ハノイ市は、歩道や車道の一時使用料を大幅に引き上げる方針を打ち出しました。中心部の駐車料金は最大で1平方メートルあたり40万ドン(約2,400円)に達する見込みです。この改定案は5月11日にハノイ市人民評議会で審議される予定で、VnExpressが報じています。
ハノイ中心部で駐車料金が最大40万ドンに
ハノイ市人民委員会が市人民評議会に提出した草案によると、歩道や車道の一時使用料に関する規定の改正が提案されています。この改正案では、ほとんどの地域で料金が引き上げられる見通しです。特に、ディン・レ通り、リー・タイ・トー通り、チャン・フン・ダオ通り、ハン・ダオ通り、ハン・ガン通り、クアン・スー通りなど、都市中心部の核心地域や第1級保存地区の通りでは、自動車の駐車料金が現在の24万ドン(約1,440円)から40万ドン(約2,400円)に引き上げられる予定です。
第1環状道路内にあるものの、都市核心部以外の地域では、1平方メートルあたり15万ドン(約900円)から36万ドン(約2,160円)への引き上げが提案されており、これは現行の約2.4倍となり、草案の中で最も高い上昇率です。さらに、第1環状道路から第2環状道路の地域では8万ドン(約480円)から16万ドン(約960円)に、第2環状道路から第3環状道路の地域では6万ドン(約360円)から12万ドン(約720円)にそれぞれ引き上げが計画されています。
バイク・自転車も料金倍増の可能性
バイクや自転車についても、都市核心部での駐車料金は1平方メートルあたり13万5,000ドン(約810円)から22万ドン(約1,320円)への引き上げが予想されています。他の多くの地域でも、現在の料金から倍増が提案されており、ベトナムの都市交通における自家用車利用の抑制が強く意識されています。
渋滞緩和と環境改善、インフラ投資を促進
ハノイ市人民委員会は、今回の料金調整の目的として、都心部の交通を調整し、交通渋滞と環境汚染を軽減することを挙げています。これは、ベトナムの主要都市が急速な経済成長と都市化により直面している大気汚染や交通渋滞といった深刻な課題への対応策の一環です。また、個人車両の使用を段階的に制限し、市民が公共交通機関へと移行することを奨励する狙いもあります。
市は、料金引き上げによって交通インフラへの投資費用を補填し、現代的な駐車場への企業投資を促進することも期待しています。これは、JICAが指摘するベトナムの都市交通セクターにおける「都市交通インフラ整備および公共交通の自動車から鉄道・バスへのシフト」という開発目標とも合致しており、持続可能な都市開発に向けた重要な一歩と位置付けられています。
歳入増加と今後の見通し
ハノイ市における歩道・車道の一時使用料からの歳入は年々増加傾向にあり、2022年の420億ドン(約2億5,200万円)以上から2024年には510億ドン(約3億600万円)以上に達しています。2025年の最初の10か月間でも約420億ドン(約2億5,200万円)の歳入が見込まれています。この増加は、都市部のインフラ投資と経済発展を支える上で、都市部での先行課税が合理的であるという考え方に基づいています。
この草案は、5月11日に開催されるハノイ市人民評議会の専門会議で審議される予定です。承認されれば、ハノイ市におけるベトナム生活の物価や交通費に大きな影響を与えることになります。
今回のハノイ市による歩道・車道利用料の大幅値上げは、在住日本人や日系企業にとって、交通コストの増加という形で直接的な影響を及ぼすでしょう。特に自家用車やバイクを利用する機会が多い場合、駐車料金の上昇は月々の出費に響き、ビジネスにおける物流コストにも影響を与える可能性があります。公共交通機関への移行が推奨されていますが、ハノイの公共交通網がまだ十分とは言えない現状では、現実的な選択肢が限られるケースも少なくありません。
この政策は、ベトナムの急速な都市化と経済成長に伴う交通渋滞や大気汚染といった都市課題への構造的な対応策と見ることができます。政府は財源確保と同時に、市民の行動変容を促すことで、持続可能な都市交通システムを構築しようとしています。JICAの報告書にもあるように、ベトナムでは都市交通インフラの整備と公共交通へのシフトが開発目標とされており、今回の値上げはその目標達成に向けた政策手段の一つと言えるでしょう。


