。
建設コスト高騰が背景に
世界的な地政学リスクにより、鉄鋼や金属、石油化学製品(多くの資材の原材料)、セメント、タイルといった広範な建設資材の価格が軒並み上昇しています。これらのコスト圧力に直面し、HBA加盟企業の多くは、従来の品質基準を維持しながら事業を継続するため、2026年5月中旬以降、建築費を平均3〜5%引き上げると予想されています。このため、消費者にとっては、現四半期中に契約を締結することが「旧価格」を確保する最後の機会となるとHBAは強調しています。
購買層への影響とローンの厳格化
HBAの予測では、2026年第2四半期の加盟企業の売上高は前年同期比で0〜5%減となる見込みです。これは、中間層から低所得者層の顧客が、商業銀行による住宅ローン審査の厳格化の影響を大きく受けているためです。タイでは家計債務の悪化が続き、これが住宅ローン審査の厳しさにつながり、経済全体に影響を与えています。一方で、2000万バーツ(約1億円)以上の高価格帯の高級住宅市場では、依然として購買力が強く、経済的負の影響は比較的少ないと見られています。
政府への税制優遇拡大の提言
HBAは、住宅市場を活性化させるための措置として、政府に対し「自己所有地への住宅建築」に対する税制優遇措置の拡大を提案する準備を進めています。具体的には、付加価値税登録済みの企業と住宅建築契約を結んだ個人に対する所得税控除の上限を、現在の10万バーツ(約50万円)から50万バーツ(約250万円)に引き上げることを提案しています。この税制措置は、2〜3年間継続することで、国内の草の根経済および建設業界全体に資金の流れを生み出し、経済の活性化を促すことが期待されています。
在住者への影響と契約の「駆け込み需要」
タイに在住し、将来的に住宅の建築やリフォームを検討している日本人にとっては、今回の値上げは直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に、今年中に建築計画がある場合は、5月以降の値上げを避けるため、早めの契約締結が「旧価格」を確保する最後の機会となるでしょう。HBAは、常に経済状況とエネルギーコストを「監視」しており、高品質な住宅建築と包括的なサービス提供を通じて、消費者が資金を失うことなく確実に家を建てられるよう尽力しています。
今回のタイにおける住宅建築費の値上げは、単なるコスト上昇以上の構造的な問題を浮き彫りにしています。追加背景データが示すように、タイでは家計債務の悪化が住宅ローン審査の厳格化を招き、特に中間層以下の購買力を低下させています。これは、世界的なサプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰といった外部要因だけでなく、国内の金融・経済状況が複合的に作用していることを示唆しています。
在住日本人にとっては、このニュースはタイでの不動産投資や住居計画において、タイミングの重要性を改めて認識させるものです。特に、自己所有地への建築を検討している場合、HBAが提案する税制優遇措置の行方は注目に値します。政策が実現すれば、一定の経済的メリットを享受できる可能性がありますが、ローン審査の厳格化という逆風も考慮し、慎重な資金計画と情報収集が求められるでしょう。


